新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2月5日 その2 拡大する一方のスマートフォン包囲網

2021-02-05 16:44:26 | コラム
政府も事業会社も全国民にスマートフォンを所持せよと言うのか:

先ほども衆議院の予算委員会で立憲民主党の誰だったかが、威丈高にCOCOAとやらいう官製のアプリケーション(何故かカタカナ語は「アプリ」だ)の不具合が4ヶ月も放置されていたと、田村憲久厚労大臣を責め立てていたが、答弁に立って詫びていたのは菅首相だった。面白くないので覚えていないが、この他にも何とか言う官製のアプリがあったようだが、何故かこの手の物は皆「スマートフォン」用なのである。私は政府でも誰にでも伺いたいのだが、「国民はスマートフォンを所有するように何時から義務づけられたのだろうか」と。

こう言っていて思い出した事がある。当方は在職中の1990年という未だ原稿を手書きする時代から物書きをやっていたし、引退後も続けていた。95年からは息子のお古のワープロも使うようになっていた。その間に出版社と多くの関係者の方と愚息から「時代はPCであるから、即刻導入を」と繰り返し薦めて頂いたが、頑強且つ丁寧にお断りしていた。理由は「何時までも原稿のご依頼が続く訳でもないだろうし、70歳近い年齢には10数万円の投資は負担が大きすぎる」だった。ところが、偶然の積み重ねで、何と本当に70歳からPCを導入する羽目になった。

そこで、スマートフォンだが、今日までに、ドコモから2度もダイレクトメールで「らくらくスマートフォン」への切り替えを勧誘された。その内容が気に入らなかった。「切り替えには0120に電話で予約てから来い」とあったのだ。未だに郵政省のような気分で頭が高いのだ。こっちは苟もお客だ。私は在職中に得意先に「電話予約をしてからお出で願いたい」などと要求した事がない。それだけではない、その機能には地図が出るとか検索を音声で出来るとか言われても、今やそんな急に必要になる事柄でもないし、何れもPCで出来る。何とかPayにも妙味を感じない。

だが、平井大臣はマイナンバーとやらに紐付けをして云々と誇らしげに言われるが、この期に及んで「密」になりかねない区役所まで、そのカードの申請に行く気は起きない。でも、何とか言うカードを取得しておかないと不便になりそうだし、スマートフォンとも結びついているような気もする。だからお尋ねしたいのだが「スマートフォンを所有するのは国民の義務になったのか」と。間もなく高齢者健康保険の窓口負担を20%にすると決めた上に、携帯電話料の負担まで増やせと言うのかな。しかも、今や65歳以上でスマートフォン所持者は60%を超えたと脅かす報道もあった。

そう言う時代の流れを読んだのか、渋谷区では高齢者にスマートフォンを貸与するとの報道もあった。それでも、毎月の費用は所持者の負担だろう。だが、現在のような「スマートフォン包囲網」の時代にあっては、新宿区もそこまで踏み切って貰いたいものだと密かに願っている。先日も採り上げた笑い話だが、「高齢の義父にスマートフォンを進呈したら、電話がかけられると喜ばれた」というのがあった。敢えて言うが「自慢じゃないが、もう電話をする相手がほとんど故人なったので、着・発信等皆無の月さえある」のだ。COCOAだって出歩かなければ無意味だろうよ。

ウッカリこんな事を言うと「ご高齢だから」と揶揄されそうな気がするが、気にくわない事は言っておこうと思った次第だ。


再び森喜朗オリンピック組織委員会長について

2021-02-05 08:42:09 | コラム
2月4日のPrime Newsより:

昨夜のこの番組に手回し良く(だったのか偶然か知らないが)森氏が二宮清純氏と共に登場された。二宮氏は割合に思った通り(なのだろうが)の事をズバリと言われるスポーツ評論家なので、どちらかと言えば評価している。その彼が「オリンピック関連の話題だと聞かされて出てきた」と言っていたので、素直に偶然だったと思って、森氏と彼の言う事を興味深く聞いていた。

