新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

森喜朗氏の後継者問題

2021-02-16 14:17:02 | コラム
後難を恐れて言うが:

*川淵三郎氏を外したのは疑問だ:
ここには菅首相が「森喜朗前会長が密室的に川淵氏に後事を託したのが不透明であるのかいけない」と言ったと国会で言われた為に、川淵氏は彼自身のしゃべり過ぎの反省の弁まで述べられた後で「要請があっても受けない」と言明された。これで、私は最適な人物だと思っていた川淵氏が消えてしまった。私は菅首相のあの教育的指導は如何なものかと、極めて疑問に思っている。

その根拠は本日辺りから御手洗氏を委員長に頂く会合で検討されるという元アスリート(何が悲しくてカタカナ語なのか。運動選手と言え)を顔ぶれを見れば、元内閣総理大臣が務めておられた地位を引き継ぐには「失礼ではないか」と言いたくなるほど「格」が違うのだ。それが総理大臣の口先介入で「若い人か女性が適任では」と、外国の目を気にした方向に舵を切ってしまった結果だ。私は繰り返して「実社会で組織の上に立って、人を引っ張ってきた実務経験がない人は不向きだ」と言い続けてきた。もう一言付け加えれば「利益を挙げる組織にいた事がない人では」ともなる。

二宮清純氏は方々のテレビ局に出て、川淵氏の豪腕振りを指摘された。菅首相がご存じだったら尊敬するが、川淵氏がJリーグ結成時に頑として譲らなかった一線があった。それは、各テイームの名称に本拠地の地名のみを称する事であり、スポンサー企業名を排除した事だった。これに真っ向から逆らったのが「かの大球団・読売巨人軍に君臨された」渡邊恒雄氏で「読売ヴェルデイー」とせよと主張した。これを断固として認めずに、遂に川崎ヴェルデイーで押し切られたのが川淵氏だった。NPBのオウナーで渡邊氏に逆らえる者がいるか。

余談になるが、Jリーグには前身のリーグには大手企業のテイームが数多く所属していた。その全部がMLB式に本拠地を名乗っている。例えば、東洋工業は「広島サンフレッチェ」、三菱重工は「浦和レッズ」、日立製作所は「柏レイソル」、松下電器は「ガンバ大阪」という具合だ。川淵氏は混迷の極みでオリンピックに参加できない危機に瀕していたバスケットボール界に出て行かれて、見事に立て直して参加資格を取った上で、Bリーグを成功させておられた。その川淵氏を「透明性云々」で外されたのが果たして得策だったのかと菅首相に伺いたくなるが・・・。

私は森喜朗氏が川淵氏が理事ではないので会長職に就く有資格者ではなかった事をご承知でなかったか否かなどは知らない。また、川淵氏自身が正式決定となる前にサービス精神で記者たちに答えすぎたのは失敗だったと認めておられた。そこまでの謙虚さと度量のある方を、急場を凌ぐべく何とかして就任させられる方法があったのではなかったかと思ってしまう。私は菅首相には「意中の適任者があって川淵氏では駄目だときついご意見を述べられる根拠がおありでしたか」と問いかけたい。

*切り取り報道のマスコミの大勝利:
本当に遺憾な事だと思う。これ以外に言いたい事はない。これまでに何度か彼らが切り取った部分を読み直して見た。頭の中にあるのは「アメリかではジェン・サキ報道官が斬って捨てたほど遍く森喜朗は女性蔑視主義者と知られているのか」という辺りだ。いや、アメリカの3億3千万の人のうちの何パーセントが、この女性蔑視報道に接しているかという問題だ。友人のSM氏には既に全文を送って意見を求めてある。また気分が乗れば、あの切り取られた箇所だけでも英語にして、元上司等に「これは女性蔑視であるか」と尋ねてみようかとも考えている。

現時点ではマスコミ(と野党)の思惑通りに森氏を葬り去ってしまった。しかも葬り去る課程で総理大臣までが、恐らく無意識だったのだろうか「川淵斬り」にまで参加されてしまったのは、私には「それで良かったのかな」と言いたい衝動に駆られる。

*後任者選考:
これは奇っ怪であると思う。既に指摘され始めているように「森喜朗氏が川淵氏に個人的に後継を依頼されたのが密室であるので怪しからん」と、政府筋から勧告されておいた。ところが、組織委員会は「後任の選考会議を誰が委員であるかも、議事内容も即座に公表せずに進める」と、大型密室会議をすると臆面もなく言い出した。それを非難されるや「委員名を出せばマスコミが取材に殺到するだろうから、それを回避したいのだ」と、誠に珍妙な言い訳をする始末だ。武藤敏郎氏はいざ知らず頭が良い人(?)ばかりで、その選考の仕方が気になってしまう状態だ。いや、頭悪いよ。

私自身が高校の時には全国大会で決勝戦で負けてしまったほどの、言うなれば元運動選手なので、オリンピックで活躍されたような世界的な運動選手たちの集まりを貶したのだったら謝るが、どうも常識的に今日までの経過を見れば、心の底から彼ら組織委員会の方々に「良くやっていて下さって、ご苦労のほどお察しします」などとは諸手を上げて言いにくいのである。

*外国での評判など気にするな:
最後に一言だけきつく言っておきたい事は「外国人の目と耳を気にする事など無用だ。アメリカに行って彼らアメリカ人に森喜朗を知っているか」と尋ねて「イエス」と答える者が何人いると思う。1万人に1人いたら上出来だ。Olympic Organization Committee of Japanと言って「あー、知っている」と族座に答えられる人がいると思うか。私は東京オリンピックが1年延期になったと知っている者がどれほどいるかだって疑問だと思っている。もっともっと自分の国に誇りと自信を以て欲しい。マスコミの「切り取り報道」などに踊らされてはならないのだ。