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第18回中国共産党大会、儒教の伝統とコミュニズムの間で

2012-11-19 | ラジオ
北京で開催中の中国共産党大会をウォッチしている、ロシアの声評論員デニーソフは、この第18回大会の一つの特徴、幾世紀にもわたる儒教の伝統に特別な注意が払われているという点に注目している。
胡錦涛国家主席は、党大会に登壇して党総書記としての自身最後の演説を始める前に、2度、深くお辞儀をした。この伝統的作法は、かつて社会主義国のリーダーが党の同僚たちの前で、かつて演じたことのないものだ。

胡錦涛国家主席は伝統的な思想、儒教に注意を払い、それを第4世代のイデオロギーの一つの源泉とした。
中国の公式プロパガンダにおいては、頻繁に儒教について言及されるようになった。諧和社会というコンセプト、また社会に中間層を構築するという考え方は、全て儒教から借用されたものだ。
識者の多くは、こうした方法で中国は独自の政治社会体制モデル、西欧のそれと異なったモデルを構築しようとしているのだと見なした。
胡錦涛国家主席は、人民に尽くす高潔な政治家というイメージを作り出すことに腐心した。例えば、SARSによる重大な被害があった広東省を訪れた際、国家主席は医療従事者にお辞儀をした。ニューヨークでも面会した人々の前で、お辞儀をした。中国の優秀な教師たちとの会談の際にもお辞儀をした。お辞儀が国家主席の名詞代わりになった。

しかし中国には、10年にわたる胡錦涛統治に不満を抱える者もいる。ある者は言う、汚職と闘うためには儒教道徳を援用するのではなく、毛沢東のように厳しい懲罰を用いるべきだと。
また社会の調和と言うが、それは結局、反対意見を圧殺するということではなかったのかと、諧和社会というモットーに賛成しかねる人々もある。中国国内もそうだが、とりわけ外国に関する問題も多く、中華人民の偉大なる復興という根強い記憶を呼び起こす振る舞いも見られた。

胡錦涛国家主席が第18回党大会で行った演説では、中華人民という用語が頻繁に用いられた。中国と日本の領土紛争が示したように、ナショナリスティックな感情の昂りは危険なものに成り得る。
新しい中国指導部は、この繊細な問題にどのように取り組むのだろうか。そのこと如何で、中国の内部状態だけでなく、世界の中国への関わり方も変わってくる。

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文藝春秋

11月10日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
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