白堊スポーツ - since 2004.09.18

母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

終わらざる夏(上)ー浅田次郎

2021年10月23日 | 読書

評価4

再読(前回2018年1月29日)。
時は太平洋戦争末期。日本最北端の占守(シュムシュ)島へ盛岡出身の医師・菊池、翻訳家・片岡、軍曹・富永が赤紙で招集された。この島では帝国陸軍最強の戦車部隊が待っていた。3人の召集の真意はどこにあるのか?終戦直後の「知られざる戦い」の幕が上がった。

上ノ橋、加賀野、岩手銀行本店、岩手医専、盛岡中学(菊池と片岡は卒業生)、松屋デパート、中津川、岩手山等々、盛岡の街が随所に登場!盛岡弁もてんこ盛り!そして、赤紙一つで徴兵される理不尽さが痛いほど伝わって来る。

3人の運命や如何に!?片岡が担うことになる密命は?千島最北端の島へやって来るのはどこの国?オホーツク海、千島列島の地図を片手に中巻へ進む。



地のはてから(下)ー乃南アサ

2021年10月21日 | 読書

評価4

再読(前回2020年8月20日)。
知床へ開拓移民した「とわ」の一代記。奉公に出た小樽の商家が没落した後、故郷に帰ったとわは斜里の男性と結婚し古着屋を始める。うだつの上がらない夫を支えながら太平洋戦争を切り抜け三男三女を育て上げたとわの生き様に感動。

終盤は夫や兄弟が徴兵されて女手一つで家計を支えるとわの懸命な働きぶりに風雲急を告げる戦況が重なり頁をめくる手が止まらない。戦争の悲惨さを改めて思う。13年ぶりに「大好きだった」三吉に再会した時のとわの毅然とした態度には驚いた。「おがちゃ(母)」は強し!



地のはてから(上)ー乃南アサ

2021年10月19日 | 読書

評価4

再読(前回2020年8月1日)。
福島で生まれた「とわ」は父が株に失敗してしまい、家族と開拓移民として知床の山に入る。バッタの大群に襲われ父が事故死するなど数々の困難を経て小学卒業と同時に小樽の商家へ奉公に出る。14歳になった「とわ」の人生はどうなる!?中央公論文芸賞受賞の力作。

「二サッタ、二サッタ」に出て来るとわ婆ちゃんの生涯を追った物語。大正から昭和を逞しく生きた開拓民の少女の姿が生き生きと甦る!余計な描写を削った作者の筆力に引き込まれグングン物語にのめり込んでしまう。乃南アサ凄い作家です!