新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月8日 その2 宮間あやの名言

2015-07-08 16:22:03 | コラム
決勝戦で負けてしまっては何も得たものはなかった:

これは昨日女子サッカー日本代表がカナダのW杯から帰国して成田空港の近くのホテルでの記者会見で主将の宮間あやが「W杯を決勝戦まで戦って何か得たものがあったか」という、私には愚問としか思えない質問に答えたものである。私は感動した。記憶には「優勝杯を持って帰れなかったのでは」とも言ったかなとあった。

その時には画面では一瞬冷たい空気が流れたと感じた。彼女はそれほど徹底した代表選手の主将としての意識があったと思う。それを読み切れず、その気持ちを察しきれずに、あの質問を発した女性記者を笑いたい。

苟も一国の代表として世界の選手権の場に出ていく者には、宮間のような徹底した代表選手の意識を持って貰うことが理想的だと思う。彼女らは物見遊山にカナダまで出向いていった訳ではないくらいは、質問する側が承知しておきべきだったことを痛烈に示した宮間の答えだった。決勝戦から未だ2日しか経ていなかったあの場では宮間の意識には「責任」が重くのし掛かっていたと思った。

7日夜のドルトムント対川崎フロンターレのサッカーを観て

2015-07-08 09:25:16 | コラム
香川真司は何故ドルトムントだと輝くのか:

W杯女子で我が代表が残念にも決勝戦で敗れ、もうこれで当分の間サッカーの外国との試合を見ることもないかと思っていた矢先に、気が付けば香川君が復帰せねばならなかったドイツのドルトムントが海外遠征中で、昨夜川崎でフロンターレとの親善試合に臨んでいた。そうとは知らず、ギリギリの時刻に新聞のテレビ欄、それもBSを見て気が付いた。

私は以前に「中田英寿君の悲劇は日本代表でサッカーをやった時には周りの9人(10人でも良いが)が中田英寿ではなかったこと」と言っていた。これは彼が日本代表に入った場合には常に消化不良に終わり、持っていたはずの「実力」を発揮出来なかった理由を解説した表現である。香川君の場合にも多少以上中田君と似たような事情があると思う。

その点が昨夜の川崎フロンターレが前後半を何れが一軍なのか解らないような総入れ替えをした布陣で臨んできたドルトムントに、無残にも6:0で大敗した試合でも証明されていた。香川は前半だけの出場だったが、周りの上手さに助けられてアッと言う間にほぼフリーの状態で2点も取らせて貰っていた。これは中田の正反対(近頃芸人どもが「真逆」と言うがあれは何だ。国語を貶める言葉遣いだと不快に思っている)の現象で、彼の持てる力を優れた周囲の各国の代表級の者たちが盛り立ててくれているのだ。

周囲の優れた者たちがあってこその香川で、4~5年前まで在籍していた頃には輝かしき実績を残しリーグ優勝に貢献し一躍「世界的な名手」の如く、我が国のマスコミの囃し立てられてしまった。その先にあったのが悲劇的な移籍先のUKのマンチェスター・ユナイテッド(MU)での補欠扱いだったことと、我が国の代表では凡庸な外国人監督に本田の使いっ走り的な使われ方をされたことだった。本田では香川を使う力量はない。

既に指摘したように香川は欧州や南米諸国の代表級の者たちに囲まれ、彼等に彼の持てるものを引き出すような使い方をされて才能を伸ばしてきたのである。その成長をMUの二流の監督の補欠扱いで無にされ、また日本代表でも彼を活かす使い方を出来ない監督に折角の技術を無駄遣いされたと言えるだろう。この言い方では香川に瑕疵はないかの如きだが、その辺りは彼に直接に尋ねてみる機会でもない限り解らないと思うが。

ここまでで言いたかったことは、我が国の国内リーグ・Jリーグで如何に優れたサッカー選手であっても、欧州や南米勢の中に入って彼らに上手く使われて初めて力を発揮出来るのであり、全員が諸外国の代表級の実力者ではない日本国代表の選抜ティームの中に入れば、欧州のリーグで見せたような輝きはおいそれとは出てこないものだと私は考えている。

私はあのW杯女子のサッカーの観戦記でもしきりに「身体」、「身体能力」、「フィジカル・ストレングス=身体の強さ」等における彼我の比較を論じた。我が代表はそういう身体的劣勢を全員打って一丸となる総合力、技術と敏捷さ(スピード)と精神力で十分に補って決勝戦まで見事に勝ち上がっていった。しかし、アメリカの我が方を研究し尽くして、借りを返すことに十二分に備えてきた戦法と身体の大きさの優位性を最終的に活かされて、3点差を付けられてしまった。

こういった女子の事情も含めて、今後我が国のサッカーに求められることは上記の「技術、スピード、精神力に加えて科学性をも十分に加味した練習量で補って、11人全員が欧州や南米勢を凌駕する水準を達成し、嘗ての中田や現在の香川のような『周囲の上手さに使って貰う』域を脱していく、自立する技術と精神力を兼ね備えた者たちを育成すること」にあるのではないか。

その為には世代交替も必要だが、その前に欧州や南米勢が持っているものを吸収する為にも、Jリーグのレベルでの優勝を目指して小さく纏まらないようにする為にも、可能な限り海外のリーグに出て行く必要があるだろう。その為には動もすると野球に持って行かれる感を否定出来ない、身体が大きく身体能力に優れた人材を、今以上に確保したい気がするのだ。例に挙げては申し訳ないが、女子の岩淵のような人材ではないという意味である。

最後に協会に申し上げておきたいことは、佐々木則夫監督は2008年から指揮を執り始めたと聞いたが、その結果は三つの世界的大会で混成ティームでも全て決勝戦まで出ていく代表ティームを作り上げた実績を十分に検討して「継続は力なり」から学ぶことだ。即ち、4年ごとのW杯を考えてかどうか知らないが、ドイツ、フランス、ブラジル、イタリア、メキシコ、ユーゴスラヴィア(ボスニア・ヘルツェゴビナ)に加えて日本という具合に哲学や思想信条が異なる監督を招請するのが得策か否かを検討して貰いたいものだ。