昨日の記事で紹介したように、2012年秋にリニューアルオープンした東京ステーションホテルの館内を見学し、東京駅丸の内駅舎保存復原工事の責任者で、ジェイアール東日本建築設計事務所 丸の内プロジェクト室長の田原幸夫さんのお話を聞く機会がありました。

東京駅の開業は1914年。
来年がちょうど100周年になります。
そのきっかけは、新橋~横浜間の開業(1872年)と上野駅の開業(1883年)にあり、新橋から上野までの空白区間に鉄道を敷き、そのちょうど中間地点に駅を造ろう、ということとか。
1903年にいろいろな案が出されましたが(ドイツのフランツ・バルツァー案など)、日本銀行本店や大阪市中央公会堂、奈良ホテルなどを手掛けた辰野金吾(1854-1919年)に設計が依頼され、1908年に着工、1914年に東京駅として開業しました。
辰野氏は、日本は地震が多いことを考慮し、最初から耐震を考えた設計を行いました。
そのため、1923年の関東大震災では駅舎の被害はなかったものの、1945年の第二次世界大戦の東京大空襲による火災で屋根などが焼失してしまいました。
そこで、終戦後の1947年、3階建てだった駅舎が2階建てになって復旧されました。
その後、2003年に国の重要文化財に指定され、2007年に保存・復原工事が着工するまでの60年間、第二次大戦後の応急処置で復旧された丸の内駅舎が、東京駅のシンボルとして愛されてきました。
しかし、最初の建築から100年近くが過ぎ、また、重要文化財に指定されたこともあり、丸の内駅舎の保存への取り組みへの動きが進み、2007年5月に保存・復原工事が始まりました。
今回の保存・復原工事の方針のポイントは大きく2つありました。
ひとつは、残存するオリジナルのものを最大限尊重し、保存に努めること。
オリジナルでないものはできるだけオリジナルに近づけ、仕様が明確でないものは全体の印象を損なわないようにし、オリジナルでなくても意匠的・技術的に優れたものは保存、活用します。

1947年の復旧時にはなかった時計の下の飾りはオリジナルにあったため復活
また、天井は以前は丸いドーム型でしたが、オリジナルの八角形天井に戻りました。
現在の八角形天井については、こちらのレポート で写真を紹介しています。

1947~2007年の時代の円天井は、現在は南北各ドームの床にデザインされています
ふたつめは、安全性、機能性、メンテナンス性の考慮。
徹底した免震工事が行われていますが、この工事だけで4年もかかったとか!
今後、首都圏では大きな地震の発生が予測されていますので、免震工事の話を知り、ほっとひと安心しました。
ところで、今回の保存・復原工事には、「復原」という漢字が当てられています。
オリジナルが何も残っていないものを一から新たに元に戻すことを「復元」とし、
オリジナルの一部が残っているものを原型に戻すことを「復原」としているからです。
つまり、今回の工事では、今まであったものの一部を保存しながら行なわれました。


さて、東京ステーションホテル の方ですが、
ホテルの開業は、東京駅開業の1年後、1915年。
その後、1933年に東京鉄道ホテル に改称し、空襲で屋根を失った後、復旧後の1951年に東京ステーションホテルとして営業を再開。
今回の保存・復原工事のために2006年にホテルを一時休業し、2012年にリニューアルオープンとなりました。
部屋の数は、以前の58室から150室へと、約3倍に増えました。
ただし、広さの点では30平米以下の部屋もあり、よくいえばコンパクト。
もちろん、スイートやロイヤルスイートなどの、広さが確保された部屋もあります。
「スペックを競うと、その先は価格競争になってしまうので、東京ステーションホテルではスペックに重きを置いていない。スペック(SPEC)ではなく“ストーリー(STORY)”を、“サービスを提供する”のではなく、“お客様と共感する”ことを大事にしている」と、同ホテルの藤崎総支配人の談。
東京ステーションホテルのコンセプトは、ホテル内のそこここに感じられました。

北の端から南の端まで、長~いホテルの廊下!
南北に335mって、東京タワーの高さよりも長いんです

廊下には古い写真などが飾られています

バルコニーからドームが眺められます
お部屋は、メゾネット式になっているタイプ(1F部分がリビング、2F部分が寝室)、173平米のロイヤルスイートを見せていただきました。
ロイヤルスイートは10人がゆったり会議できるテーブル&椅子、応接セット、ウオークインクローゼット、キッチンを備えていて、まるで家のよう!写真はもちろん撮ってきましたが、公開は控えさせていただきます。1泊808500円!機会があればぜひ(笑)
でも、ここで重要な会議や商談をするのもアリな気がしました。

アメニティは“ブルガリ”

客室の画像を公開しない代わりに、部屋の窓から見た景色を紹介します。

メゾネットタイプの寝室の窓

見慣れた通りも、ホテルの窓から見ると、なんだか違って見えますね

メモ用紙は原稿用紙タイプ!
『点と線』を書いた作家の松本清張が“空白の4分間”のトリックを思いついたのも、このホテルの部屋から駅のホームが見えたからでした。今はホームは見えませんが、清張お気に入りの209号室(現在の2033号室)は、ミステリーファンなら泊まってみたいかも?
まだまだ語りつくせませんが、興味を持たれた方は下記HPをチェックし、また、ぜひ実際に足を運んでみてください。
この夏、どこにも行く予定のない方は、東京ステーションホテルに滞在してみるのも面白いかもしれません。
東京ステーションホテル
http://www.tokyostationhotel.jp/