森氏は司会の反町のかなり思いきった突っ込んだ質問にも、感情を表す事なく平然として答えておられたのが印象的だった。あのJOCにおける発言については「撤回した」という前提で進んでいたようだった。森氏はその突っ込んだ質問に答えて「IOCもJOCも組織委員会も何とかして延期された東京オリンピックを予定通りに開催しようと、IOCも連日のようにリモートで会議を開いているし、組織委員会とも会談と会議を行っている。特にコーツ委員長とはオーストラリアとの時差の為に現地時間の深夜であっても懇談している」と、組織委員会の努力を強調された。

そこに二宮氏が「それだけの努力をされているのだったら、情報の開示が必要ではないか。現状では組織委は何をしているかと言う事になっていないか」と穏やかな口調だったか辛辣な事を言った。更に「組織委は単なるイベント屋であり、何らの権限もない。オリンピック開催の主体は開催都市である東京であり、IOCとの交渉は都に責任がある。ところが、昨年に1年延期を決めたのは当時の首相だった安倍氏で、それ以来主体が都から国に移ってしまった」とまで言ってのけた。森氏は否定せず「イベント屋とはその通りであり、組織委には何の権限もない」とまで認めてしまった。

ここまで聞いていると、私は矢張り昨日指摘したように「森喜朗という元総理大臣は正直なお方であり、世間というかマスコミが酷評したがるような悪い人ではなく、単純なお人だな」と再確認しながら聞いていた。問題は「単純素朴で正直な(ご当人が言われたような)老人が、組織委員会長である事は適切であるか否か」だと思った。私は何年前だったか、単に高校と早稲田大学では一寸だけラグビー部におられた方を、如何にもスポーツ界の事情に精通した方だと誤認識して、あの役職に迎えたのは誤りだ」と指摘していた。頼りにすべき点は「元総理大臣」であるだけではないか。

私は二宮清純氏の「組織委員会の情報開示不足」は尤も至極だと思っている。即ち、私は「IOC等という組織は白人の有閑老人の組織であり、ありもしない権威を振りかざしているだけの、無害無益の団体だ」くらいにしか見ていなかった。彼らはただ威張りくさって我が国の開催への努力や我が国独得の事情を知ろうとも調査する努力もせずに高飛車に出て。突然マラソン会場を札幌という東京ではない場所に移せと言ってくるような連中だ」と腹立たしく思っていた。二宮氏も札幌への移転の無茶振りの件を指摘していた。

私には「IOCもJOCも組織委員会も何かの思い違いをしているようで、自分たちはUNの如き国家や開催都市の上に君臨する特別な存在であり、国民などは黙って付いてこい」くらいに考えている者たちの集まりだと認識してきた。二宮氏の言を借りれば「世界的なイベント屋であり、誰も横から口出しできない存在だ」と自惚れているのかなと疑っていた。森氏は問わず語りに「そうではない、連日連夜どうやれば無事に万難を排して開催に持って行けるかを、相互に研究すべく会議をしている」と言われたようだった。「そうなら、もっと早く言って置かれたら」と思った。

私はこの「情報開示不足」には問題ありだと思っている。私にはオリンピックとは「一般人とは無縁の世界でオリンピック開催に非常に熱心な人たちが集まって、独自に懸命な努力をされて開催されるのであり、そこには崇高なオリンピック憲章があり、高貴な精神が支配する近寄りがたい存在だろう」と思っていたので、さほど関心がなかった。そこを二宮氏は「イベント屋」だと決めつけたのだった。言いたくはないが、大きいだけのイベント屋だったのならば、バッハ会長以下もう少し謙られたら如何かななど思ってしまう。尤も、崇め奉る方にも問題なしとはしないが。

昨夜はこの他に具体的な進行の問題にも触れられていたが、そこを論じるのは本稿の主旨ではないし、私は森氏の委員長職に適格か否かを殊更に論じる気もない。ただ一つ気になっている事は「本当にウイルスの終息状態如何に拘わらず開催できた場合に、大会用に1万人もの医療従事者を集められるのか」という点だ。私は非現実的な計画だとしか思えない。もしも1万人が必須であれば、来訪される各国の選手団が自前の医師と看護師さんを必要なだけ帯同させるべきではないか。それでも数万人の選手団用の医務室など何処に設けるのか。そこまで考えてあるのか。