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元気な中小企業 “熟練の技”で新分野へ

2012-04-03 07:23:48 | 報道/ニュース


  3月27日 おはよう日本


  ハイテクのかたまりの国産のH2Aロケットは
  ひとつひとつの部品作りにきわめて高い精度が求められるが
  先端部分の部品は
  従業員100人ほどの町工場の職人が手作業で作り上げたものである。

  ロケットの先端を覆う保護カバーはアルミ合金製で直径1,5m。
  打ち上げの衝撃や摩擦にさらされる部品だけに
  わずかな歪みや傷も許されない。
  巨大な金属の板を0,1ミリの精度の高度な加工技術が求められる。

  用いられているのが日本スピンが得意としているへら絞りという技術。
  丸く切り抜いた金属の板を機械で挟んで回転させる。
  へらと呼ばれる工具で型に押し付けるように整えていく。
  熟練の職人は数種類のへらを使い分けながら
  手に伝わる振動や音を頼りに微妙に力を加減して仕上げていく。

  へら絞りをうり物にしてきたこの工場だが
  歴史的な円高などから主な取引先の海外移転が進んでいる。
  そこで決断したのが航空宇宙産業。
  なかでもロケット以上に多くの受注が見込める航空分野を
  経営の柱にすることだった。

  日本スピン 濱中社長
  「どうやって生き延びていくかを考え
   ハイレベルな技術をさらにアップさせ安定したものが出来れば良い。」

  しかし航空分野に本格的に進出するには
  高品質を長期間作り続けられる技術力を
  取引先にわかりやすくアピールする必要があった。
  まず作業手順書づくりに取り組み
  これまでは職人にまかせきりだった製造工程を
  ひとつひとつの作業に分解しわかりやすく示した。
  たとえば検査機器に使われる部品は
  へら絞りなどを行なう手順を写真とともに詳細に文書化した。
  さらに手順書どうりに作られているか
  担当した職人が確認して記録する仕組みも新たにつくった。  
  このように製造工程をガラス張りにして取引先に示し
  受注につなげる作戦である。
  
  また品質管理を徹底するため新たな手法も導入した。
  手順書に沿って作業が確実に行なわれているかどうか
  品質管理責任者や技術の責任者に外部のコンサルタントを加えた会議で検証する。

  「クレームを経ラスことを1つの目標にしている。」
  「要はダブルチェック。」

  これによって熟練の職人でも避けられない部品の不具合などの割合を
  これまでの2,3%から1,9%まで引き下げ
  品質の向上につなげた。
  
  品質管理担当者
  「もともと私たちは職人技 ものを作る技術を持っていたが
   その固有技術を管理する管理技術は持っていなかったので
   今われわれがやっている取り組みが必要になってくる。」

  こうした取り組みが功を奏し
  自衛隊の輸送機や新型のジェット旅客機のエンジンの部品など
  新たな受注にも成功。
  着実に売り上げを伸ばしている。

  濱中社長
  「世界に通用する技術だと言う証明がないと
   生き延びられないのではないか。
   新規開拓した部分を発展させたい。」

  中国などの製造業が力を伸ばすなかで
  これまで培ってきた職人技を最大限に生かすことで  
  ビジネスチャンスをつかむことが出来ると手ごたえを感じている。
  今後、職人技をビデオ映像に収めるなどして
  さらに詳しく製造工程を記録し
  ベテランから若手への技術の継承にも役立てていくことにしている。

















  
  
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