2019年の世界175ヶ国の衛生用紙統計より:
紙業タイムス社刊行のFuture誌21年7月19日号に、アメリカの専門調査機関であるRISIが公表した「アニュアル・レヴュー」から、この世界の175ヶ国の統計が特集されていた。その記事の導入部には「紙は文化のバロメーターという言葉の主役が、これまでのグラフィック用紙(筆者注:印刷用紙と思って頂ければ良いと思う)からパッケージング用紙、あるいは少量ながら衛生用紙に変わってきた主流を振り返った。この主役交代が加速したのは2020年の中国発のコロナ禍である」と指摘されていた。
衛生用紙とは「テイシュペーパー、トイレットペーパー、タオルペーパー」を指している。近年では先進工業国等で需要も供給も堅実な成長を続けているのが、この種の紙なのである。その流れは尤もなことだが、私が冗談めかしてその成長の理由として述べてきたことは「この種類の紙は古紙として回収し再生することが殆ど不可能であるからだ。使用済みのトイレットペーパーを誰が回収できるのか」だった。因みに、私は衛生用紙類を取り扱った経験が皆無なので、完全に門外漢なのである。
そこで、今回はこのRISIの統計に基づいて、この世界的な成長品種を概観してみると同時に、私の好みである「1人当たりの衛生用紙の消費量」を採り上げて、世界各国の文化・文明というよりも「生活様式」の高度化の度合いを見てみようと思うのだ。
生産量:
全世界の合計は40,496千トンで、対前年比で+4.3%となっていた。
そこで、先ずは世界の上位20ヶ国の19年度の生産量と対前年度比を見ていこう、単位は1千トンであり、以下これを適用する。第1位はここでも中国で10,404トン、対前年比は+8.8%。第2位はアメリカで8,387トンで+2.9%、第3位は我が国で1,627トンで+1.7%、第4位はイタリアで1,627トンで+0.7%、第5位はドイツで1,498トンで△0.5%、第6位はブラジルで1,426トンで+5.7%、第6位はブラジルで1,426トンで+5.7%、第7位はインドネシアで1,285トンで+20.3%、第8位はメキシコで1,240トンの+0.1%、第9位はトルコで908トンで+0.6%、第10位はフランスで817トンで△3.4%となっていた。
第10以下はポーランドで+1.7%、スペインが+8.1%、英国で+3.3%、カナダでが3.3%、ロシアが+9.1%、韓国で+0.0%、スウエーデンが△3.0%、アルゼンチンが△2.0%、エジプトが△1.5%、第20位がコロンビアで288トンで+1.1%となっていた。即ち、20位ともなれば首位の中国の2.8%の生産量でしかないのだ。次に、では中国の生活様式がどれほど高度化していたかを、簡単に輸出量で見てみよう。
輸出量:
中国が第1位で985トンで対前年比+6.3%となっていた。この輸出量は生産量の9.5%を占めていた。明らかに外需依存である。第2位はインドネシアで833トンで+30.4%なのだが、輸出量が生産の64.8%と非常に大きかった。第3位はイタリアで829トンで△3.3%、第4位はドイツは759トンで△0.7%、第5位はアメリカは547トンで△1.4%だった。以下ポーランド、トルコ、カナダ、スウエーデンと続くがトルコを除けば先進国は皆マイナス成長だった。因みに、第20位はロシアで数量は108トンで+14.9%と高率で、生産量の15%だった。
なお、我が国の輸出量は19千トンだったので、1,806千トンの生産量の99%は内需だったと分かる。参考までに輸入量を見れば、第1位はアメリカで1,051トン、第2位はドイツで706トン、第3位は英国で514トン、第4位はフランスで432トン、第5位はカナダで386トン、第6位はオランダで336トン、第7位には我が国が出てきて233トンだった。先進国の輸入依存度が高いかに見えたのは意外だった。
1人当たりの消費量:
私が最も興味と関心を持っていたこの統計が最後になった。先ず中国の実績を示しておけば6.25 kgで、175ヶ国の平均値5.12 kgを僅かに上回っていた。これが意味するところは諸賢のご推察にお任せしたい。なお、RISIの統計ではこの数値の対前年比は示されていなかった。
第1位はアメリカで26.25 kg、第2位はマカオの24.57 kg、第3位はバーミューダの22.02 kg、第4位は香港の21.85 kg、第5位はカナダの21.61 kg、第6位はスウエーデンの19.76 kg、第7位はオーストリアの19.37 kg、第8位はベルギーの18.97 kg、第9位はノルウエーの18.63kg、第10位はドイツの18.03 kg、第11位がマルタの17.63 kg、第12位がトリニダードドバゴの17.32 kg、第13位にはフィンランドとアイスランドが同率で17.28 kg、第15位にはスイスの17.25 kg、第16位はオーストリアの17.16 kg、第17位には英国の17.15 kg、第18位にはデンマークとスロベニアが同点での17.12 kg。第20位にはバルバドスの16.56kgが入っていた。
第21位にはオランダの16.55 kg、第22位にはアイスランドの16.40 kg、第23位にはイスラエルの16.37 kg、第24位にはバーレーンの16.28 kg、第25位にギリシャの15.70 kg、第26位に我が国の15.57 kgという、意外というか残念な数値が出てくるのだった。
参考資料:紙業タイムス社刊行 Future誌 21年7月19日号
