新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

補聴器

2014-12-01 17:05:14 | コラム
高齢者は補聴器の市場か:

9月末に元W社ジャパンの代表者だったY氏と久し振りに会食した際に、これから調整に行かれるという3Dプリンタで作ったと言われた片方だけで無慮数十万円の補聴器を初めて見る機会があった。「このピストル(は古いか?)まで作れると聞く新たな文明の利器にはこういう利用法もあったのか」と感じ入ったものだった。この世の進歩と変化どれほど早いかと痛感してしまった。

それに刺激された訳ではないが、先月上旬に眼鏡のPMが顧客を招待した展示会に家内を連れて参加してみた。実は、狙いはどうも聴力に衰えがあるかと気懸かりだったので、本来は耳鼻科に行くべきだと知りながら同社が扱っている海外のメーカーの補聴器の市場調査くらいの軽い気持ちだった。ところが、実際には同社が取り扱っているデンマークのReSound社の日本法人の係員に綿密な検査をして貰うことになったのだった。

結果としては検査係員に「問題あり。もう少し早く気付かれたら」と指摘されたほどの状態だったと判明し、不注意を深刻に反省させられた。そこで発注までする運びになったのだが、その価格帯は展示会用の販売促進で特別と説明されたものは両方で40万円に近く、博学多識のYM氏に教えられていた「片方で20万円が最低線」を裏付けるものだった。この価格帯まで来ると、着用していることは先ず気取られない形になってくるのだった。

因みに、YM氏は「街中でよく見かける耳の裏側に大きくかけられた形になっている所謂『補聴器』は言わば集音器のような機能しか果たさず、あのようなもので妥協せず思い切った買い物をしないと後悔する」と教えてくれたのだった。そして、その通りだったと解った次第。彼は「補聴器は未だ進歩発展の余地がある器機で、その市場も増加する一途の高齢者を見込んでいるだろう」とも指摘していた。

しかし、如何に機能が優れていてもあのような価格帯では年金暮らしの方には結構な重い負担になるだろうから、容易に普及しないのではないかとは思うのだ。眼鏡のPM社に訊けば「眼鏡だけでは難しい時代に入ったので、何でも出来ることは手がけていこうという政策」と説明していた。そう言われてみれば、多くの眼鏡店には「補聴器」の取り扱いの看板が出ているし、ポスターも貼られている。

余談だが、この文明の利器は着用すれば永遠に機能を果たすのではなく、電池式だったのだ。俗に「機械が高額ならばそこで使われるサプライ用品が経済的な価格に設定されている」と言うが、この電池は器機とは相対的に低価格に設定されているかの感もある。だが、寿命が比較的に短いようなので買い置きでもしておかないと万が一のこともあるかと思わずにはいられなかった。何れにせよ、進歩と変化には追いついていけない時代になったものだ。

アメリカ市民の我が国の政治に対する認識度

2014-12-01 08:03:15 | コラム
我が国からの表発信量の不足だけの問題か:

私は以前に数人のSM氏も含めて友人知己に”TPP”の知識と関心の度合いを尋ねたこともありました。答えは遺憾ながらほとんどの人が知らないというか無関心でした。私にとっては想定内でした。それはアメリカは合衆国と言いますが、全てが州単位の国ですから、多くのアメリカ人は自分の州外のことには関心が低いと承知しているからです。しかも、何度も言ってきたことですが(今や衰退の極みにある紙に刷った)新聞は皆州単位の言わば地方紙で州外のことに関するニュースには多くの紙面を割きません。だから誰も関心が低いのは当然です。

目下ところ、数名の友人知己に「アベノミクスを知っているか」と照会中ですが、恐らくTPPと同じ結果でしょう。我が国にもアベノミクスの評価が低いの、認知度も高くないとアメリカで報じられていると言う人がいますが、それは左寄りのNYタイムスやワシントンポストが我が国の全国紙と同様な存在だと勘違いしておられる方々が言うことでしょう。

ここに、ご参考までに2009年8月に与えられた機会に採り上げた「アメリカ市民の我が国の政治に対する認識度」を採録します。

アメリカ在住の日本人は言う:

