カーラ・ヒルズ大使の発言には如何なる背景があったか:
昨日に採り上げたトランプ次期大統領が見せる不安のところで、
<1994年7月に(未だアメリカの人口が2億6,000万人だった頃)USTRの代表だったカーラ・ヒルズ大使は「アメリカの労働力が抱える基本的な問題に(1)識字率の向上と(2)初等教育の充実がある」と指摘され、同時期にFRBのポール・ヴォルカー議長は(3)numeracy(=一桁の足し算・引き算が出来る能力)の向上が必要」と認められた。あれから23年経って人口は6,000万人も増え、minoritiesがその大半を占めるのではないかと危惧されている。>
と述べたが、この(1)と(2)は当時NHKと読売新聞が共催したパネル・デイスカションでの同大使の発言だったのだ。これは司会者が「何故アメリカの対日輸出が不振なのか。その原因と対策を大使はどうお考えか」と振ったのに対してのヒルズ大使の答えだった。
1975年から19年間W社で対日輸出を担当していた者としては、大使の発言は極めて尤もで「良くお解りではないか」と寧ろ感心していたくらいだった。お解りだったのならば、何とかなさったらどうかなとの思いで聞いた。そこで、この際大使の発言を補足説明をしておこうと考えた。
それは、アメリカの職能別労組にも問題点があるが、それ以外に大使が指摘されたように現場には折角良く整備されたマニュアルが準備されているのだが、それを読めない者がいる問題。その中には勿論アメリカ人もいないとは言わないが、英語の教育を受けていない外国人(と言うかminorities)もいるのだ。それならば、マニュアルが読めない者がいるとは解るが、もっと困るのは「読んだ振りをする者」もいる点なのだ。私は大使は(1)と(2)の両方がいると認識されていたと解釈した。
そんなことがあるのかとお疑いの向きもあるだろうが、私は何度も工場長に協力して、三交代の組合員たちの直が終わった後で彼らに残業料を払って集合して貰い「如何に仕事の質を改善し改良して世界の何処の市場に出しても通用するような製品の質の向上に努力しないことには、君らの職の安全は保証されないし、君らが依存している会社の事業部の将来も危うくなる。これまで君らは良くやってきてくれた。そこでここはもう一踏ん張りしてもう少し余分の努力をして、より一層の改善と改良に取り組んで貰いたい」と語りかけたのだった。
その際には、日本市場の世界の何処にもない難しさを説明する為にも私も参加して語るのだったが、質疑応答の際に挙手をして質問する者全てが英語を話せる訳でもないとの実感を得たのだった。更に問題を起こした製品を子細に検討すれば、どうやらマニュアルを読んでいない者がいることくらいは、技術者でもない私にも解るのだった。
Weyerhaeuserと言えば、当時はアメリカでは上位3社、世界でもトップ10に入るメーカーである。そのくらいの会社でも労働組合をその辺りから教育・指導する必要があったのだ。それも一度や二度語りかけたくらいで効果が出てくるような性質ではなかった。念のためお断りしておくが、アメリカの労組は我が国の企業内組合ではなく、法律で保護された会社側とは別な組織であり、上記のような職能別労組なのである。
アメリカの労働市場は、かくの如くに我が国とは異なっているのだと思って見て頂かないと、誤解を生じると思う。目下、トランプ次期大統領が色々と難題を吹っ掛けておられる自動車産業界にはかのUAWという多くの点で強力な組合組織があって、現在のアメリカ自動車産業界があるのだと思って頂くべきだろう。その組織が作ってきた自動車が今日までにどういう結果を出してきたかなどは、門外漢の私がここで云々する必要はあるまい。
昨日に採り上げたトランプ次期大統領が見せる不安のところで、
<1994年7月に(未だアメリカの人口が2億6,000万人だった頃)USTRの代表だったカーラ・ヒルズ大使は「アメリカの労働力が抱える基本的な問題に(1)識字率の向上と(2)初等教育の充実がある」と指摘され、同時期にFRBのポール・ヴォルカー議長は(3)numeracy(=一桁の足し算・引き算が出来る能力)の向上が必要」と認められた。あれから23年経って人口は6,000万人も増え、minoritiesがその大半を占めるのではないかと危惧されている。>
と述べたが、この(1)と(2)は当時NHKと読売新聞が共催したパネル・デイスカションでの同大使の発言だったのだ。これは司会者が「何故アメリカの対日輸出が不振なのか。その原因と対策を大使はどうお考えか」と振ったのに対してのヒルズ大使の答えだった。
1975年から19年間W社で対日輸出を担当していた者としては、大使の発言は極めて尤もで「良くお解りではないか」と寧ろ感心していたくらいだった。お解りだったのならば、何とかなさったらどうかなとの思いで聞いた。そこで、この際大使の発言を補足説明をしておこうと考えた。
それは、アメリカの職能別労組にも問題点があるが、それ以外に大使が指摘されたように現場には折角良く整備されたマニュアルが準備されているのだが、それを読めない者がいる問題。その中には勿論アメリカ人もいないとは言わないが、英語の教育を受けていない外国人(と言うかminorities)もいるのだ。それならば、マニュアルが読めない者がいるとは解るが、もっと困るのは「読んだ振りをする者」もいる点なのだ。私は大使は(1)と(2)の両方がいると認識されていたと解釈した。
そんなことがあるのかとお疑いの向きもあるだろうが、私は何度も工場長に協力して、三交代の組合員たちの直が終わった後で彼らに残業料を払って集合して貰い「如何に仕事の質を改善し改良して世界の何処の市場に出しても通用するような製品の質の向上に努力しないことには、君らの職の安全は保証されないし、君らが依存している会社の事業部の将来も危うくなる。これまで君らは良くやってきてくれた。そこでここはもう一踏ん張りしてもう少し余分の努力をして、より一層の改善と改良に取り組んで貰いたい」と語りかけたのだった。
その際には、日本市場の世界の何処にもない難しさを説明する為にも私も参加して語るのだったが、質疑応答の際に挙手をして質問する者全てが英語を話せる訳でもないとの実感を得たのだった。更に問題を起こした製品を子細に検討すれば、どうやらマニュアルを読んでいない者がいることくらいは、技術者でもない私にも解るのだった。
Weyerhaeuserと言えば、当時はアメリカでは上位3社、世界でもトップ10に入るメーカーである。そのくらいの会社でも労働組合をその辺りから教育・指導する必要があったのだ。それも一度や二度語りかけたくらいで効果が出てくるような性質ではなかった。念のためお断りしておくが、アメリカの労組は我が国の企業内組合ではなく、法律で保護された会社側とは別な組織であり、上記のような職能別労組なのである。
アメリカの労働市場は、かくの如くに我が国とは異なっているのだと思って見て頂かないと、誤解を生じると思う。目下、トランプ次期大統領が色々と難題を吹っ掛けておられる自動車産業界にはかのUAWという多くの点で強力な組合組織があって、現在のアメリカ自動車産業界があるのだと思って頂くべきだろう。その組織が作ってきた自動車が今日までにどういう結果を出してきたかなどは、門外漢の私がここで云々する必要はあるまい。