新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

5日夜の対トリニダード・ドバゴのサッカー

2019-06-06 09:39:33 | コラム
格下を相手に引き分けとは恥ずかしい:

色々と考えさせられる試合だったので、以下に思いつくままに並べていこう。

カタカナ語の弊害:

相手国は英語では(と言っても公用語だそうだが)Trinidad and Tobagoだったと、国歌演奏の前の場内アナウンスの英語で確認出来た。カタカナ語を勝手にどう作ろうと勝手だが、招待した国の国名をand 抜かすおかしな表記にしているのは非礼だし宜しくないと思う。何処かメディアの1社くらい「正しくは」とか解説・訂正してもバチは当たるまいと思うがね。

森保一監督の狙いは那辺に:
彼は情けない引き分けの後のインタビューで堂々と彼の信念であるような「若手に経験の場をを与えて力を向上させたい」と述べていた。試合開始前にフジテレビは「メキシコがW杯だったかに若手だけで臨み成績は不振だったが、経験を積んだ若手は次のオリンピックでは優勝した」との例を挙げて、森保監督の昨夜の先発に私のように最早Jリーグの試合を偶にしか見ない者には「それって誰?」という選手を2人使って大目的に邁進する後押しする姿勢を見せていた。

更に本番では使うとは言わなかった、広島の監督時代に得意とした「3バック」に打って出て、長友と酒井宏樹を前に上げて見せた。相手が格下だから試したのかと訊きたい。私はあの程度の相手に3~4回「あわや」という縦パス一発で攻め込まれた辺りと引き分けという惨状では、使っても良いか否かの結論は出せないとは思う。だが、昨夜は不発だったと言っておこう。

私の目には森保監督は次のW杯までには時間があると見たのか、自分が選んだ若手に機会を与えて育てていけば間に合うと思っているのかと見ている。だが、昨夜は吉田麻也、川島永嗣、折角呼んだ久保建英をスタンドに置き、更に香川真司と岡崎慎司も最後まで1秒も使わなかったのでは、若手が背中を見たい実績がある者が不在だった。柴崎岳程度の背中を見たくらいでは香川にも遠藤保の域に達する確率は低くないのか。

アナウンサーは自己判断で放送するな:
非常に遺憾だったのは、アナウンサーが「惜しい」と叫ぶ場合はほとんどが「決定力不足」か「パスが不正確だった」と同義語だったのだ。アナウンサーはサッカーの中継を見ている人たちは応援するだけが楽しみである無経験者ではないと知るべきだ。偶には「遺憾ながら中島翔哉のシュートは不正確だった」くらい言ってみたらどうだ。彼の中距離でのシュートは全て不正確だった。GKのポジション取りが良くてストライクで捕球されていた訳ではないと思う。

消極的なのか慎重なのか:
前半の立ち上がりから得意のバックス間の後陣でのパス回しが始まったのはウンザリだった。消極的だという批判だが相手は格下である。一気に深い縦パスを出して相手のデイフェンスがどのように反応するかくらいを偵察してみても良くはないのか。あれだけ慎重に横から後ろのパス交換を繰り返しても前にいる連中がスペースを作りに走らないのでは、トリニダードアンドトバゴの守備陣は安心して引いていれば良いと思っただろう。監督は若手にかかる愚かな慎重さを学ばせたくて使ったのか。

中島翔哉は積極的に遠くからシュートしていたのは評価しても良いだろうが、昨夜は何故か不発に終わった。試合も数をこなせばこういうヒもあるという例だったと同情しておこう。積極的というか中盤からのポジションで使われた長友は豊富な経験を活かして積極な攻撃の形作りをして見せていたが、監督は何故か彼を後半の途中で引っ込めてしまった。兎に角昨夜の布陣ではゲームメークをする中心的な存在がいないので、何をしたいのか誰を使って繰り返し攻め上がりたいのというような意図が見えなかった。

何度でもいうが、私は解説者やアナウンサーが褒めそやす大迫君は未だに「半端」だとしか評価しない。ワントップとして使われるのならば「ポストプレーが上手い」とか「攻撃のためが作れる」というような状況では失格だ。「自分は自力でも点を取れる強さを持って相手に脅威を与えるべきだ」という精神が全く見えない。昨夜の引き分けは自分の責任だったと反省するくらいの自覚が必要ではないのか。

誰を褒めるか:
第一は富安だろう。堅実且つ強引にFIFA93位の攻撃を反則まで使って潰していた。20歳で良くあそこまで伸びたと山口と鈴木の解説陣は褒めるが、私は未だ怖さの経験がないし、挫折を味わっていないからだと渋く評価して良いかと思う。あのまま伸びれば、嘗ての中沢やトウリオの域までそう遠からぬ将来に到達する可能性ありと見た。昨夜は吉田麻也がいなかったので最低限の見本がいなかった。昌子源も堅実だったと思う。GKのシュミットは「あわや」というゴール前への切り込みを防いだのだから褒めておいてもよいかと思う。

結論:
未完成というか森保監督の目指すサッカーの途上にあるテイームなのだと好意的に見れば、あの程度の出来でも仕方がないとは思う。だが、格下を相手に1点も取れなかった不始末は監督以下大いに反省すべきだ。私は「俺がやってみせるぞ」との姿勢を明確に示す目立ちたがり屋と、中心になってゲームを組み立てる者と、十分な決定力を有するFWを可及的速やかに養成して欲しいと監督に言ってやりたい。ゲーム中の指導者がいなくて「何がやりたいのか」が一向に見えないサッカーから早く脱出して貰いたい。