日本製紙連合会が広報用リーフレットを作成:
一寸驚くような時代錯誤というか何というか、興味深い記事を紙業タイムス社発行のFuture誌8月24日号に発見した。それは、日本製紙連合会が「紙は環境に悪い?」との誤解を解く為に掲題のようなリーフレットを10万部も作成して配布したとの記述だった。「何と言うことか」と嘆きたくなった。
思い起こせば今を去ること30数年前だっただろうか「紙は貴重な天然資源である木材を浪費し環境を破壊するから、紙の使用と消費を極力削減して資源を守り環境を保護しよう」という説と運動がまかり通っていた。中には東南アジアの諸国を回って焼き畑農業の土地を視察するとか、痩せ衰えたマングローブの木を見て「これが樹木を乱伐してデパート等の包装紙などになった残骸か」という報告書を書いた人物もいた。アメリカの紙パルプ・林産物の会社員から見れば、怒る前に笑うしかなかった大誤解で誤認識だった。
W社はアメリカ全土に600万エーカー(1エーカー=1,200坪)の森林を所有している企業で、その資源を活かして製材しパルプや紙を生産しているのだった。その資源がどれほどのものかをお見せする為に、お客様をヘリコプターにお乗せして200 kmほど南にある工場にご案内したものだった。その約1時間の飛行中のほとんどが我が社の社有林の上を飛んでいるので「もう分かった。十分に資源があると認識した」と言って頂けたものだった。
我が社を始めとしてアメリカの大手紙パルプ林産物メーカーは大規模な自社林を持って、そこでは一旦伐採した後では整地して肥料を与えて土地を整備した上で苗木を植えて管理して育成しているので、木材資源は無尽蔵とまでは言えないが、計画植林で計画的に伐採されている。だから、環境破壊などあり得ないのだった。そういう実情は産業界を揚げての広報活動の努力があって、「紙は環境を破壊している」という故なき誤解は解消されたのだった。
我が国の製紙会社は原料は国内の自社林等からも調達していたが、アメリカその他からもチップやパルプの形で輸入して国内の資源不足を補っていたし、海外にも自社林を持つなどして決して国内の貴重な天然の木材資源を浪費していることなどなかった。だが、環境保護論者たちは執拗に紙パルプ産業を悪者扱いにして「ペーパーレス社会へ」などと謳い上げてくれた。私もリタイアして26年が過ぎたが、まさか21世紀の今日に至って製紙連がこのようなリーフレットを作成する必要に迫られるとは夢想だにしていなかった。
現にICT化が進んだ現代では、紙の需要は激減し解りやすい例では新聞用紙などはアメリかでは需要が10年ほどの間に60%も減少して大手のメーカーは民事再生法であるChapter 11の保護を請願していたし、我が国では30%ほどの減少なのである。世界で紙類の需要が伸びているのは新興国だけで、アメリカも我が国も需要は減退の一途である。その時代にあって「環境に悪い」という説がまた出てきたとは驚くだけだ。
そこで製紙連のリーフレットの内容を見てみよう。Future誌の記事では「紙に対するネガティブキャンペーンは周期的にやってくるようで、ある世代が環境教育などを通じて、紙リサイクルの意義や森林の更新による温暖化防止効果などを学んでも、世代が変わり社会に影響力を与える新たな世代が育ってくると、再びその世代に向けてネガティブキャンペーンが始まる。キャンペーンの内容は基本的に変化がなく『森林を伐採して紙を作り環境を破壊している』、『紙の大量生産で森林資源が枯渇する』といった主張が繰り返される」とある。「デジャビュ」という言葉を想起させられた。
前置きが長すぎた。リーフレットの内容は①「紙の生産・消費が世界の森林減少の原因というのは事実と異なる」、②「紙1tonが木○○本という表現は実体を表していない」、③「紙は原料である木の成長から廃棄・焼却されるまでCO2を固定する素材である」、④「紙は自然界で分解される地球環境にやさしい素材」、⑤「そもそも古紙以外のものは紙に混ぜてはいけない」、⑥「未来に向けて新たな素材が生まれている」となっている。私には十分な説明だが、一般の方には完全に通じないのではとの懸念は残る気がする。
一言追加しておけば「我が国では至る所に多くの木が生えているが、あの樹種は紙の生産には余り適していないので、大手の製紙会社はそれ用に自社林で育成しているし、上記のように海外にも山林を保有している。その意味では我が国は資源小国とも言えるのだ。実は我が国では海外の森林資源を消費しているのだ」となる。だから、往年のクリントン政権は「アメリカから原料ばかりを輸入しないで、世界最高の品質を誇るアメリカ産の紙類(主として印刷用紙等)も輸入せよ」と迫ったのである。でも、実を結ばなかった。それが何故かは既に何度も述べてある。
