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エチオピアの魅力 世界に発信

2012-10-21 08:34:31 | 海外ネットワーク


  10月13日 海外ネットワーク


  マラソン王国のエチオピアは数々の名ランナーを輩出してきた。
  干ばつによる飢饉などに苦しんできたが
  政治が安定してきたことで外国からの投資が増え
  都市部を中心に急速には転している。
  経済成長率は8年連続で10%を超え
  首都アディスアベバでは空前の建設ラッシュが続いている。
  
  2年前にバッグの小さな工房がアディスアベバにつくられた。
  工房を作った鮫島弘子さんはエチオピア人の革職人11人と働いている。
  (鮫島弘子さん)
  「エチオピアのものがこんなにいいんだ。
   こんなにいい製品でこんなにいい皮のものがあるんだって
   可能性があるなと思う。」
  鮫島さんが魅力を感じたエチオピアの羊の皮。
  標高3,000mの高地で育つエチオピアの羊の皮は
  薄くて柔らかくしかも丈夫で品質は世界最高水準と言われている。
  工房の設立はタイミングにも恵まれていた。
  従来 羊の皮は多くが加工されることなく国外に輸出されていたが
  政府が4年前に皮産業の育成に乗り出した。
  その結果 バッグの材料になる質の高いなめし皮が
  エチオピア国内で手に入るようになったのである。
  
  鮫島さんがエチオピアを初めて訪れたのは10年前。
  デザイナーをしていた化粧品メーカーを退職し
  工芸品のデザイン講師として青年海外協力隊に参加したときだった。
  出会った人の多くが先進国からの援助に慣れ
  働く意欲を失っていたことに当初失望したと言う。
  しかし一つの出会いをきかっけにその考えは変わった。
  現在共同経営者として鮫島さんを支える革職人 ヒルト・ゼレケさんとの出会い。
  夜通しで作品を仕上げるヒルトさんに心を動かされ
  ここで彼女とものづくりをしていきたいと強く感じたということである。
  「一生懸命作っているのを見て
   1個作ったものがすごく大切にされる。  
   こういう世界観のものづくりをしていきたいし
   世界観を発信できるようなブランドにしたいなって。」
  (革職人 ヒルト・ゼレケさん)
  「弘子と仕事をするのはとても素晴らしいわ。
   彼女のデザインは新しくすてき。
   難しいし時間もかかるけど私たちは大好きなの。」

  エチオピアらしいデザインを打ち出したい。
  そこでモチーフにしたのは名物のフルーツジュースのチマキ。
  3つの層になったジュースをイメージしてバッグの基本となるデザインを考えた。
  新たなデザインへの準備も進めている。
  1700年の伝統があるキリスト教の一派のエチオピア正教の十字架。
  エチオピア正教の十字架は教会や地域ごとに違いデザイン性に富んでいる。
  これを新たな製品のデザインに生かそうと考えている。
  「すごく独特でおもしろい。
   そういうところに色々とインスピレーションをもらっている。」

  鮫島さんは工房を開いた2年前から職人たちを育ててきた。
  しかし求める水準に届かなかったため日本での販売を1年延期。
  今年4月からようやく販売が始まったが
  高い品質を維持することは簡単ではない。
  妥協をせず職人に直接ダメな点を伝える。

  鮫島さんはヒルトさんとアディスアベバの集合住宅で生活している。
  生活費を節約するためである。
  ふたりの目下の課題は生産量を増やすことである。
  それには新しい職人の育成が欠かせない。
  時間がかかっても育成に力を入れていくことにしている。
  「品質を維持しながら量産するのは難しいわ。」
  「少しずつね。
   卵だって産んですぐには歩かないっていうものね。」
  (鮫島さん)
  「みんな本当に援助で食べさせてもらったりしなくても
   自分たちで働くことができる。
   だけど働くチャンスが日本より少なかったりして
   そういう人たちと一緒に仕事をすることが私にできることなのではないか。
   製品を通してエチオピアが持っている美しさや可能性を伝えたいなと思う。」

  高い経済成長率だが地方に行くとインフラの整備も遅れている。
  まだまだ世界最貧国のひとつで国際的な援助に頼っているのが実情である。
  それだけにこうした自立や産業の振興につながる活動は重要である。

  


  
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