4月10日 おはよう日本
海外の大学の勉強は
日本大学に入学してから海外の大学に留学するのが一般的だが
こうした留学は就職活動に乗り遅れるなどで減少傾向にあって
大学生の内向き化が指摘されている。
その一方で日本の大学を素通りして
海外の大学の直接進学する動きが広まっている。
大手の通信機養育会社が行なっている海外進学のための授業。
対象は中学3年生から高校3年生。
海外の大学の受験に必要な英語の検定試験TOEFLの対策や
英語の論文の書き方を学ぶ。
今年この会社のサポートを受けて海外の大学に進学する高校生は135人。
去年の25人から5倍以上に急増した。
高校2年生
「(日本の大学では)就職率もそんなに良くなっていない。
それを考えると海外(進学)も視野に入ってくる。」
高校1年生
「国際社会に貢献するような仕事に就きたいと思っていて
東大とかの勉強だけでは海外では戦っていけない。」
ベネッセコーポレーション 海外進学支援課 藤井雅徳課長
「日本の大学に進学して日本の企業に就職して
そのまま日本で生きていくと言う将来設計が難しい。
早慶上智あたりを考えている子どもたち・保護者の方が
海外の大学を考える割合は高まっている。」
鹿児島からアメリカの大学に進学を決めた高校生がいる。
山下さくらさんはこの春地元の高校を卒業した。
海外生活の経験はない。
インターネットを使った海外進学のための授業を利用し
地方にいながら第一志望のアメリカの大学への切符を手に入れた。
「これはマディソンカレッジという大学の合格証明書です。
アメリカの大学に行けるんだと思ってうれしかったです。」
進学するのはウィスコンシン州立大学マディソン校。
ノーベル賞受賞者を18人も輩出する名門である。
世界大学ランキング2011-2012 Times Higher Educationでも27位。
(東京大学は30位)
「日本で最高峰の大学よりもいい教育が受けられると期待しています。」
小学6年生のとき家族とブラジル旅行に行った山下さん。
スラム街で貧富の差を目の当たりにし
将来 途上国支援にかかわるような仕事をしたいと思うようになった。
しかし日本の大学では夢をかなえる勉強が出来ないと考えるようになった。
「日本の大学のイメージは大きな講堂でみんな一緒に勉強して
サークルとかバイトに明け暮れ
3年生になったら一斉に就活。
私が大学生という時間の中でしたいこととは違うかなと思って。」
自ら毎年100万円の奨学金をもらえる見通しをつけた山下さん。
両親も娘の決断を後押しした。
山下四郎さん
「東京の大学に行かせたときの生活費と比べても
そんなに大きな差があるわけじゃない。
メリットを考えれば海外に行かせてもいいと思った。」
高校でも海外への進学を支援する動きが出始めている。
大学進学率が新潟県でトップクラスの新潟県立国際情報高校は
生徒の将来にメリットがあるとして
海外大学進学コースを設置することを目指している。
国際情報高校 平田正樹校長
「いま大卒の新入社員の枠が少し減らされている中でも
グローバル人材は別枠で採ろうという動きがずいぶんある。
グローバル人材の育成のひとつの手段として
海外の大学に行きたいという子どもたちを支援するコースを設置したい。」
これまで県外の東京などに行かないと受けられなかったTOEFLの試験を
学校で受験できるようにした。
英語の授業もより実践的にするため3人の外国人教員を配置した。
「大きな目的は生徒が自分のことを英語で話せるようにすること。」
「それが第一歩ですね。」
アメリカの大学に進学する山下さんは出発の日の4月1日を迎えた。
山下さんは大学を卒業した後も日本に帰らず海外で就職することを目指している。
専門家は高校生の選択の背景に日本の大学教育の課題があると指摘する。
リクルートワークス研究所 大久保幸夫所長
「高校を卒業する段階で日本から優秀な人材がどんどん海外に出て行って
日本で働くこともないし
日本のためにビジネスをすることもない。
一番大きな課題をつきつけられているのは大学。
大学はいかにして優秀な人材をひきつけるのか
大学の授業を教育として魅力的で
中身の濃いものにしていくためにどうしたらいいか。
このことにだいがくは取り組まなければならない。」
大学の授業を魅力的なものにするだけでなく
3年生になると就職活動に専念せざるを得ないような状況も含めて
企業のあり方も見直していく必要がありそうである。