10月1日 おはよう日本
インターネットの動画サイトなどに投稿される海賊版の映像や音楽は
これまではインターネットに投稿した人だけが処罰の対象だった。
ところが今日から改正著作権法が施行され
海賊版と知りながらダウンロードした人にも刑事罰が適用されるようになる。
レコード会社など被害者が告訴すれば
懲役2年以下
または
罰金200万円以下の罰則が適用される。
海賊版の減少につながると期待する声がある一方で
誰もが摘発の対象になるのではと不安もある。
インターネット上に載せられた海賊版の音楽や映像の数々は
若者を中心にダウンロードが広がり
違法ダウンロードは年間32億件にのぼると推計されている。
「ダウンロードします。
ジャニーズやアイドルを携帯のアプリでダウンロードして聞いています。」
「手軽に聞けたのにお金かかると困ります。」
「法律変わるのは仕方ないが
知らなかったのでびっくりです。」
法改正により何が処罰の対象になるのか。
海賊版の音楽や映像であっても
動画サイトで閲覧しただけでは処罰の対象とはならない。
しかし海賊版と知りながら
音楽や映像をダウンロードした場合は対象となる。
今回の法改正に期待を寄せるのが音楽業界。
音楽事務所の社長である神林一夫さんは
これまで数々のヒット曲を世に送り出してきた。
神林さんが育てた人気グループのひとつDEENは
90年代にブームを巻き起こしCDは次々とミリオンセラーになった。
(音楽事務所 神林一夫社長)
「多いときは1リリースすると5,000万円くらい事務所の収入があったが
ダウンロードしたりして単価がずいぶん安くなっているので
いまはちょっと言えないくらいの数字。」
CDの売り上げがこの10年で半分まで落ち込むなど
音楽ビジネスは急速に厳しさを増している。
期待されていた音楽のネット配信さえも
一昨年から減り始めている。
その大きな原因となっているのが海賊版のダウンロード。
事務所に所属するアーティストの映像も動画サイトに大量に投稿されている。
削除しても次々とアップされるため
違法にダウンロードされるケースもあるとみられている。
(音楽事務所 神林一夫社長)
「僕らには収入が入らないサイトなので
これで完結し著アウト収入がない状況。」
この日 新人のレコーディングが行われていた。
CDを多く購入する40代以上をターゲットにした曲で
来年デビューさせる予定である。
一昨年スカウトして以来レッスンやレコーディングなど
育成に約2,000万円かけてきた。
海賊版のダウンロードが放置されたままでは質の高い音楽が提供できないと
神林さんは危機感を募らせている。
(神林社長)
「お金を出していただいて
ぼくらも対価をいただいて
もっと良い音楽を作っていけば一番いい。
今回の施行によって
違法ダウンロードが少なくなることをすごく期待している。」
一方こうした海賊版の音楽や映像は簡単にダウンロードできるため
誰でもが犯罪者になりかねないと不安の声も上がっている。
「刑罰になって
いくらネットでも捕まると聞くと怖いですね。」
今年7月には法改正によってネットの自由が脅かされると主張する集団が
仮面姿で抗議活動を行うなど波紋も広がっている。
著作権に詳しい弁護士は
今回の法改正に至るまでの議論は不十分で
処罰の対象はあいまいだと指摘している。
(福井健策弁護士)
「音楽や動画をネットで見つけた時に
それが違法にアップされたものかの判断は一般人には非常に難しい。
刑事責任は非常に重いものですから
うっかり行った行為や軽微な行為
こういうことに対して刑事罰が発動されることは
やはりあってはならない。」
音楽や映像を制作する人の権利を守ろう施行された改正著作権法。
今後インターネットの利用が拡大するなか
どのように運用していくのか
さらなる議論が必要である。
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