言わずと知れた、村上春樹さんの代表作で大ヒット作の一つ、
映画『ノルウェイの森』を観てきました。
数年前に原作を読み、うっすらとしか内容を覚えていなかったので、
映画として作品に接し直すにはちょうど良い頃合いだったかもしれません。
村上春樹さんの小説はご存じのように読みやすく、
翻訳的な文体とも言われたりするものなので、
読んでいるときには純文学を読んでいるという気にはならないのですが、
そういう、セリフ以外の文体を取り去って、映像と言う直接的な表現方法を通して
物語を眺めてみると、やはりこれは純文学なのだなぁという見え方がしました。
また、映画の作り、出来栄えとしては、ミニシアター系の良作といった種類の
映画に仕上がっているように見えました。
ミニシアター系と言っても、一昔前の『アメリ』のような娯楽作品ではないのですが、
語り口といいますか、映画という表現方法での監督の語り方には、
大衆的なポップさは無いし、カメラのアングルや色彩にはこだわっているのだろうけれど、
派手さはないし、無理な感じも無い。
舞台となるのが1967年頃からなので、そのあたりのファッション、
つまり服飾とか食器とか部屋の装飾が、さらっとして趣味の良いものになっているのが
プラスに影響しています。
まぁ、60年代の美意識が洗練された形でフィードバックされて映画を彩っている
とも言えるでしょうね。
ただ、やはり、小説という媒体で完成度の高かったものなので、
たとえばセリフとして登場人物たちに会話される性表現には露骨さを感じたりしました。
一人で、村上春樹さんと向き合う形で小説を読んでいる分には
そういうのは許容範囲として読み進めていけるものなのですが、
映画というものの中ではちょっとどぎつく感じましたね。
それでも、本のように、自分が読み進めなくても映画はさーっと過ぎ去っていくので、
そのあたりのバランスとして、それほど性表現が全体の中で突出したものではないかもしれないです。
それと、村上作品らしいセリフの言葉づかいなので、役者さんたちは苦労されたんじゃないかと
思うのですが、それにもかかわらず、主演の松山ケンイチさんは特に見事に村上春樹の語り方を
モノにされていたように見受けられました。出色の演技です。
あの独特の言葉づかいに違和感がなく、そのうえ言葉づかいに容姿や表情がフィットしていました。
彼は、この作品の演技でさらに評価を高めるのではないでしょうか。
彼が主演する来年公開の『GANTZ』も楽しみですね。
もう一度、作品の雰囲気について言い及ぶと、
9月に公開された、これまた純文学が原作の『悪人』よりもエンタメ色が薄いです。
じゃぁ、ノルウェイの森の何が良いかと言えば、内容の重みと作品のつくりのライトさのバランスが
良いということでしょうか。油っこさがないといえば多少は通じますかね。
重みはあっても、きっと、ちゃんと観ていればもたれることはないんじゃないかという個人的見解です。
『悪人』のほうが、もたれそうな感じがします。
そのあたり、再度言うことになりますが、60年代をちょっと洗練させた感じという背景が良い味付けなのです。
ここで、僕がこの作品に危惧することが一つあるのですが、これもやはり繰り返しになりますが、
性表現についてなんですね。村上春樹をなにも知らずに、そして、エンタメ映画しか知らずに、
何の情報も事前に仕入れずにこの『ノルウェイの森』を観にいくと、
「なんだこの露骨なシモネタ的セリフ回しは」なんて、辟易として途中退場するハメになるかもしれない。
特に男はそうですね。女ならばしっかりと見終える人が多そうに思います。
気をつけたいのは、性表現に対して、それが作品に欠かせない意味を持つ要素であると理解するか、
悪趣味だと理解するかなんです。
80年代の終わりに出版されるや否や大ヒットして、何百万部だか売れた作品であるにもかかわらず、
そういうところでは、賛否両論吹き荒れるような作品でもあるのでしょう。
最後に。
この映画には、糸井重里さんや、YMOの細野晴臣さんと高橋幸宏さんがチョイ役で出演されていました。
80年代に大活躍されて、今でも活躍されている方々です。
ちょうど、この作品がでたときにヒットさせた一般の人たちのツボってものが、
彼等とも重なっているからのキャスティングでもあるのでしょうか。
僕は80年代にはまだまだ子どもでしたが、彼らにはすごく好感を持っているので、
