新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月25日 その2 トランプ大統領の考察

2019-06-25 14:07:27 | コラム
“unpredictable”でも理解出来る気がする:

私はトランプ大統領が採り上げて実行されて来た政治・外交・軍事・経済政策等を貫いているというか支えている根本的な思想というか考え方は「アメリカファースト」であり「アメリカを再び偉大に」であると認識している。その方針の裏付けになっている考え方に「アメリカにとって損か得か」かというマスコミや専門家が屡々形容する「ビジネスマン」としての判断の基準があると思っている。先ほども些か驚かされた「損・得勘定」の表れとしてBloombergが報じた「アメリカにとって得が少ないから日米安保の処分を考えておられる節がある」という考え方をされるのだ。

トランプ大統領は就任以来これまでの大統領が見せたこともなかった「大統領令」(英語は“executive order”なのだが、相変わらず我が国の翻訳専門家の技術は凄いと思う)に署名される場をテレビに映させては「そんなことをなさるのですか」と我々(で悪ければ私)を驚かせてくれていた。そのような斬新にして誰もの意表を突くような思い切った一見何の脈絡もないように見える多くの政策を実行されて来た。そして、その思い切りの良さはこれまでに「アメリカにとっては良い結果」を生じてきていた。

だが、そういう外交・内政の諸々の政策を批判するもは誤りであって、例えば中国を相手に関税賦課合戦から入って行かれた対中国の争いは「今後あの国がアメリカを始めとする自由主義経済であり民主主義を信奉する諸国にとっては極めて危険極まりない存在であり「この機会に徹底的に叩いておかれること」には何ら異論を唱える余地などないのだ。そういう視点に立って考えて見れば、トランプ政治には脈略がないのではなく、「アメリカにとっては極めて有効」であり、その副産物として既存の世界の秩序を覆して行く意図を持って取り組まれたかは疑問であると思っている。

私にはそのトランプ大統領が打ってこられた多くの思い切った手段の陰には、勿論ビジネス界から出てこられた大統領ならではの経済性重視があるにしても、あれほどの思い切りの良さの陰には極めて有能な振付師(辞任したバノン氏のような)が付いているのではないかと何度か考えさせられた。私には現在は振付師が不在なのか、何代目かがお側にいて色々と斬新且つ果断なゲームプランを提示しているのではないかという気もする。だが、今回のイランに対する戦争はしないと言われても、制裁を強化されたように極めて困難で解り難い事態か時代になって行くのかなとしか思えないのだ。

アメリカが何十年間もイランを政治的且つ経済的且つ軍事的にも嫌っている事は、私如きにも理解出来るだけの歴史があり、あそこまで強硬に出て行かれるだけの理由は十分にあると思わせられている。その点は今朝の産経新聞の古森義久氏の解説があらためて「なるほど、そうだったか」と、解りやすかったかと思って読んだのだった。

私にはトランプ大統領がホルムズ海峡で「自国の船は自国で守れ」と言われるのは、今日までの損得勘定に裏打ちされた「アメリカファースト」に発するものだったのだろうと理解出来ると思う。だが、現実的には海上自衛隊なり保安庁の船の派遣を実行するのは難問だろうなと言わざるを得ない気がする。アメリカは自国が産油国になってしまった以上、そう主張されるのかなと受け止めている。

更に言えば、トランプ大統領は「アメリカファースト」を貫かれる以上、イランと事を構えてイランの石油を輸入しないよう関係諸国に求められ、ホメイニ師にまで制裁を科すと決められたのでは、アメリカの立場を貫き通す大目的の前には、他国に多少の火の粉が飛ぶのは止むを得ないと割り切っておられるようだ。でも、その他国の一つに我が国が入っているのは非常に困った事になってくるのではないのか。

昨年の前半に触れたことだが、永年アメリカに駐在されアメリカの政財界の事情に精通し某元財界人と語り合った際に「トランプ大統領は如何に安倍総理と世界で最も親しい間柄であっても、『いざ』となれば、アメリカの国益とご自分の再選を優先されるのであれば、あれほど親密である安倍総理の立場を忘れるかも知れない危険性を感じることがある」という点で意見がほぼ一致してした。私は22年半のアメリカの会社に勤務していた間に「アメリカの政治家や経営者はそういう所をいともアッサリと割り切ることが屡々ある」という類いの経験を何度もしたし見聞したから言うのだ。

