1010 Radio

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停戦合意後も依然として混迷が続くパレスチナ情勢

2006-12-21 | ラジオ
パレスチナ自治領では先週日曜、ファタハとハマスという2つの主要な
政治勢力が停戦の合意を達成したものの、これは今に至るまで遵守さ
れないままとなっている。
絶え間なく続く衝突と銃撃戦により、パレスチナは今や内戦の一歩手
前という危機的な情勢に陥っている。
この問題に付いてロシアの声の評論委員は、次のようにコメントしてい
る。
18日夜ガザ地区でファタハ、ハマス両派の高官が、相手によって人質
に捕られた事件は、両派による和平の合意がメンバーの間では重んじ
られていない事実を物語っている。
この24年パレスチナ住民に対し何度となく、和平を遵守するよう呼びか
けをなされたにも関わらず、依然として緊張状態は解消されていない。

パレスチナ自治政府の指導者であるアッバス議長は、議会と自治政府
の指導部において、前倒しの選挙を行うことで問題を解決することを望ん
でいる。アッバス議長は、この方法でのみ政治危機を克服で出来ると主
張しており、また選挙に対しては自らの支持母体である、ファタハの勝利
を希望している。
さらにアッバス議長は、この選挙の後で現在の政治危機の主要な原因と
なっている、外国からの金融制裁が解除されることに期待をかけている。
国際的な中東問題の仲介勢力は、パレスチナに対しイスラエルの主権を
認め、またイスラエル側との合意に基づいて暴力を停止することを要求し
ており、アッバス議長は選挙によって新たな政府を立ち上げることでこの
要求に応えようとしている。

一方のハマス側は、アッバス議長がクーデターを企んでいるとさへ見なし
ており、また前回の選挙でファタハがハマスに屈した敗北から立ち直るた
め、アッバス議長はアメリカやEUと競合しているのだと考えている。
そしてハマスは、統一政府を立ち上げるための話し合いの継続を求めてい
る。しかしハマスは国際社会の要求に反して、イスラエルの存在を認めよ
うとしておらず、従ってイスラエルとの交渉に応じることも出来ないという弱
点を抱えている。

いずれにせよパレスチナ内での停戦の遵守が、新たな政府の成立を可能
とする条件であることは間違いない。この問題に付いてラブロフ外相は次
のように語っている。
「パレスチナでは現実に内戦の危機が迫っている。その為私達はパレスチ
ナの人々が内部での和平を達成し、また和平を妨げるような要求ばかりを
出すことの無いよう支援を行っていくつもりだ」ラブロフ外相は、このように
述べている。

専門家達は暴力の停止と、正常な政治プロセスへの移行無くして独立した
パレスチナ国家の存在自体、在り得ないと考えている。
パレスチナの全ての住民の利益を代弁し、パレスチナの全ての情況に責任
を負い、そしてイスラエルとの和平交渉に臨むことが出来るような、そうした
政治勢力の登場が求められている。

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12月19日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル