7月末以降、平壌からはジャーナリストや専門家らを驚かせるようなニュースが入り始めた。リ・ヨン・ホ参謀長が更迭された後、金正恩元帥はまったく予想だにしなかった行動を取り始めたのだ。
金正恩氏はどこに行くときも、自らの美しい妻であるリ・ソル・ジュ夫人を連れて現れるようになった。将軍たちとの会見の際には夫の傍に座り、アトラクションを一緒に楽しみ、労働者や教授らの自宅への訪問などを行った。
その後明らかになったのは6月28日、金正恩氏は農村管理システムにおける、抜本的な改革の開始を指示していたということだ。
この6月28日令に基づいて、農民には収穫の30%が残されることとなっていた。同時に、工業についても改革が行われるのではないかという噂が広がり、10月から北朝鮮企業は利益の大部分を、自由に処分できる可能性があることが取りざたされていた。
また9月もしくは10月には、二重為替システムが廃止されるということも話されていた。二重為替システムでは公定の銀行レートと実際の市場レートが、数十倍も違うという状況があったのだ。
このような改革への動きは70年代末の中国を彷彿とさせるもので、金正日氏の路線とはかけ離れている。金正日氏は中国の経験を取り入れることを拒んできたからだ。
最近数ヶ月間のニュースによって多くの人々の間では、若い北朝鮮の指導者が中国モデルに従って、抜本的な改革を始める決心をしたかのような印象が生まれたのだ。
しかし最近数週間で、楽観的見方には疑念が生まれつつある。つまり少し評価を急ぎすぎたのではないかということだ。突然、北朝鮮メディアからはリ・ソル・ジュ夫人の姿が消えた。最後に彼女の名前が掲載されたのは、9月26日付けの労働新聞だった。もちろんこの若いカップルが夫婦喧嘩したという可能性もあるが、より妥当な説明としては彼女が妊娠し、メディアへの登場を避けているという見方がある。
たださらに重要なのは、改革についての最近の噂がすぼんでしまったことだ。10月も終わりになろうとしているが、北朝鮮産業には何らの大きな変化が見られない。為替改革も実施されていない。
そして農村においても、今年の困難な食糧事情に鑑みて農村改革の実施は延期されることになったという。ただ北朝鮮が農村改革を拒み続ける限り、状況が改善されることはない。つまり今回の延期通告はほとんど改革の断念とも言えるのだ。
※なぜ平壌は改革を急がないのか(2)へ続く
10月19日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
金正恩氏はどこに行くときも、自らの美しい妻であるリ・ソル・ジュ夫人を連れて現れるようになった。将軍たちとの会見の際には夫の傍に座り、アトラクションを一緒に楽しみ、労働者や教授らの自宅への訪問などを行った。
その後明らかになったのは6月28日、金正恩氏は農村管理システムにおける、抜本的な改革の開始を指示していたということだ。
この6月28日令に基づいて、農民には収穫の30%が残されることとなっていた。同時に、工業についても改革が行われるのではないかという噂が広がり、10月から北朝鮮企業は利益の大部分を、自由に処分できる可能性があることが取りざたされていた。
また9月もしくは10月には、二重為替システムが廃止されるということも話されていた。二重為替システムでは公定の銀行レートと実際の市場レートが、数十倍も違うという状況があったのだ。
このような改革への動きは70年代末の中国を彷彿とさせるもので、金正日氏の路線とはかけ離れている。金正日氏は中国の経験を取り入れることを拒んできたからだ。
最近数ヶ月間のニュースによって多くの人々の間では、若い北朝鮮の指導者が中国モデルに従って、抜本的な改革を始める決心をしたかのような印象が生まれたのだ。
しかし最近数週間で、楽観的見方には疑念が生まれつつある。つまり少し評価を急ぎすぎたのではないかということだ。突然、北朝鮮メディアからはリ・ソル・ジュ夫人の姿が消えた。最後に彼女の名前が掲載されたのは、9月26日付けの労働新聞だった。もちろんこの若いカップルが夫婦喧嘩したという可能性もあるが、より妥当な説明としては彼女が妊娠し、メディアへの登場を避けているという見方がある。
たださらに重要なのは、改革についての最近の噂がすぼんでしまったことだ。10月も終わりになろうとしているが、北朝鮮産業には何らの大きな変化が見られない。為替改革も実施されていない。
そして農村においても、今年の困難な食糧事情に鑑みて農村改革の実施は延期されることになったという。ただ北朝鮮が農村改革を拒み続ける限り、状況が改善されることはない。つまり今回の延期通告はほとんど改革の断念とも言えるのだ。
※なぜ平壌は改革を急がないのか(2)へ続く
北朝鮮は経済危機を脱出できるか―中国の改革・開放政策との比較研究 | |
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10月19日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル