新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月2日 その2

2015-07-02 10:56:50 | コラム
未だ嘗てこれほど興奮させられた勝ち方がなかった:

女子W杯準決勝戦観戦記:


私は我が女子代表の実力が運を引っ張り込んだと思っている。実はNHKのBSの中継で見ていたのだが、試合開始前の彼女らの明るい表情を見て「これならば何とか勝ってくれるだろう」との予想を立てていた。そして結果的にはあの何と形容して良いのか一瞬言葉を失った、イングランドの所謂“ロスタイム”3分間での”オウン・ゴール”での決勝点だった。審判の判定が瞬間的に遅れたが、私は「入っていた」と見ていた。得点は2対1だった、念のため。

昭和20年から蹴球を始め多くの試合を見たし又経験してきたが、これほど興奮させられた勝ち方はなかった。イングランドの縦一発と言うよりも古き良き英国風の「キック・アンド・ラッシュ」のサッカーに悩まされ多くのシュートを浴びたが、NHKのスタジオ解説の早野がいみじくも言った「ゴールのバーとポストに感謝せねば」というイングランドのシュートの不正確さにも助けられたとも言えるだろうが、それも「ついているかいないかも実力のうち」だった。

私は佐々木監督が澤を使わなかったのは、恐らくあの流れでは延長戦もあり得ると見込んで温存し、流れを変えると読んで岩淵だけを投入したのではと思って見ていた。それほど我が方は流れを支配し切れておらず、イングランドの単純に蹴り込んでくるように見えて意外に正確に縦パスが通っていたキック・アンド・ラッシュ戦法に攪乱されて蹴り合いに巻き込まれていたことが、PK以外に点を取れなかった主たる原因と見ていた。

しかし、私はこの勝利では岩淵を含めて試合に出ていた12人の誰も貶す気はない。皆精一杯に自分の持てる力を発揮して、攻める時はあの蹴り上げるだけで守る時には大きな身体をぶつけて来る相手に負けることなく、流れの中で失点することがなかったことと、それを支えた精神力をも褒め称えておきたい。あの攻守両面での健闘振りは勝利で終わって見れば実に立派で感動的なものだった。

別な表現を用いれば「我が代表には前回のW杯を制覇した実力に加えて勝ち方を知る強さがあればこそ、あれだけ攻めていたイングランドがオウン・ゴールになってしまう後方へのパスなのかクリヤーなのかハッキリしない蹴り方をする運を引き込んだのだ」のである。決して幸運などではない。我が方の実力のなせる業だったのだ。

技術面で一つだけ言っておきたいことがある。それはシュートだ。この試合でも枠に中に入ったGK(ゴール・キーパー)が捕ったシュートがなかった不正確さはこれから先の中三日間に可能な限り修正しておくべき重大な課題であろう。特にアメリカのGKのソロ(Solo)は非常に上手いのだから。

恐らくこれほど感動させられ興奮した我が国の代表が勝った試合を見て経験がないので、観戦記を書こうとPCの前に来ても中々構想が纏まらないのだ。兎に角「凄い、偉い、感動した」なのだが、彼女らにはこの実力とそれが招いた運を堅持して(麻雀には「ツキを腕で消す」場合があるので要注意だ)アメリカとの決勝も勝ってまた感動させてくれることを祈念して終わる。


7月2日 その1

2015-07-02 07:18:42 | コラム
錦織圭が選んだ道では:

錦織圭がウインブルドンを足故障で棄権した:

私は可哀想だが棄権は止むを得なかったことだと思っている。私は可哀想だとは思うが、これは私がこれまでに主張してきた「全てが欧米人の体格と体力等に基づいて設計・設定されている世界に我々のような民族が入っていって、最上且つ最善の結果を求めようと真摯敢闘する時に避けて通れない障害物があり、苦心惨憺させられるし、時には挫折もある」というあの世界で経験する難しさであって、これを乗り切っていく以外にあの世界での生き残りはないということだ。即ち、外野から批判することも非難することも適切ではないと思う。簡単に言えば文化の違いである。

私は当初錦織君を過小評価したというか、あの体格であの世界で上位に進出し、確固たる地盤と地位を確保するのは無理ではないかと、自らのアメリカ人の会社勤務の経験に照らして考えていた。そして先頃その見通しの誤りを認めて、彼の現在までの努力と精進を評価した。偉いものだということだ。しかし、何時かは身体に無理か来るのではないかとの懸念は拭いきれなかった。今回はその無理というか過剰負担が偶々ウインブルドンという大きな大会の最中に表れたということだろうと見ている。

私には今後彼がどのような鍛え方をしてあの世界で生きながらえて、上位を確保していくかは想像も推定も出来ない。だが、世界の5位に入っていれば簡単に大きな大会で棄権することは許されないだろうし、又彼自身も潔しとはしないだろう。しかし、彼は最早”point of no return”を過ぎてしまったのだから、やれるところまでやり抜かねばなるまい。その道のりはこれまで以上に険しいだろう。

だが、そこは彼が好み且つ選んで入っていった常人には解らない世界である。彼には突き進む以外の選択肢は残されてないのだから、外野からは何のかんのと言わずに見守り且つ応援してやる以外にはないのだ。