新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

ボーイング747の製造が終わった

2023-02-06 08:04:29 | コラム
747さん、お世話になりました:

今朝ほどのニュースで、最後の1機が「747」という図形(と言うのかな)を描いて飛んでいる画が出てきた。「そう言われて見れば、在職中にどれだけあの飛行機に乗ったことか」と懐かしく思い出していた。私は「ジャンボジェット」という愛称?が好みではないので、一度も使った記憶もないが、この飛行機の我が国での初飛行は1970年3月だったとWikipediaにあった。

私が初めてアメリカに出張したときの1972年8月には、羽田から今は存在していないPANAMの737でサンフランシスコに向かった。75年3月にウエアーハウザーに転じてからは、成田/シアトル便はノースウエスト航空(現在のデルタ)を利用するようになって、747に乗るようになった。大きいとか凄い飛行機であるとか言う前に、シアトルまで8時間、帰路の12時間近くも飛ぶことに慣れるのに懸命だった。

我が事業部の日本向け輸出量が目標通りに成長していくのに従って、アメリカ出張の機会が増えて1980年代後半には年間に6~7回にも達した。そして、誰に教えられたのか記憶が定かではないが、飛行した距離で貯まるマイレージ次第で色々の特典があるノースウエスト航空のマイレージクラブにも加入した。余談だが、貯まったマイル数は約55万に達していた。

そうこうするうちに「747のビジネスクラスには2階席(upper deckと呼ばれている)があるので、同じビジネスクラスに乗るのだったら、予めアッパーデッキを予約しておくと快適なフライトになる」と知恵を付けられた。

そうしてみると、2階席は座席数も少なく、静かで本当に快適で、眠りたければエンジン音にも悩まされることなくスヤスヤと寝ていられた。何時からそうするようになったか忘れたが、もうその頃には時差にも慣れて全く何も感じなくなっていたので、出張が苦には感じられなくなった。なお、念の為に申し上げて置くが、我が社はAAAの格付けの企業の誇り高き社員として、ビジネスクラスを利用することを許可されていた。

そのうちにアッパーデッキの快適さを知る利用者が増えたので、事前の2階席の予約の競争が激しくなってきた。その為かあらぬか、帰路の7便で2階デッキの予約がNW側の誤りで所謂「ダブルブッキング」になっていたことがあった。そして、シアトル空港の事務所の主任とやらと延々30分以上の大論争となり、「絶対に謝らない」彼らに失態を認めさせ謝罪させた。だが、悲しいかな2階には席が残っておらず「ファーストクラスでご勘弁を」となったこともあった。この辺りは拙著「アメリカ人は英語がうまい」に詳しく載せてあった。

振り返れば、シアトル空港を最も多く利用するボーイング社と共にワシントン州の2大雇用主(アメリカでの表現は“employer“となるのだが、この辺りにアメリカの企業の独得の物の考え方と言うか、我が国との文化の違いがある)としての我が社を優遇してくれるので、ノースウエスト航空を出来る限り利用してアメリカ国内も移動するので、747に乗る機会も増える一方だし、マイル数も飛躍的に増加した。

何故か知らないが、アメリカでも我が国でも、ノースウエスト航空をNorthwestではなく、Northworst Air Linesなどと呼んで貶す人がおられたが、私は20年近くもこの会社で747を利用して、困った現象に出遭ったのは上記のダブルブッキングだけで、同じ路線を飛んでいた我が国の某社に対してのように、苦情を言うような不快な目に遭うこともなかった。

この辺りは、Mead社のパルプ部のマネージャーがホテルの評価は「そこに滞在して何らの不快か不自由なことが起きないかで決める」と指摘していたのと同じだと思う。私には747に対しては感謝があっても苦情はないと言える。良い飛行機に乗れなくなったのは残念だが、年齢にも勝てないと思う。因みに、2011年のアメリカからの帰路に最後に利用したのは、シンガポール航空のAir bus 380という超大型機だった。