私には、繰り返しになるが、トランプ大統領は世界を変えてやろうとしておられるよりも、「アメリカファースト」の実践を優先され、その結果が世界を変えてしまうことも辞さない方針を採っておられるのではないのか見る方が正確ではないのかと思えるのだ。それに、イランを厳しく責め立てられる背景には、アメリカのイスラエルやサウジとの関係を重要視されているのだと見える次第だ。

ここから先は私如きに出来ることは「ジッと固唾をのんで成り行きを見守っている」ことしかないと見える。28日から大阪で開催されるG20が難しくなってくる一方の国際情勢などを解決する場になるとは余り思えないのだ。それにしても、トランプ大統領は何をなさりに韓国に赴かれるのだろう。結果として何が出てくるのかも気になるが、まさか駐韓アメリカ軍の引き上げを悩める文在寅大統領に宣告しに赴かれるのではないだろうな。矢張り、トランプ大統領は“unpredictable”でありながら、時には読みやすい方なのかも知れないと思わせられることもあるか。


「2,000万円蓄えよ」問題に思う

2019-06-25 09:55:44 | コラム
後期高齢者は出費も消費しないのだ:

一昨23日に曽野綾子さんが「故三浦朱門氏がパンツとシャツしか買わないで済むと言うだろう」との件を採り上げたが、それでは、自分は実際にどういう消費生活をしているかを振り返ってみた。すると、今年になってからの半年間にパンツもシャツも靴下も買っていなかったと判明した。ここ数年間で毎月の出費で最大の項目は病院とクリニックの診療費と薬代で、恐らく金額的に次に来るのが、2~3ヶ月に一度の理髪代だと思う。終活ということを頻繁に見聞するようになったが、今更置き場に困るような物は極力買わないように努めている。

余談だが、理髪店は中央区の京橋まで出向いている。それは、これまで25年もの間指名してきた新宿の理容師さんが店の閉鎖に伴って京橋に移籍されたので、偶には東京の中心地の観察に行くもの良いだろうと思って、終了後には銀座の中央通り経由で山手線の有楽町まで歩いて、変わりゆく東京の空気を吸って新宿に住む田舎者感を味合わされている。

30数年前に藤沢の一戸建てからここのアパートに越すことになった時に、家内は知人に「これから先はセーター1着買う時には何か一着捨てるくらいの覚悟がないと、置き場(収納)に困るから要注意」と警告されたそうだが、現在では極めて尤もな事だと痛感しながら暮らしている。

ましてや、この年齢になって置き場に困るような物は買わないのは当然だ。思うに、全国にはそういう高齢者が3~4人に1人はいる時代になったのだから、内需が盛り上がらないのは当然だろうと思わずにはいられない。ましてや、内部留保には懸命になっても昇給はさせない経営者が増えたとあっては、国内の消費は伸びない訳だと思っているが、誤解か誤認識だろうか。

パンツ、アンダーシャツ、靴下のような嘗ては手に取ってみれば「中国製」が多かった非耐久消費財を買うのは、自慢ではないが年に2回お墓参りに行った際に立ち寄る巣鴨の地蔵通り商店街のマルジか、ジムと同じ建物の2階にある経済的な価格の品物が並ぶユニクロである。それも前述のように昨年の12月にマルジで室内履きの靴下を2足買ったのが最後だ。

食生活だって慎ましやかなのもので、既に老化したお陰で小食になっていことに加えて、去る1月から散々悩まされてきた顎関節症の為に益々小食にならざるを得ず、金融庁が試算されたとかの夫婦2人で月に6万円という食事の出費は「一体どれほど贅沢に大食された家庭か」と家内が感心している。当家も偶には外食はするが、最大の楽しみは近所の小さなホテルが提供する目玉料理の¥850の鰻重である。

曽野綾子さんは2,000万円の蓄えがなくて飢え死にされた例は知らないと言っておられたが、現実には特殊詐欺の被害に遭われた方々はタンス預金や銀行に1,000万円単位の蓄えがおありのようで、家内と共に感心し且つ尊敬している。あの被害の状態では、金融庁の指摘は満更見当違いではないように思えてならない。それを野党の連中は安倍総理の問責決議案にしてしまうのだから、世間の実情を全く調査していないようだ。あれでは、三原じゅん子議員に「恥を知れ」と一喝される訳だ。