新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

紙の需要に回復の兆しなし

2014-11-16 10:02:39 | コラム
商社マンと懇談した:

『先日話を聞いた専門商社の輸出入担当者と同じで、この毎度お馴染み?の商社マンの市場の見方は本15日の天気のように暗く且つ悲観的だった。実際の市場とは離れて久しいものがある当方の捉え方と同じだったのは、誠に悲しいことである。

即ち、アベノミクスの紙市場への効果というか波及は未だしということ。特に、本日のように99円台から100円に振れた為替では、中国方面の対日輸出に注力しているメーカー筋では少なからず慌てていたとか。これは、同時にアジアでは未だに我が国は活気がある市場と見なされていることでもあるようだ!?

紙の需要の辛い点は「3.11で東北地方の大型の工場が数軒停止した際に、顕著な紙不足を来さなかったにも拘わらず、現在ではそれらの工場のほとんど全部が再稼働している辺り」にある。それでもアジアの新興勢力からは現在の為替レートでも、我が国は世界のどの市場よりも魅力的に見えるのは、世界的に紙需要というか、印刷媒体の不調が慢性化したということだろう。

他に、彼ともある程度意見が一致したことは、未だ街を歩けば大小を問わず「安売り」を標榜している小売店が多く、レストランや雑貨等の小売店が消えていたり、他の業種の店に変わっている例が多い点だった。

彼は最近マンションの売れ行きが好調だという裏には、消費税率の引き上げ前の需要も兎も角、実際にそこに居住する人がいるのではなく投機的な買いが入っていると見立てていた。

また、香港辺りの紙の相場を見れば、印刷用紙類は我が国の低価格とそれほど変わらず、アジアでも景気回復は未だしだという事実を実証しているのだった。「この不調から脱出する方法が何処にあるのか、いや解らない」を結論として懇談を終わった。再三述べてきたが、紙市場は自力では立ち直れないという宿命がある。』

実は、以上のかぎ括弧で括った部分は昨年11月15日のブログなのだが、太字にした為替レートを除けばそのまま今日に通用するのではないかと思わせてくれる。「何ともはや」という状況ではないのか。即ち、彼等が景気が好転していないと語った1年前と現在では何処が変わったのかということに思えるのだ。

スポーツ時評

2014-11-16 08:24:19 | コラム
サッカー日本代表、MLB、錦織君:

サッカー日本代表がホンジュラスに6対0で勝った:
あれほどの差を付けて勝ったのは結構だった。久々に登場した遠藤の中距離のシュートなどは見事だった。総じて矢張りブラジルのW杯代表を沢山招集すれば良いサッカーが出来ることを、兎角の評判がある試合寸前に合宿を無視して故国に帰ってしまった監督が証明してくれたのだった。曰く、遠藤、長谷部、内田という具合で、これに長友が加われば完璧だっただろう。完璧って何が?

本田も生きていたし、香川も得点は出来なかったかといえ、活発に動いていたのは結構だったし、遠藤が入ると全体の動きに纏まりが出てきたのは何故だろうなどと、愚問を発したくなった。矢張り世代交替未だしだったのだが、前監督が前・前監督当時の顔ぶれを続けて来たのだから当然の結果だろう。アギーレ監督は残る3年間に余程真剣に新世代の育成に励まないと、女子代表と同じようなことになる危険性が高いと見ている。

内田を見ていてつくづくと感じたのだが、彼は周囲がほとんど世界各国の代表級か同等であるドイツにいる時は精彩を放つが、回りにはそれ以下が多い日本代表に入ると私が嫌う消極的なサッカーが主体となって、積極性を欠き迫力がない。その点では本田も香川も遺憾ながら同じような傾向が認められる。相手が弱すぎたあの試合での収穫は、何故か高徳と書いて「ゴウトク」と読ませる酒井が意外に良く動きよく守っていたことか。

MLBは強くないのか?
言うまでもないが、先月中にワールドシリーズを終えて、シーズンオフを楽しんでいたはずのRoyalsの面面の他は、その気になって訪日に備えて練習を続けてこなかった限り、シーズン中の調子というか良い状態を維持できていなかったはずだ。それかあらぬか、こちらに来てから打ちまくったのは巨人も阪神も碌な投手を出さなかったあの試合だけだった。あれは試合形式の練習をさせて上げたのかと疑った。

しかし、昨夜は細かいところを攻めまくってくる日本の則本、西、牧田、西野の前に為す術もなく何とノーヒットノーランだった。確かに則本は完投する気がなかったようで150キロ台の速球を投げ続け(恐らく練習不足で目がついていけなかったのだろう)MLBの打者を封じ込めたのは見事だった。他の3投手も以下同文で褒めて良いだろう。

私にはあれがMLBの実力なのか、あるいは張本勲が極論するようにリーグ全体の南米化による水準の低下なのか、あるいは我が国のNPBの投・攻・守・走の水準がMLBと同等ないしはそれ以上に上がったのかは俄に判断出来ない。だが、MLBの打撃は大雑把だし、本気で勝ちに行っているのかと疑ったほど気力に乏しかった。呆れたのは外野手の返球が粗雑なこと。あれではイチロー君が持て囃される訳だ。

162試合という我が国よりも数が多い試合をこなしてきた後では「やっと終わった」との安堵感があってか、あの程度に落ち込むのかと感じていた。そう言えば、こちら側だってシーズンが終わった後で、条件は同じではないのか。

錦織圭君の躍進:
昨晩、準決勝でジョコビッチに負けてしまったが、私は何が何でも錦織君は大したものだと感心している。既に「見損なって失礼しました」と詫びておいたが、あの体格の彼があの世界の舞台であそこまでやれるとは予想できなかった。しかし、「テニスとは何か。如何に難しく辛いスポーツか」に暗い私には彼が今年だけの上出来なのか、既に欧米人にごしてあの地位を占め得るだけの実力者になったのかが解らない。故に、この結果を偉いものだ、大したものだと感心するだけだ。

あの競技の難しさを一寸聞いたことがあるが、「駆け引きというのか何というのか、瞬間的に右に打つかのようなフェイントをかけて相手を動かして先読みした相手が左に動くのを見越して、右に打っていくとかという具合で、力強く打てるようになれば良いというものではなく、心理的駆け引きというか、先を読む技術の巧拙が勝敗を分ける」のだそうだ。要するに「次ぎに何か起きるか」と「何をする気か」を読む競技だとその人は教えてくれた。

私には錦織君はその相手の心理状態と先を読む力が優れているように見えた。特にチャン・コーチがついた後の進歩を見ていると、体力の強化だけで今日の強さがあるのではないと思っているが、如何か。これから先に何を、何処を強化すれば体格の不利を補って現在よりも一層強くなるかが、彼の成長の鍵ではないだろうか。まさか、今が頂点にあるのではあるまいな。