新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

岸田文雄氏と翔太郎氏父子に思う事

2023-02-02 08:41:35 | コラム
「時代感覚の問題かな」とも感じた:

昨今、岸田文雄内閣総理大臣の秘書官・岸田翔太郎氏の外遊中の行動が世間を、じゃなかったマスコミが騒ぎ立ている。この流れを見ていて、聞いていて先ず感じたことは岸田総理の時代感覚であり、「何故、世間の評判に気を配らなかったのな」と思わずにはいられなかった常識の問題等々、色々なものがあった。それらについての私のどのように受け止めたかを取り上げてみようと思う。

岸田文雄氏は気配りの人だったのかな:
「国の内外に出掛けて親族や友人知己にお土産を買って帰るという習慣(文化)」は我が国独得である感が濃厚だ。とくに、戦後に難しい制約条件もあって長い間外国に出られなかった我が国では、アメリカ等の外国からの珍しくて高価で貴重なお土産を貰えれば、感激したものだった。特に、我が国にはこれまた独自の文化である「餞別」があるので、貰った方は「お返し」をしなければなるまいという観念がある。

私は岸田文雄内閣総理大臣このような我が国独得の文化をキチンと守られて、「自ら選んだ閣僚に出張した先の外国で購入した土産物を配らねばなるまい」と考えて、総理秘書官にその任務を与えられただけではなかろうかとも一瞬感じた。まさか、閣僚が外遊の労を厭わない総理に「餞別」を差し上げてあった訳ではないと思う。

私は「真っ向から非難するとか批判するべき行為でもないではないか」と見ておられる方はおられるのかも知れないとも考えている。だが、誰しもが「公用車を使ったのは宜しい」とは受け止められないのではないか。

ネクタイをお土産に買う感覚:
「ビジネスマンの服装学」の権威を自認している私から言わせて貰えば、余り褒められた贈り物ではないのである。それは、ネクタイには本来は各人の美意識というかお洒落の感覚がそのまま現れてくるものなので、余所様から「これをどうぞ」と頂戴しても有り難迷惑とまでは言わないが、困ってしまうこともあるのだ。言いたいことは「ネクタイは好ましい選択ではない」のである。

ましてや、服装学から厳格に考えれば、ネクタイとは「それ一本が気に入ったからと思って買ってから、それに合わせるべきスーツから靴にいたるまで新たに全部買い整えねばならないこともある代物」なのである。ここまで考える人がそれほどいるは思えないが、「頂戴した以上その送り主の前に出るときには締めていなければなるまいが、丁度ピッタリと合うスーツかシャツがなくて」と悩む人もいると思うのだ。ではあるが、秘書官が買ってきたのでは、岸田総理もどれがそのお土産のネクタイかの判定は出来ない気もするのだ。

UKで「アルマーニ」を買う感覚:
常識と言っても良いかも知れない。今やEUから脱退してしまった英連合王国のロンドンにあるハロッズで「アルマーニ」を買ったという箔はつくだろうが、経済的に見れば合理性は乏しいと思った。即ち、UKでは今やヨーロッパの諸国からの輸入品には関税を払わねばならないと聞いている。EU圏内であれば出国の際に税関で所謂VATは払い戻して貰えるが、UKでそれが可能なのだろうか。要するに「高い買い物だったのでは」と言いたくなるのだ。

また、全閣僚が「ハロッズ」の包装を見て感動するのだろうか。私ならばLDH空港の免税店で買っただろう。念の為に確認しておくとGeorge Armaniはイタリアのブランド品である。確かあの外遊中にはEU圏内の國も訪問されたのではないか。三井物産に5~6年勤務された経験があれば、仮令総理のポケットマネーでも、節約を考えた方が良かったのではないか。細かいことの言い過ぎkな?

お土産(お返し)を買わなければ帰れない:
ここでは岸田翔太郎氏から離れて、私のシカゴでの経験を語って見ようと思う。それは確か1981年にシカゴで開催された全世界的なFood & Dairy Expo(酪農ショー)を視察された日本の酪農業界の30名ほどの団体をご案内したときの、「マスコミ風」に言えば「ハプニング」(誤ったカタカナ語で、英語ではhappeningsと複数で使うべきもの)だった。

ご一行様は「是非土産物を買える店に連れて行って下さい」と切羽詰まった顔で言われた。そう言われた理由は上記に説明はしてあったつもりだ。先ず紳士用品という事で、シカゴで最も美しいと言われている目抜き通り「ノースミシガン通り」(俗称magnificent mile=豪華絢爛たる1マイル)のBrooks Brothersにご案内した。そこで皆様が一斉にネクタイを始めとして紳士用品を物凄い勢いで買いまくられた。

所が店側では一向に清算を終わらせないので、皆が苛立った。そこで「何をやっているのか」と問い質すと、店長さんが「これほど多くのお客様が現金で支払いをされたことがないので、お釣りにする現金が不足して、今会計係が銀行に両替に飛んで行ったので、暫くお待ちを」と言われた。尤も至極で、かの国では殆どの客はクレディットカードか小切手で支払うので、cashの用意など考えていなかったということ。

だが、支払いが終わっても一向に品物が渡されてこないのだった。そこで「今度は何?」と尋ねると「今日これまでに、こんなに一度に贈答用の箱入れの買い物をされたことがなかったので、箱が無くなって担当者が地下から運んでいる最中」とのことだった。納得して、皆様にご説明してご理解願った。店長からは「感謝祭とクリスマスが同時に来たような盛況で感謝したい」と言われた。

次には婦人用ということで30人もの団体が両手にBrooks Brothersの大きなショッピングバッグを抱えて、威風堂々と絢爛豪華な1マイルを歩く先頭に立ってデパートの化粧品売り場に出掛けた。ここでも皆様は買いまくられた。何故か私が薦めたChanelではなくChristian Diorを。売り場の担当者は大感激だった。

だが、彼は私を旅行者のガイドと勘違いして、現地では当然の習慣である「心付け」を私に渡そうとばかりに、香水のセットを持ってきた。「見損なうな。私はアメリカの大手メーカーのマネージャーなるぞ」と言って辞退したが。

岸田翔太郎氏の行動の報道に接して、この42年前の貴重な経験を思い出したし、感想も述べた次第だ。