Disaster:
この件では、W社時代に最も長時間ともに仕事をした同僚だった技術サーヴィスマネージャーと意見を交換中で、12日夜のPrime Newsでの手嶋龍一氏とデーブ・スペクター氏の珍しく駄洒落のない意見にも大いに啓発された。この同僚(仮にL氏としておく)は共和党の候補者選びの段階で「もしもトランプが候補者に指名されたら”disaster”だ」と指摘していた。敢えて英語のままにしたが、ジーニアス英和には「・・・・にとっての災害、天災、大惨事(突然の)大災難」とあり、次には「完全な失敗、めちゃくちゃな状態」ともあるのだ、念のため。どれを当て嵌めて考えるかは諸賢のご判断に任せたい。
L氏に知らせた書き出しは「その”disaster”が現実のものとなって、しかも次期大統領という名の下に記者会見に現れた」だった。私は既に「トランプ氏はおよそ政治・経済・軍事・外交等にこれという知識もなく好き放題を言っておられるのか、あるいは何もかもご承知の上で知らない振りをして勝手気ままに人を惹きつける発言をしておられるのかの何れだ」と言ってきたが、あの記者会見を、専門家の判断を考慮に入れて聞いても、甚だ残念だが、どうも前者のようだとの結論に達した。
それは、このようなはちゃめちゃな人物がこれから先少なくとも4年間は世界最大の軍事・経済等々の国の指導者として君臨されるのかと思う時、何と言って表現したら適切なのかと言葉を失いそうな衝撃を受けたのだった。暗い気持ちになってしまったという意味だ。しかも、トランプ氏は意図的か否かは知る由もないが「これから先の8年」と2期も大統領の職を続ける意欲を示すと思わせる発言をしていた。事実、L氏宛の感想文の「送信」ボタンをクリックした後は陰々滅々とした気分になってしまった。
あの「無知は力なり」(=”Ignorance makes right.”として置いたが)とでも形容したいような発言を全く意に介せずに自信たっぷりに、我が国までがアメリカに巨額の貿易赤字を生み出させている公言するに至っては呆れた。「一体全体如何なる目的で何十年も前の日米貿易摩擦のことを持ち出すのか」と唖然とさせられた。我が国自動車メーカーのみならず、電機メーカー等々が摩擦緩和の為にアメリカ政府の意に沿うべく現地生産に移行し、トランプ氏が強調された大いなる雇用を創出してきたかをご存じないとしか思えない暴論だった。
私はアメリカが国際市場で競合能力が著しく劣化して、大いなる輸入国になってしまった最大の原因の一つに質が悪くコストが高い労働力の問題があると何度も何度も指摘してきたし、USTRのカーラ・ヒルズ大使がその問題の所在を承知していると、1994年に公開の席で述べられたことも述べてきた。W社の日本市場での成功がその点の改善と改良に懸命に努めたからだとも述懐してきた。連邦政府が既に承知していた事実を21世紀の今になってご存じではない大統領が出現するとは、俄に信じがたい思いだった。
Prime Newsでもスペクター氏だったかが、AppleがもしiPhoneを自国内で生産すれば少なくとも現在の市価の4倍となると自覚していると述べていたが、その高コストを回避する為にアジアの諸国等で生産しているとの指摘だった。その敢えて低質と言うが、それに加えて高コスト労働力のアメリカ本土に、現状以上に「指先介入?」で自動車工場を作らせることに、どれほどの追加的価値があるのかをお考えになっているのかというのは素朴な疑問だ。知っていれば出来ない介入ではないのか?
マスコミがくずの情報を云々という壮絶とでも形容したいようなCNNの記者の質問を封じ込めたやりとりを聞いていて思ったことがあった。それは「無秩序の秩序」で、今後の記者会見にも持ち込みたい意図でもあったのかと思わせられた。質問者というものは予め決まっているように見えるのが記者会見だと思っていたが、座っていた全員が挙手したのはどう見ても異常だった。トランプ氏は旧来の因習をかなぐり捨てて「新トランプ式」をあらゆる分野に確立なさるおつもりなのかとも思えた。それならそれで結構なことではないのかと思わせられないでもない。でも、無秩序は疑問だ。
就任式までは1週間しか残されていない。その間に望むらくはスタッフや入れ替えるはずの高級官僚等から十分すぎるほどのブリーフィングでも受けて頂かない限り、アメリカ政府が世界を要らざる混乱を招く原動力になりはしないかと懸念させられた記者会見だった。アメリカの会社で経験した限りでは、地位が上に行けば行くほど自分自身で動き回って自分の目と頭で下情にまでも十分に通じていないと、経営の任を全う出来ないし、その年俸に見合う働きは出来ないのだ。
トランプ次期大統領は今からでは遅きに失するかも知れないが、下情どころではないアメリカと世界の政治・経済・軍事・外交・安全保障問題に精通していただき、対中国、対ロシア、対イスラム教がらみのIS、対中近東、同盟国ニッポン対策、TPP、NAFTA等々の全世界が注目しているであろう重大事案とその内容を完全に把握してアメリカを統治して頂きたいものと望むし、少しは期待したいのだ。それらの願望が無い物ねだりにならないことを切に望むのだが。