このコラボ(?)には嬉しい気持ちになりました。
映画『ノルウェイの森』を観てきました。
数年前に原作を読み、うっすらとしか内容を覚えていなかったので、
映画として作品に接し直すにはちょうど良い頃合いだったかもしれません。
村上春樹さんの小説はご存じのように読みやすく、
翻訳的な文体とも言われたりするものなので、
読んでいるときには純文学を読んでいるという気にはならないのですが、
そういう、セリフ以外の文体を取り去って、映像と言う直接的な表現方法を通して
物語を眺めてみると、やはりこれは純文学なのだなぁという見え方がしました。
また、映画の作り、出来栄えとしては、ミニシアター系の良作といった種類の
映画に仕上がっているように見えました。
ミニシアター系と言っても、一昔前の『アメリ』のような娯楽作品ではないのですが、
語り口といいますか、映画という表現方法での監督の語り方には、
大衆的なポップさは無いし、カメラのアングルや色彩にはこだわっているのだろうけれど、
派手さはないし、無理な感じも無い。
舞台となるのが1967年頃からなので、そのあたりのファッション、
つまり服飾とか食器とか部屋の装飾が、さらっとして趣味の良いものになっているのが
プラスに影響しています。
まぁ、60年代の美意識が洗練された形でフィードバックされて映画を彩っている
とも言えるでしょうね。
ただ、やはり、小説という媒体で完成度の高かったものなので、
たとえばセリフとして登場人物たちに会話される性表現には露骨さを感じたりしました。
一人で、村上春樹さんと向き合う形で小説を読んでいる分には
そういうのは許容範囲として読み進めていけるものなのですが、
映画というものの中ではちょっとどぎつく感じましたね。
それでも、本のように、自分が読み進めなくても映画はさーっと過ぎ去っていくので、
そのあたりのバランスとして、それほど性表現が全体の中で突出したものではないかもしれないです。
それと、村上作品らしいセリフの言葉づかいなので、役者さんたちは苦労されたんじゃないかと
思うのですが、それにもかかわらず、主演の松山ケンイチさんは特に見事に村上春樹の語り方を
モノにされていたように見受けられました。出色の演技です。
あの独特の言葉づかいに違和感がなく、そのうえ言葉づかいに容姿や表情がフィットしていました。
彼は、この作品の演技でさらに評価を高めるのではないでしょうか。
彼が主演する来年公開の『GANTZ』も楽しみですね。
もう一度、作品の雰囲気について言い及ぶと、
9月に公開された、これまた純文学が原作の『悪人』よりもエンタメ色が薄いです。
じゃぁ、ノルウェイの森の何が良いかと言えば、内容の重みと作品のつくりのライトさのバランスが
良いということでしょうか。油っこさがないといえば多少は通じますかね。
重みはあっても、きっと、ちゃんと観ていればもたれることはないんじゃないかという個人的見解です。
『悪人』のほうが、もたれそうな感じがします。
そのあたり、再度言うことになりますが、60年代をちょっと洗練させた感じという背景が良い味付けなのです。
ここで、僕がこの作品に危惧することが一つあるのですが、これもやはり繰り返しになりますが、
性表現についてなんですね。村上春樹をなにも知らずに、そして、エンタメ映画しか知らずに、
何の情報も事前に仕入れずにこの『ノルウェイの森』を観にいくと、
「なんだこの露骨なシモネタ的セリフ回しは」なんて、辟易として途中退場するハメになるかもしれない。
特に男はそうですね。女ならばしっかりと見終える人が多そうに思います。
気をつけたいのは、性表現に対して、それが作品に欠かせない意味を持つ要素であると理解するか、
悪趣味だと理解するかなんです。
80年代の終わりに出版されるや否や大ヒットして、何百万部だか売れた作品であるにもかかわらず、
そういうところでは、賛否両論吹き荒れるような作品でもあるのでしょう。
最後に。
この映画には、糸井重里さんや、YMOの細野晴臣さんと高橋幸宏さんがチョイ役で出演されていました。
80年代に大活躍されて、今でも活躍されている方々です。
ちょうど、この作品がでたときにヒットさせた一般の人たちのツボってものが、
彼等とも重なっているからのキャスティングでもあるのでしょうか。
僕は80年代にはまだまだ子どもでしたが、彼らにはすごく好感を持っているので、
このコラボ(?)には嬉しい気持ちになりました。