新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

メル友と中国を論じた

2015-07-11 15:50:54 | コラム
中国論:

昨日の「素人が中国経済を論ずれば」について、畏メル友・尾形氏から以下のような意見が寄せられ下記のように意見交換の場となったのでご紹介しよう。

>尾形氏の意見の引用開始
ご指摘の<共産党はおいそれとは破たんさせないだろう>ですが、野村証券のストラテジスト?も、「中国の企業は国有であり、共産党が景気刺激策を打ち出すから大丈夫だろう」、いう趣旨のコメントをTVでしていました。

確かに、これまでも、今回もそういうことになる可能性は高いと思います。ただ、経済原則に反した無理は長続きしない、ということです。つまり、政府の公共投資などで景気浮揚を図っても、最終的には企業が国際競争力のある製品やサービスを作り出して国内外で購入・消費して貰う事が絶対に必要です。

中国の場合は、仰せのようにこれまで海外から資本と技術を導入し、世界の工場となって稼いできました。つまり、作った製品は殆ど輸出して来たのです。日米と違って、中国の場合、GDPに占める個人消費=内需の割合は極端に低い輸出依存型です。成長のもう一つの柱は設備投資と不動産投資です。国有企業と地方政府が競って、設備投資をして来たのです。その結果、鉄鋼・セメント・自動車などの設備は異様な過剰状態です。

こうして、これまでの成長を支えてきた固定資産投資(設備・不動産投資)がもう出来なくなったのです。かと言って、個人消費を増やす、と言っても簡単じゃありません。

株式市場の育成も時間が掛かりますし、成熟には政治や経済の自由化などといった基盤整備が前提になります。それを、共産党のコントロール下
で行おうなどは冗談です。30年?も前のことでしたが、クエートで株式市場が創設されました。幾つかの企業が上場され、取引がスタートしたのです。企業と言っても名ばかりのものです。投資家はクエートの王子など一部の金持ちです。経済や株式の知識など殆どありません。ゲームみたいな事をやって、最後はどうしようも無くなって、政府が損失を引き取って幕引きとなりました。

言っちゃなんですが、「共産党が完全に管理する株式市場」などは、このクエートの株式市場に似ています。殆どが国営企業で、情報も共産党が独占しているのです。公平で透明な市場など絶対に無理です。
>引用終わる

*これに対する私からの反応は

>私の反響の引用開始
中国の輸出は国策です。これまでに何度か指摘しましたが、アメリカは中国の紙パルプ業界への最大の原料供給国です。しかし、その原料で安価にアメリカに輸出されてくる塗工印刷紙に高率の反ダンピングと相殺関税を課して実質的に禁輸としました。その理由は「中国は輸出に対して減税を行い、尚且つ輸出奨励金を出しているのは国際的に不公平で市場を乱す」というものでした。

私はどっちもどっちだと思いますが、内需が何も紙パに限ったことではなく未成熟で輸出に依存せざるを得ない中国では国策としての輸出奨励策がある以上、資本主義か自由主義経済の諸国は安価を利用して攻め込まれるのを防ぐのは難しいでしょう。我が国の製紙業界も一時は大分国内市場を食い荒らされましたが、円安に転じた以降は低迷しております。コピー用紙などは国産紙の方がインドネシア等のものよりも安値で末端に市販されているとか。
>引用終わる

*更に上記に対する尾形氏の反響は

>尾形氏の意見の引用開始
<中国の輸出は国策>、仰せの通りだと思います。

周知の如く中国には毛沢東が考えた、「都市戸籍」と「農村戸籍」があります。その目的は、農村戸籍の国民を農村に縛り付けて、移動させないためのものです。農村戸籍の農民が都市へ出稼ぎに行っても、教育や福祉などで大変な格差があります。農村戸籍から、都市戸籍への変更は厳しく制限されています。農村戸籍の女性が都市戸籍の男性と結婚すると、認められます。男性の場合は、激烈な競争を勝ち抜いて都市の有名な大学に入学する事です。

小平の「改革開放」で中国は対外政策の大転換を行い、中国は共産党独下の市場経済に踏み切りました。その結果が、「世界の工場」となり、急速な成長を遂げました。その原動力は、農村戸籍の低賃金労働力でした。小平の決定からほぼ35年、中国はひたすら設備投資と不動産開発を続けて来ました。その固定資産投資型の成長が行き詰まってきたのです。

この10年程で中国の賃金もかなり上昇しています。つまり「豊富な低賃金労働力」に支えられてきた中国の「世界の工場」の基盤が揺らいでいるのです。更に中国の根本的な問題は、戸籍問題に見られるような、巨大な格差・不平等があります。7500万人強と言われる共産党員とその家族は特権を享受しています。法律や人権は無きに等しく、賄賂が潤滑油という社会ですから、特権を利用しての蓄財は当たり前ですから、格差は拡大する一方です。

「土地はみんなのものだから、国有」ということになっていますが、現実は権力を独占する共産党の意のままなのです。只みたいな代償で取り上げた土地を“開発”して地方の共産党幹部達は大儲けしてきました。こうした不平不満が中国には鬱積しています。その為に、10人以上の暴動が年間20万件も発生しているのです。それを、共産党は力で抑えつけているのです。そうした共産党独裁を正当化する為に、「反日歴史外交」を掲げ、露骨な覇権主義追及をしているのです。

そういった事を日本のメディアは殆ど報道しません。特に、NHKや朝日は酷いものです。逆にまるで「平等な人民主権の国家」であるかのように褒め讃えてきたのです。
>引用終わり

*以上に対する私からの11日の反響は
>私の反響の引用開始

<「土地はみんなのものだから、国有」ということになっていますが、現実は権力を独占する共産党の意のままなのです。只みたいな代償で取り上げた土地を“開発”して地方の共産党幹部達は大儲けしてきました。>

このご指摘で思い当たることがありました。それは2回目だったかの中国(上海と蘇州)のパック旅行の際の男性ガイドが「土地は国家の所有で我々は賃借契約をしている。キチンと働いて収入を確保して借地料を納付しないと没収されるし、賃貸の期限も切られているのだから大変だ。期限切れの後は再度契約する手続きがと云々」と言っていました。上記のご指摘の内容と符合します。
>引用終わり