この件では、W社時代に最も長時間ともに仕事をした同僚だった技術サーヴィスマネージャーと意見を交換中で、12日夜のPrime Newsでの手嶋龍一氏とデーブ・スペクター氏の珍しく駄洒落のない意見にも大いに啓発された。この同僚(仮にL氏としておく)は共和党の候補者選びの段階で「もしもトランプが候補者に指名されたら”disaster”だ」と指摘していた。敢えて英語のままにしたが、ジーニアス英和には「・・・・にとっての災害、天災、大惨事(突然の)大災難」とあり、次には「完全な失敗、めちゃくちゃな状態」ともあるのだ、念のため。どれを当て嵌めて考えるかは諸賢のご判断に任せたい。
L氏に知らせた書き出しは「その”disaster”が現実のものとなって、しかも次期大統領という名の下に記者会見に現れた」だった。私は既に「トランプ氏はおよそ政治・経済・軍事・外交等にこれという知識もなく好き放題を言っておられるのか、あるいは何もかもご承知の上で知らない振りをして勝手気ままに人を惹きつける発言をしておられるのかの何れだ」と言ってきたが、あの記者会見を、専門家の判断を考慮に入れて聞いても、甚だ残念だが、どうも前者のようだとの結論に達した。
それは、このようなはちゃめちゃな人物がこれから先少なくとも4年間は世界最大の軍事・経済等々の国の指導者として君臨されるのかと思う時、何と言って表現したら適切なのかと言葉を失いそうな衝撃を受けたのだった。暗い気持ちになってしまったという意味だ。しかも、トランプ氏は意図的か否かは知る由もないが「これから先の8年」と2期も大統領の職を続ける意欲を示すと思わせる発言をしていた。事実、L氏宛の感想文の「送信」ボタンをクリックした後は陰々滅々とした気分になってしまった。
あの「無知は力なり」(=”Ignorance makes right.”として置いたが)とでも形容したいような発言を全く意に介せずに自信たっぷりに、我が国までがアメリカに巨額の貿易赤字を生み出させている公言するに至っては呆れた。「一体全体如何なる目的で何十年も前の日米貿易摩擦のことを持ち出すのか」と唖然とさせられた。我が国自動車メーカーのみならず、電機メーカー等々が摩擦緩和の為にアメリカ政府の意に沿うべく現地生産に移行し、トランプ氏が強調された大いなる雇用を創出してきたかをご存じないとしか思えない暴論だった。
私はアメリカが国際市場で競合能力が著しく劣化して、大いなる輸入国になってしまった最大の原因の一つに質が悪くコストが高い労働力の問題があると何度も何度も指摘してきたし、USTRのカーラ・ヒルズ大使がその問題の所在を承知していると、1994年に公開の席で述べられたことも述べてきた。W社の日本市場での成功がその点の改善と改良に懸命に努めたからだとも述懐してきた。連邦政府が既に承知していた事実を21世紀の今になってご存じではない大統領が出現するとは、俄に信じがたい思いだった。
Prime Newsでもスペクター氏だったかが、AppleがもしiPhoneを自国内で生産すれば少なくとも現在の市価の4倍となると自覚していると述べていたが、その高コストを回避する為にアジアの諸国等で生産しているとの指摘だった。その敢えて低質と言うが、それに加えて高コスト労働力のアメリカ本土に、現状以上に「指先介入?」で自動車工場を作らせることに、どれほどの追加的価値があるのかをお考えになっているのかというのは素朴な疑問だ。知っていれば出来ない介入ではないのか?
マスコミがくずの情報を云々という壮絶とでも形容したいようなCNNの記者の質問を封じ込めたやりとりを聞いていて思ったことがあった。それは「無秩序の秩序」で、今後の記者会見にも持ち込みたい意図でもあったのかと思わせられた。質問者というものは予め決まっているように見えるのが記者会見だと思っていたが、座っていた全員が挙手したのはどう見ても異常だった。トランプ氏は旧来の因習をかなぐり捨てて「新トランプ式」をあらゆる分野に確立なさるおつもりなのかとも思えた。それならそれで結構なことではないのかと思わせられないでもない。でも、無秩序は疑問だ。
就任式までは1週間しか残されていない。その間に望むらくはスタッフや入れ替えるはずの高級官僚等から十分すぎるほどのブリーフィングでも受けて頂かない限り、アメリカ政府が世界を要らざる混乱を招く原動力になりはしないかと懸念させられた記者会見だった。アメリカの会社で経験した限りでは、地位が上に行けば行くほど自分自身で動き回って自分の目と頭で下情にまでも十分に通じていないと、経営の任を全う出来ないし、その年俸に見合う働きは出来ないのだ。
トランプ次期大統領は今からでは遅きに失するかも知れないが、下情どころではないアメリカと世界の政治・経済・軍事・外交・安全保障問題に精通していただき、対中国、対ロシア、対イスラム教がらみのIS、対中近東、同盟国ニッポン対策、TPP、NAFTA等々の全世界が注目しているであろう重大事案とその内容を完全に把握してアメリカを統治して頂きたいものと望むし、少しは期待したいのだ。それらの願望が無い物ねだりにならないことを切に望むのだが。