Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『原発報道とメディア』

2012-07-10 23:03:28 | 読書。
読書。
『原発報道とメディア』 武田徹
を読んだ。

前回読んだ、内田樹さんの『街場のメディア論』に続いて、
今度は武田徹さんのメディア論を読んでみました。
本当は、原発のことが書かれた本だろうと思い購入したのです。
それが、読んでみると、しっかりとしたメディア論でした。
内田さんの本から連続したメディア論になりましたが、
それはそれ、「奇しくも」といった体であります。

僕はのめりこんで読むタイプなので、読んでいくうちに
内田さんのメディア論のことは忘れていきます。
きっと、武田さんと意見を異にするところはあったとは思いましたが、
全然気付きません。

よって、いい加減な、メディア論考になっているとすごく思うのですが、
まぁ、それはしょうがないと、自分で言ってしまいます。

印象的だったのは、知ることのリスクについてでした。
チェーンメールで拡散された、Rh-の血液型を求む、というものがあり、
それは本当のことだったのですが、そのメールの真偽を確かめる電話が
そのメールで指定された病院に殺到し、病院の事務が仕事にならなくなった。
「診療に支障が出ている。善意だとしても、これ以上の転送はやめてほしい」
と病院側はコメントを出したそうです。

なんでもかんでも、誰にでも知らせて良いわけでもない。
それはジャーナリズムも一緒かもしれない。
その一例として挙げられていましたし、
それがお門違いの例ではないだろうと、僕も理解しました。

しかしながら、本書は感想を書くにはちょっと難しいところがあります。
端的に、少ない言葉で表現すると、不足する事柄ばかりを扱っているからです。

そんな本書を紹介するには、帯にも書いてありましたが、
この文句が良いでしょう。

「3.11の後、どう語るのか?」

僕らはいろいろな悲劇やショックをプラスに変えて、進歩していくべきなんだと思います。
また、悲しいかな、そういう悲劇がないと、
ぐんと進歩できない集団的生き物なんだとも思っています。

うわべだけを見ず、福島第一原発事故であれば、福島に住む人たちを想うこと。
彼らが見まわれた風評被害などにも目を向けること。
そういうことが、ジャーナリストでなくても、
個々人のジャーナリズム性であって、そういう目を養うことが大事になるんだ、
というように読めました。

一般読者に向けられたというよりも、ジャーナリズムの道を目指す人に向けられた
本のように読ましたしたが、それでも十分に面白く勉強できる、視野の広がる本でした。
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