一寸驚くような時代錯誤というか何というか、興味深い記事を紙業タイムス社発行のFuture誌8月24日号に発見した。それは、日本製紙連合会が「紙は環境に悪い?」との誤解を解く為に掲題のようなリーフレットを10万部も作成して配布したとの記述だった。「何と言うことか」と嘆きたくなった。
思い起こせば今を去ること30数年前だっただろうか「紙は貴重な天然資源である木材を浪費し環境を破壊するから、紙の使用と消費を極力削減して資源を守り環境を保護しよう」という説と運動がまかり通っていた。中には東南アジアの諸国を回って焼き畑農業の土地を視察するとか、痩せ衰えたマングローブの木を見て「これが樹木を乱伐してデパート等の包装紙などになった残骸か」という報告書を書いた人物もいた。アメリカの紙パルプ・林産物の会社員から見れば、怒る前に笑うしかなかった大誤解で誤認識だった。
W社はアメリカ全土に600万エーカー(1エーカー=1,200坪)の森林を所有している企業で、その資源を活かして製材しパルプや紙を生産しているのだった。その資源がどれほどのものかをお見せする為に、お客様をヘリコプターにお乗せして200 kmほど南にある工場にご案内したものだった。その約1時間の飛行中のほとんどが我が社の社有林の上を飛んでいるので「もう分かった。十分に資源があると認識した」と言って頂けたものだった。
我が社を始めとしてアメリカの大手紙パルプ林産物メーカーは大規模な自社林を持って、そこでは一旦伐採した後では整地して肥料を与えて土地を整備した上で苗木を植えて管理して育成しているので、木材資源は無尽蔵とまでは言えないが、計画植林で計画的に伐採されている。だから、環境破壊などあり得ないのだった。そういう実情は産業界を揚げての広報活動の努力があって、「紙は環境を破壊している」という故なき誤解は解消されたのだった。
我が国の製紙会社は原料は国内の自社林等からも調達していたが、アメリカその他からもチップやパルプの形で輸入して国内の資源不足を補っていたし、海外にも自社林を持つなどして決して国内の貴重な天然の木材資源を浪費していることなどなかった。だが、環境保護論者たちは執拗に紙パルプ産業を悪者扱いにして「ペーパーレス社会へ」などと謳い上げてくれた。私もリタイアして26年が過ぎたが、まさか21世紀の今日に至って製紙連がこのようなリーフレットを作成する必要に迫られるとは夢想だにしていなかった。
現にICT化が進んだ現代では、紙の需要は激減し解りやすい例では新聞用紙などはアメリかでは需要が10年ほどの間に60%も減少して大手のメーカーは民事再生法であるChapter 11の保護を請願していたし、我が国では30%ほどの減少なのである。世界で紙類の需要が伸びているのは新興国だけで、アメリカも我が国も需要は減退の一途である。その時代にあって「環境に悪い」という説がまた出てきたとは驚くだけだ。
そこで製紙連のリーフレットの内容を見てみよう。Future誌の記事では「紙に対するネガティブキャンペーンは周期的にやってくるようで、ある世代が環境教育などを通じて、紙リサイクルの意義や森林の更新による温暖化防止効果などを学んでも、世代が変わり社会に影響力を与える新たな世代が育ってくると、再びその世代に向けてネガティブキャンペーンが始まる。キャンペーンの内容は基本的に変化がなく『森林を伐採して紙を作り環境を破壊している』、『紙の大量生産で森林資源が枯渇する』といった主張が繰り返される」とある。「デジャビュ」という言葉を想起させられた。
前置きが長すぎた。リーフレットの内容は①「紙の生産・消費が世界の森林減少の原因というのは事実と異なる」、②「紙1tonが木○○本という表現は実体を表していない」、③「紙は原料である木の成長から廃棄・焼却されるまでCO2を固定する素材である」、④「紙は自然界で分解される地球環境にやさしい素材」、⑤「そもそも古紙以外のものは紙に混ぜてはいけない」、⑥「未来に向けて新たな素材が生まれている」となっている。私には十分な説明だが、一般の方には完全に通じないのではとの懸念は残る気がする。
一言追加しておけば「我が国では至る所に多くの木が生えているが、あの樹種は紙の生産には余り適していないので、大手の製紙会社はそれ用に自社林で育成しているし、上記のように海外にも山林を保有している。その意味では我が国は資源小国とも言えるのだ。実は我が国では海外の森林資源を消費しているのだ」となる。だから、往年のクリントン政権は「アメリカから原料ばかりを輸入しないで、世界最高の品質を誇るアメリカ産の紙類(主として印刷用紙等)も輸入せよ」と迫ったのである。でも、実を結ばなかった。それが何故かは既に何度も述べてある。