これは私の古き友人で、アメリカ生活が30年を超える日本の元ビジネスマンの偽らざるアメリカおよびアメリカ人の日本についての認識の実態の報告である。

“もう一度良く考えて見ます。まず一般的米国人にとっては日本の政治などはまったく関心のないことで、ウオール・ストリート・ジャーナルのような経済紙などを別にするとほとんど話題には出てきません。

ロス・アンジェルス・タイムスのような有力一般紙は特派員を日本に出していますが、日本の話題は社会現象が中心で、すなわち、いかに日本は異質 な社会であるかなどに焦点を当てています。

また、日本そのものの存在感がありません。80年代のJapan as No.1から、Japan Bashing, Japan Passingときて今はJapan Nothingと言われているように、相対的に中国の世界における政治、経済の影響力が日本を影の薄いものにしています。例えば、米国債保有高も僅差ながら、中国が日本を抜き彼らの存在がさらにクロウス・アップされてくるわけです。

何しろ日本は失われた15年と近年数年のうちに4人もリーダーが変わると言う異常性が国際的な評価を下げまくっています。そういう意味では日本のInternational Standard、すなわちAmerican Standardから見る”異常性”だけが話題を呼び、何故そうなのかといった中身ないしは真実には米国人は関心がないようで、一部のインテリ層だけしか自民VS民主の日本国内政治には知識がないと言うのが実情と思います。“

これに敢えて私が注釈を付ける必要などないほど、如何ながら実態をハッキリと言い表していると思う。

知日派のアメリカの技術者が言った:
次は日本市場を担当すること20年にも及び、年間に10回近く日米を往復した、極めて常識人で知日派であると言えるアメリカ人の技術者は語る。

“貴君が言う通り大多数のアメリカ人は日本の政治と政界のことはほとんど何も知らない。その原因一つとして考えられることには、テレビや新聞等のマスコミが何も報道しないことがある。

他の原因として考えられる要素を挙げれば、日本は今や中国やパキスタン等と同様にアメリカの確固たる経済面のパートナーであることだろう。

従って、我々はそういう貿易面のパートナーである諸国の経済面のことに関心があるのだ。それは、そういう要素がアメリカの製造原価や貿易収支に直接影響するからである。

私は連邦政府が発行する日本の政局に関する報告書等見たこともない。この点はアメリカが確たる外交関係を樹立している他国と比較すれば、大いに趣を異にしている。

私はアメリカないしは世界の景気が何時回復するかに関して何ら予測する立場にはない。統計資料などによれば、景気は遠からぬ将来立ち直るとされているが、私は現在の失業率が余りにも高く、予断を許さないと感じているのだが。”

私の正直な感想を言えば、「お二方とも良くこれだけ率直に語って頂けたものだ」となる。同時に極めて残念なことは、我が国はこのように戦後何年経っても、アメリカにおける日本に対する一般的な認識というか認知度がこの程度に止まっているという事実である。

私は常に「我が国からの情報の発信量が極めて少ないこと」を指摘してきた。

だが、このお二方の意見を見れば、決してそれだけが原因とも思えない。政界、財界を挙げての、ないしは官民一体となった努力が必要であると考える。

こんなことを言えば何処かに「そのためには英語の勉強を強化することが必要」等と言う輩が出てきそうだが、そんな問題ではない。如何にして知らしめるかの方法論とそれに向かっての努力の問題である。

現職のビジネスマンは言った:

以上の他に最初に答えてくれたハーヴァードのMBAでIntelのマネージャー(当時45歳)は「日本の政治ことを尋ねられても、どのような政党があるかも知らない。その辺を先ず知らせて欲しい」との問い合わせをしてきた。

実は、これはある程度以上予測していたことであった。アメリカ人はアメリカ以外のことを余り知らない。それで十分だと思っている節さえある。特にビジネスの世界では独占禁止法が厳しいので、競合する同業他社の社員との交流は危険なので、他社の情報も余り入手できていない嫌いがある。

それはそれとして、私は現状を改善する、即ち、諸官庁もマスコミももう少し諸外国に我が国実態を知らせるべくチャンとした情報を定期的に大量に正確な以後を含む外国で発信する必要があると思う。

此処にあらためて情報を提供してくれた友人達に感謝する次第である。