
評価

短編7作品。表題作には死に真似をする実在の動物オポッサム、魚の鱗と飛び魚の胸びれで出来ている楽器「鳴鱗琴(めいりんきん)」が登場。そして作者にしては珍しい官能小説も!
①海②風薫るウィーンの旅六日間③バタフライ和文タイプ事務所④銀色のかぎ針⑤缶入りドロップ⑥ひよこトラック⑦ガイド
空想の楽器、年齢差のある人物の交流、身近にある死の気配、安定の小川ワールド。一番面白かったのは漢字にこだわった官能小説「バタフライ和文タイプ事務所」。とてもここではその漢字を書けません(笑)。そういえば「密やかな結晶」にもタイピストさんが出てきましたね。「風薫るウィーンの旅六日間」よく小川さんの作品に出て来るウィーンですが、オチがよめて大満足。「ひよこトラック」はカラーひよこのエッセイを思い出しました。
同じ作家さんの本をいろいろ読むと、縦糸横糸がわかって楽しいものです。