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政府が憂い顔で見つめる“お前さま”

2012-04-07 17:35:01 | 編集手帳


  4月6日付 読売新聞編集手帳


  下手な医者に仕える下働きの男が不始末をしでかした。
  怒った医者が殴ろうとすると、
  「どうか蹴って下せえ」、
  男が懇願した。
  「お前さまの手にかかって助かった者はない」。
  江戸の小話にある。

  玄葉外相は不快感を表明し、
  野田首相も微妙な時期であることを挙げて懸念を示している。
  「お前さまの手にかかって…」
  と言いたい心境かも知れない。
  鳩山由紀夫元首相がきょうからイランを訪問し、
  アフマディネジャド大統領と会談するという。

  議員外交を否定はしないが、
  なにしろ、
  これまで外交がらみで名医の手際を見せてくれたことのないお方である。

  普天間移設をめぐり、
  首相の立場で公に語った重たい言葉を、
  あとになって
  「あれは方便でした」
  と弁舌も軽やかに打ち明けた“衝撃の告白”をご記憶の方は多かろう。
  核開発を進めるイランに、
  国際社会は経済制裁の包囲網を狭めている。
  その結束を乱すことになりはしないかと、
  政府が鳩山氏の旅立ちを憂い顔で見つめるのもうなずける。

  くれぐれも変な約束をして
  「トラスト・ミー」(私を信じて)
  などと言わないよう、
  〈お前さま〉に懇願しておく。
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