紙業タイムス社刊行のFuture誌21年7月19日号に、アメリカの専門調査機関であるRISIが公表した「アニュアル・レヴュー」から、この世界の175ヶ国の統計が特集されていた。その記事の導入部には「紙は文化のバロメーターという言葉の主役が、これまでのグラフィック用紙(筆者注:印刷用紙と思って頂ければ良いと思う)からパッケージング用紙、あるいは少量ながら衛生用紙に変わってきた主流を振り返った。この主役交代が加速したのは2020年の中国発のコロナ禍である」と指摘されていた。
衛生用紙とは「テイシュペーパー、トイレットペーパー、タオルペーパー」を指している。近年では先進工業国等で需要も供給も堅実な成長を続けているのが、この種の紙なのである。その流れは尤もなことだが、私が冗談めかしてその成長の理由として述べてきたことは「この種類の紙は古紙として回収し再生することが殆ど不可能であるからだ。使用済みのトイレットペーパーを誰が回収できるのか」だった。因みに、私は衛生用紙類を取り扱った経験が皆無なので、完全に門外漢なのである。
そこで、今回はこのRISIの統計に基づいて、この世界的な成長品種を概観してみると同時に、私の好みである「1人当たりの衛生用紙の消費量」を採り上げて、世界各国の文化・文明というよりも「生活様式」の高度化の度合いを見てみようと思うのだ。
生産量:
全世界の合計は40,496千トンで、対前年比で+4.3%となっていた。
そこで、先ずは世界の上位20ヶ国の19年度の生産量と対前年度比を見ていこう、単位は1千トンであり、以下これを適用する。第1位はここでも中国で10,404トン、対前年比は+8.8%。第2位はアメリカで8,387トンで+2.9%、第3位は我が国で1,627トンで+1.7%、第4位はイタリアで1,627トンで+0.7%、第5位はドイツで1,498トンで△0.5%、第6位はブラジルで1,426トンで+5.7%、第6位はブラジルで1,426トンで+5.7%、第7位はインドネシアで1,285トンで+20.3%、第8位はメキシコで1,240トンの+0.1%、第9位はトルコで908トンで+0.6%、第10位はフランスで817トンで△3.4%となっていた。
第10以下はポーランドで+1.7%、スペインが+8.1%、英国で+3.3%、カナダでが3.3%、ロシアが+9.1%、韓国で+0.0%、スウエーデンが△3.0%、アルゼンチンが△2.0%、エジプトが△1.5%、第20位がコロンビアで288トンで+1.1%となっていた。即ち、20位ともなれば首位の中国の2.8%の生産量でしかないのだ。次に、では中国の生活様式がどれほど高度化していたかを、簡単に輸出量で見てみよう。
輸出量:
中国が第1位で985トンで対前年比+6.3%となっていた。この輸出量は生産量の9.5%を占めていた。明らかに外需依存である。第2位はインドネシアで833トンで+30.4%なのだが、輸出量が生産の64.8%と非常に大きかった。第3位はイタリアで829トンで△3.3%、第4位はドイツは759トンで△0.7%、第5位はアメリカは547トンで△1.4%だった。以下ポーランド、トルコ、カナダ、スウエーデンと続くがトルコを除けば先進国は皆マイナス成長だった。因みに、第20位はロシアで数量は108トンで+14.9%と高率で、生産量の15%だった。
なお、我が国の輸出量は19千トンだったので、1,806千トンの生産量の99%は内需だったと分かる。参考までに輸入量を見れば、第1位はアメリカで1,051トン、第2位はドイツで706トン、第3位は英国で514トン、第4位はフランスで432トン、第5位はカナダで386トン、第6位はオランダで336トン、第7位には我が国が出てきて233トンだった。先進国の輸入依存度が高いかに見えたのは意外だった。
1人当たりの消費量:
私が最も興味と関心を持っていたこの統計が最後になった。先ず中国の実績を示しておけば6.25 kgで、175ヶ国の平均値5.12 kgを僅かに上回っていた。これが意味するところは諸賢のご推察にお任せしたい。なお、RISIの統計ではこの数値の対前年比は示されていなかった。
第1位はアメリカで26.25 kg、第2位はマカオの24.57 kg、第3位はバーミューダの22.02 kg、第4位は香港の21.85 kg、第5位はカナダの21.61 kg、第6位はスウエーデンの19.76 kg、第7位はオーストリアの19.37 kg、第8位はベルギーの18.97 kg、第9位はノルウエーの18.63kg、第10位はドイツの18.03 kg、第11位がマルタの17.63 kg、第12位がトリニダードドバゴの17.32 kg、第13位にはフィンランドとアイスランドが同率で17.28 kg、第15位にはスイスの17.25 kg、第16位はオーストリアの17.16 kg、第17位には英国の17.15 kg、第18位にはデンマークとスロベニアが同点での17.12 kg。第20位にはバルバドスの16.56kgが入っていた。
第21位にはオランダの16.55 kg、第22位にはアイスランドの16.40 kg、第23位にはイスラエルの16.37 kg、第24位にはバーレーンの16.28 kg、第25位にギリシャの15.70 kg、第26位に我が国の15.57 kgという、意外というか残念な数値が出てくるのだった。
参考資料:紙業タイムス社刊行 Future誌 21年7月19日号