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大企業と中小企業 二極化進む韓国社会

2012-04-12 12:53:23 | 海外ネットワーク


  3月31日 NHK海外ネットワーク


  主要国の中で最も高い大学進学率を誇る韓国。
  卒業生がこぞって目ざすのはグローバル化によって成長を続ける韓国の大企業。
  韓国社会では今、生産現場で深刻な問題が起き始めている。

  韓国のヒョンデ自動車は世界代5位の大手自動車メーカー。
  去年、過去最高の売り上げを記録したサムスン電子は
  韓国のGDP国内総生産の15%にあたる11兆円を売り上げた。  
  大企業の就職説明会は常に満員である。
  大企業に就職するにはTOEICで母国語並みの900点台も珍しくない。

  就職活動を指導する合宿に参加したキム・スヒョンさん。
  韓国南部キョンサン市の私立大学で経営学を学び
  最大手の化粧品メーカーへの就職を目指している。

  講師
  「履歴書で重要な部分 それは写真。
   仕事が出来そうな感じで写ること。
   朝は顔が腫れているから注意して。」

  講師
  「自己紹介してみて。」
  キム・スヒョンさん
  「こんにちは。
   賢いことが魅力で営業管理のプロを目指しているキム・スヒョンです。
   接客業のノウハウを学ぶため
   アイス売り場で人材を管理する仕事をしていました。」
  講師
  「接客業のノウハウ身につけたと強くPRしなければだめ。
   相手の記憶に残るように。」

  キム・スヒョンさんは大学入学時から大企業への就職を目指してきた。
  TOEICの点数はほぼ満点。

  キム・スヒョンさん
  「大きな企業ほど仕事の成果に応じた特別な報酬が多いので
   やはりみんな就職したがる。」

  韓国では売り上げ上位の0,1%にすぎない500社余の企業が
  韓国全体の企業の売り上げの56,7%を占めている。
  学歴社会の韓国では大学生は皆
  大企業を目指しているのである。
  
  ソウル市内で行なわれた女子大の卒業式。
  大企業に就職が決まらなかった卒業生の中には就職活動を続けるという人もいた。

  「大きな仕事をする機会が与えられるから大企業で働きたい。
   親の期待に応えないと。」
  「中小企業は敬遠される。
   大金を使って勉強してきたのでいい大企業に入りたい。」

  優秀な人材をひきつける大企業。
  躍進を支えているのが韓国が国家戦略として推進している貿易の自由化。
  各国と次々に関税の撤廃などを進めて輸出産業を大きく伸ばし
  国を発展させようとしている。
  
  一方 国家戦略から取り残された形となった中小企業の多くは
  業績が急激に悪化している。
  午前5時にソウル郊外で労働者を紹介するセンターの前に集まっているのは
  中小企業の経営者たちである。
  経営者たちが求めているのは外国人労働者。
  年に2回、全国でいっせいに紹介が行なわれ
  申請が早い順に割り当てられていくため
  皆、夜を徹して並んでいるのである。
  徹夜で並んでも必要な人数を確保できる中小企業はわずか。

  「5人採用したかったが最大でも3人と言われた。
   人手が必要なのにいない。」

  ソウル郊外で木材加工工場を経営するキム・ヨンホンさん。
  国内の販売競争が激しくなるなか
  業績はここ数年急激に悪化している。

  キム・ヨンホンさん
  「大企業も中小企業も同じように成長していくべきなのに
   大企業ばかりもうけて
   うちのような職場には就職してくれる人さえいない。」

  重要な木材切断の工程を任されているのはフィリピン人。
  5年前までひとりもいなかった外国人労働者は
  いまや全従業員の約4分の1を占めるようになった。
  韓国の今の法律では工場などで外国人労働者が働ける期間は4年10ヶ月。
  キム・ヨンホンさんの工場でも外国人労働者が秋には全員帰国してしまう。

  キム・ヨンホンさん
  「せっかく仕事を教えたのに帰ってしまうなんて大きな損失。
   もう工場を続けたくない。」

  輸出で利益をあげ人材も集中する大企業。
  業績が悪化し外国人労働者に支えをみいだす中小企業。
  専門家は韓国社会の二極化ともいえる状況に警鐘を鳴らしている。

  韓国・中央大学社会学科 イ・ビョンフン教授
  「大企業や財閥系企業を優遇するような国の政策が
   大企業と中小企業の格差
   韓国社会の格差問題を生んでいる。
   大企業と中小企業がともに発展できる社会が必要。」

  グローバル化による問題は各国共通の問題になってくるが
  韓国の場合は特に大企業と中小企業の差が非常に大きく
  中堅の企業が少ない。
  今後 日本も国際競争が激しくなると中小企業の経営は厳しくなり、
  さらに少子高齢化が進むと
  労働者の不足などの問題が出てくることも予想される。
 
  

  
  
  
       
  


  
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