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王妃マリー・アントワネット(下)-遠藤周作

2021年01月15日 | 読書

評価5

1793年10月16日マリー・アントワネットは夫・ルイ16世の後を追ってギロチンによる斬首刑となった。罪状は君主制維持を目的として武力干渉を諸外国に要請し反革命の中心人物としての国家反逆罪。首飾事件、幽閉先からの逃亡など波乱万丈の人生を37歳で終えたのであった。

貴族と聖職者及び市民との対立から始まり、バスチーユ攻防、パリ市民兵創設による封建制の廃止、国王と王妃の逃亡もヴァレンヌでの捕縛、フランスとオーストリアとの戦い、反革命の疑いのある貴族や市民が襲われた「9月の虐殺」、1票差によるルイ16世の死刑判決、激動の革命期に生きた王妃とならねば幸せな人生であっただろう一人の女性の生きざまに酔いしれた4日間の読書でした。

最後に、処刑台に引き出される直前のマリー・アントワネットの決意を記しておきます。「わが子たちよ、わたくしも、わたくしの主義を最後まで守ります。わたくしの主義、人生の最後まで王妃だった女の優雅さ、美しさを守り抜くこと。どんな状況におかれようと、自分の美しさを失わないこと。王妃として威厳をなくさないこと。」