新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

脳震盪の恐ろしさを認識せよ

2014-11-12 07:23:21 | コラム
羽生結弦の負傷後の出場を美談にするな:

12日に漸く産経抄氏が脳神経外科の専門の医師たちの「美談にするな」との意見を採り上げてくれた。私に言わせて貰えば”Better late than never”だが、大変結構なことと歓迎する。私は羽生君の負傷を顧みずに滑走した勇気は褒めるのは決して良いことではないと考えていたしそのように指摘した。だが、脳震盪の恐ろしさまでには言及していなかった。当たり前のことだからだ。

あのように頭を激しく打ったかも知れない疑いがある場合には、頭を動かすことすら危険なのは常識である。だが、あの場合に彼は立ち上がらせ、歩かせてリンク外に連れ出した。彼を取り巻く周囲の者どもの恐るべき不注意を責めたい。思うに、常時頭を打って脳震盪を起こすことないだろうフィギュアスケートの羽生君は、その面の知識と知識がなく、オリンピックチャンピオンとしての気概を示そうと雄々しくも立ち上がったのだろう。

私は連盟か協会か知らぬが、彼等にはその辺りの最低限の常識があるし、マスコミも心得ているのだろうと善意で解釈し、その点に触れず問題にもしなかった。だが、滑走を止めるべきだとは指摘した。コーチは止めても良いと言ったとか。そして、その後はあの美談扱いの洪水だった。「何だかなー」の思いだった。

そして、漸く産経抄氏が脳神経外科の専門の先生方のご意見採り上げてくれて一安心だった。私は遺憾ながらこの面では我が国のスポーツ界の常識には大きな穴があいていると見ている。また「アメリカでは」だが、我が国のようにスタッフなる方々が担架を持って慌てて出て来るような時代は終わっている。NFLの中継でも見て貰いたい。医師が動かしても良いと指示した後でカートが来て頭部を固定してから運んでいく。場内にはレントゲン撮影の設備もあるという。

考えようによっては、NFLの運営には重要な人材の健康を守る為の当然の措置であり、設備であるだろう。そこには精神主義のかけらも残ってはいないのだ。不思議なことに我が国のように医学でも世界の先端を行き、世界第2の経済大国(私は国民1人当たりのGDPで論じれば中国よりも上だと思う)でありながら、悲しいほどこういう面で遅れていると思う。即刻改善すべきだ。今回のような美談扱いは好い加減に止めて貰いたい。

幸いに羽生君は2~3週間の休養で治ると伝えられているが、スケート連盟(というのかな?)は選手たちの健康管理を勉強し直すべきではないのか。事前の6分間練習の方式を考え直すかのような小手先の問題ではないと認識すべきだ。脳震盪がその後の健康にどれほどの悪影響を残すかくらいは承知して競技を運営すべきではないのか。これはスケートだけではなく、ほとんど全ての競技に当てはまると私は危惧している。