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森林汚染

2012-04-29 20:05:07 | 報道/ニュース


  4月15日 サンデーモーニング


  4月14日 枝野産業大臣は
  関西電力大飯原子力発電所の再稼動を必要とする政府の判断を受け
  地元福井県に協力を要請した。
  原発再稼動に向けた動きを進める政府。
  しかし一方で事故を起こした福島第一原発周辺では
  いまだ多くの問題が住民たちを苦しめている。

  その1つが森林の汚染である。
  原発から約20km 
  帰村宣言を行ない住民たちが徐々に戻りつつある福島県川内村では
  住宅地の除染作業が進められている。
  しかし村の大部分を占める森林はいまだほとんど手付かずの状態である。  
  大量の放射性物質によって汚染された森林。
  去年林野庁が実施した調査によれば
  放射性セシウムの蓄積量は川内村の杉林で約138万ベクレル/㎡にも達した。
  こうした森林の放射能汚染は川内村に限らず周辺各地に及んでいる。
  
  福島県内では
  ふきのとう・たけのこから基準値を超える放射性セシウムが
  浪江町のスギ花粉からも約25万ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された。
  森林に降り注いだ操車性物質の状況について
  近畿大学 山崎秀夫教授
  「森林にふった放射性セシウムの大部分は落ち葉にある。
   落ち葉にくっついたまま保持されている。
   森林そのものが“セシウムの貯蔵庫”になっている。」

  溜め込まれた放射性物質は徐々に雨水などで森の外に流れ出し
  周辺地域を汚染する可能性があるという。
  森林から流れ出した放射性物質が田や畑 ひいては海まで汚染する危険性。
  それにもかかわらず森林の除染作業は困難なのである。
  
  今回放射性物質が降り注いだ地域は広範囲にわたり
  森が広がる山間部が多く含まれている。
  しかし現在 こうした森林の除染についてはほとんど作業が行なわれていない。
  
  1986年 チェルノブイリ原発事故のときも
  大量の放射性物質が周辺の森に降り注いだ。
  その10年後の1996年には森林火災が発生し
  燃えた木から大量の放射性物質が舞い上がり
  周辺地域の放射線量が大幅に上昇した。
  しかし汚染された森林の範囲があまりに広く
  除染の経済的コストがあまりにも莫大なため
  ほとんど手付かずのまま放置された状態が続いている。
  そうしたなかチェルノブイリ周辺の野生動物に異変が起きた。
  くちばしの根元が広がったツバメ
  しっぽの付け根付近に出来た大きな腫瘍
  色素の突然変異と思われる白化。
  森に住む野鳥たちに次々と表れた異常現象。
  
  アメリカ サウスカロライナ大学 ティモシー・ムソー教授
  「チェルノブイリの汚染地域のほとんどで
   15%~20%のとりに奇形が見つかった。」

  原因のひとつとして考えられるのは
  汚染された土壌中のミミズや昆虫などから
  食物連鎖によって放射性物質が野鳥の体内に蓄積した可能性である。
  福島県川内村のスギ林のミミズからも
  約2万ベクレル/kgのセシウムが検出されており
  今後 食物連鎖によって放射能汚染が森の動物たちに広がる危険性がある。

  一刻も早い除染が必要とされる森林。
  しかし一方で除染のために土壌を取り去ることは生態系破壊の恐れがある。
  またお産された落ち葉などの除去で森の保水力が失われ
  山崩れ・洪水を引き起こす可能性もある。

  森林を守るために除染は必要だが
  逆にその除染で森林が損なわれるかもしれないというジレンマ。
  解決めどが立たない森林汚染の現状が
  原発事故の被害が如何に大きいかを物語っている。

  


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