新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

東急百貨店本店が閉店した

2023-02-01 07:21:11 | コラム
今時、百貨店の閉店がニュースか:

「昨日を以て50数年の歴史を持つ東急百貨店本店が閉店した」という件を、各テレビ局が如何にも重大ニュースであるが如くに採り上げていた。忌憚ないことを、後難を恐れずに言うと「21世紀の今日、こんな事がニュースだと思って報じる感覚を笑う」のである。一方では、彼らは立川高島屋も閉店し、それを惜しむ記者が街頭でインタービューした女性に「あの包装紙にくるまれた贈り物を貰うと感激」というような大時代な事を言わせていた。

敢えて言うが、私が「百貨店という大規模小売業という業態は滅亡の方向にある。何故ならばスーパーマーケットが急成長し、専門店が増え、海外のブランド品が自前の店舗を持つようになった上に、定価でしか売れない(売りようがない)百貨店が豪華であるということ以外に魅力が乏しくなってしまったからである」と唱えて、何処からも賛同された覚えがなかったのは、20年以上も前か、もしかすると未だ20世紀だったかも知れない。

あれ以来、幾つのデパートが消えたか、経営統合されたことか。当方はつい先頃セブン&アイ・ホールディングスが西武デパートを手放した失態というか、小売業の先行きの見通しの甘さ(「暗さ」でも良いか?)を批判したばかりだ。言い方を変えれば「三越も赤紙と店内で呼んでいた包装紙かあの美しいデザインの袋を持って歩くことが格好良いと通用した時代などは、とっくの昔に終わっていた」のだ。

別な見方をすれば、一寸足を伸ばすか、車に乗って御殿場か軽井沢のアウトレットに行ってご覧。「これほどの大人数の買い物客が百貨店に来て貰えれば、東急百貨店本店も閉店せずに済んだだろうし、伊勢丹は三越と経営統合せずに済んでいたかも知れない」のだ。それだけではない、私は繰り返して「某総合商社が東京ビッグサイトで関係のメーカーや問屋を集めて開催するファミリーフェアーに一歩でも入って見なさい」と言うのだ。

最早テレビを見ていても、百貨店が彼らにとっての大口の広告出稿社とは思えないのだ。それでもなおテレビ局が百貨店の閉店を惜しむかのような報道をするのは何故だろう。これが彼らの時代感覚の欠如を表しているのでなければ良いのだが。