東京駅の開業は1914年。
来年がちょうど100周年になります。
そのきっかけは、新橋~横浜間の開業(1872年)と上野駅の開業(1883年)にあり、新橋から上野までの空白区間に鉄道を敷き、そのちょうど中間地点に駅を造ろう、ということとか。
1903年にいろいろな案が出されましたが(ドイツのフランツ・バルツァー案など)、日本銀行本店や大阪市中央公会堂、奈良ホテルなどを手掛けた辰野金吾(1854-1919年)に設計が依頼され、1908年に着工、1914年に東京駅として開業しました。
辰野氏は、日本は地震が多いことを考慮し、最初から耐震を考えた設計を行いました。
そのため、1923年の関東大震災では駅舎の被害はなかったものの、1945年の第二次世界大戦の東京大空襲による火災で屋根などが焼失してしまいました。
そこで、終戦後の1947年、3階建てだった駅舎が2階建てになって復旧されました。
その後、2003年に国の重要文化財に指定され、2007年に保存・復原工事が着工するまでの60年間、第二次大戦後の応急処置で復旧された丸の内駅舎が、東京駅のシンボルとして愛されてきました。
しかし、最初の建築から100年近くが過ぎ、また、重要文化財に指定されたこともあり、丸の内駅舎の保存への取り組みへの動きが進み、2007年5月に保存・復原工事が始まりました。
今回の保存・復原工事の方針のポイントは大きく2つありました。
ひとつは、残存するオリジナルのものを最大限尊重し、保存に努めること。
オリジナルでないものはできるだけオリジナルに近づけ、仕様が明確でないものは全体の印象を損なわないようにし、オリジナルでなくても意匠的・技術的に優れたものは保存、活用します。

1947年の復旧時にはなかった時計の下の飾りはオリジナルにあったため復活
また、天井は以前は丸いドーム型でしたが、オリジナルの八角形天井に戻りました。
現在の八角形天井については、こちらのレポート で写真を紹介しています。

1947~2007年の時代の円天井は、現在は南北各ドームの床にデザインされています
ふたつめは、安全性、機能性、メンテナンス性の考慮。
徹底した免震工事が行われていますが、この工事だけで4年もかかったとか!
今後、首都圏では大きな地震の発生が予測されていますので、免震工事の話を知り、ほっとひと安心しました。
ところで、今回の保存・復原工事には、「復原」という漢字が当てられています。
オリジナルが何も残っていないものを一から新たに元に戻すことを「復元」とし、
オリジナルの一部が残っているものを原型に戻すことを「復原」としているからです。
つまり、今回の工事では、今まであったものの一部を保存しながら行なわれました。


さて、東京ステーションホテル の方ですが、
ホテルの開業は、東京駅開業の1年後、1915年。
その後、1933年に東京鉄道ホテル に改称し、空襲で屋根を失った後、復旧後の1951年に東京ステーションホテルとして営業を再開。
今回の保存・復原工事のために2006年にホテルを一時休業し、2012年にリニューアルオープンとなりました。
部屋の数は、以前の58室から150室へと、約3倍に増えました。
ただし、広さの点では30平米以下の部屋もあり、よくいえばコンパクト。
もちろん、スイートやロイヤルスイートなどの、広さが確保された部屋もあります。
「スペックを競うと、その先は価格競争になってしまうので、東京ステーションホテルではスペックに重きを置いていない。スペック(SPEC)ではなく“ストーリー(STORY)”を、“サービスを提供する”のではなく、“お客様と共感する”ことを大事にしている」と、同ホテルの藤崎総支配人の談。
東京ステーションホテルのコンセプトは、ホテル内のそこここに感じられました。

北の端から南の端まで、長~いホテルの廊下!
南北に335mって、東京タワーの高さよりも長いんです


廊下には古い写真などが飾られています


バルコニーからドームが眺められます
お部屋は、メゾネット式になっているタイプ(1F部分がリビング、2F部分が寝室)、173平米のロイヤルスイートを見せていただきました。
ロイヤルスイートは10人がゆったり会議できるテーブル&椅子、応接セット、ウオークインクローゼット、キッチンを備えていて、まるで家のよう!写真はもちろん撮ってきましたが、公開は控えさせていただきます。1泊808500円!機会があればぜひ(笑)
でも、ここで重要な会議や商談をするのもアリな気がしました。

アメニティは“ブルガリ”


客室の画像を公開しない代わりに、部屋の窓から見た景色を紹介します。


メゾネットタイプの寝室の窓


見慣れた通りも、ホテルの窓から見ると、なんだか違って見えますね

メモ用紙は原稿用紙タイプ!
『点と線』を書いた作家の松本清張が“空白の4分間”のトリックを思いついたのも、このホテルの部屋から駅のホームが見えたからでした。今はホームは見えませんが、清張お気に入りの209号室(現在の2033号室)は、ミステリーファンなら泊まってみたいかも?
まだまだ語りつくせませんが、興味を持たれた方は下記HPをチェックし、また、ぜひ実際に足を運んでみてください。
この夏、どこにも行く予定のない方は、東京ステーションホテルに滞在してみるのも面白いかもしれません。
東京ステーションホテル
http://www.tokyostationhotel.jp/
