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アフガニスタン“奇跡の小麦”物語

2012-10-20 19:54:43 | 海外ネットワーク


  10月13日 NHK海外ネットワーク


  アフガニスタンはかつて農業立国だった。
  小麦は乾燥に強い在来種のおかげで100%近い自給率だった。
  しかし長引く戦乱で小麦畑は荒れ果て
  農家の多くも国外に避難したため生産量は激減した。
  (小麦農家 アサドゥラさん)
  「40年前はあたり一面小麦畑だった。
   生産量も多かった。
   子どもも畑仕事を手伝ってくれていい思い出もたくさんある。」

  アフガニスタン北部で代々小麦を栽培してきたアサドゥラさんは
  戦火を逃れ隣国パキスタンへ避難していたが
  9年前に帰国し小麦づくりを再開した。
  (小麦農家 アサドゥラさん)
  「カルザイ政権が誕生し
   国際社会が農業を支援してくれると聞き期待していた。」
  しかしいざ栽培を始めると思わぬ壁にぶつかった。
  (アサドゥラさん)
  「これがアメリカから提供された種子。
   水があればよく育つがここは水が少ないので育ちが良くない。」
  アフガニスタンは雨が少なく大半の畑でかんがい施設が整備されていない。
  乾燥に弱い品種だったため見込んでいた量のわずか2割しか収穫できなかった。
  子ども7人を抱えるアサドゥラさんは
  このままだと乾燥に強く高値で売れる麻薬の原料のケシの栽培に
  手をださざるを得ないと考えている。
  (アサドゥラさん)
  「小麦を栽培し続けても十分な稼ぎは得られない。
   政府や国際社会の新たな支援がなければケシ栽培をするしか生きる道はない。」

  青々とした小麦が一面に広がる昔のような風景は二度とみることはできないのか。
  ところが思いもよらぬ場所から希望の光が差し込む。
  アフガニスタンから約6千キロ離れた日本の横浜市立大学。
  「ここにあるのがアフガニスタンから1955年に採ってきた小麦の遺伝資源。
   それがすべて穂の形で保存してある。」
  半世紀以上前にアフガニスタンで採取された在来種の小麦が保存されていた。
  この小麦は1955年に
  小麦のルーツを探るためアフガニスタンを訪れた日本の探検隊が採取したもの。
  アフガニスタン全土をくまなく回り
  500種類近い小麦を日本に持ち帰っていたのである。
  保存と研究の責任者である横浜市立大学 坂智弘教授は
  持ち返った小麦なら今のアフガニスタンの環境でもでも適応できるはずだと考え
  現地での栽培に乗り出した。
  (横浜市立大学 坂智弘教授)
  「戦争・内戦ですべてなくしてしまったアフガニスタンに何ができるのだろう。
   研究を現場に戻す。
   役立たせたい。」
  去年11月 アフガニスタン政府と協力して初の種まきを行った。
  蒔いたのは保存されていた小麦から増やした342種類の種子。
  一粒でも多く順調に育った欲しいと祈るような思いで収穫の時を待った。
  それから約8か月後
  青々と大きく育った小麦と一方で病気にかかって変色した小麦もあった。
  それでもほぼすべてが順調に育った。
  現地のスタッフたちは実の大きさや量など生育状況を確認した。
  (現地スタッフ)
  「小麦がまたアフガニスタンに戻ってきた。
   感激している。」
  坂教授も収穫に合わせて現地を訪問。
  予想以上の成果が上がったと報告を受け手ごたえを感じた。
  来年からは
  病気や乾燥に強く実をたくさんつけるものを交配させ
  新たな品種の開発を始める。
  (横浜市立大学 坂智弘教授)
  「干ばつに強く質の高い品種の遺伝子をかけあわせて
   “スーパー小麦”をつくりましょう。」
  (現地スタッフ)
  「ずいぶん時間がかかったが
   半世紀ぶりに在来種の小麦が復活して感激している。
   アフガニスタンと世界のためにこのプロジェクトをなんとか成功させたい。」
  
  乾燥した大地で力強く育った希望の小麦。
  坂教授はアフガニスタンの人たちに品種改良の技術を伝え
  この小麦を全土に広げてほしいと願っている。
  (坂教授)
  「大変なところでも食料・小麦が生産できて人々が食べられる。
   それが目指すところ。
   50年ぶりに小麦栽培の材料を返してそこから1歩進めた。
   それは最初の1歩であり
   これから10年20年の最初のステップなのかなと感じている。」

  アフガニスタンの治安回復の兆しは見られない。
  それが復興の妨げとなっている。
  日本は農業分野を中心に支援を続けてきた。
  小麦以外にも稲作の技術指導も行っていて
  JICAによると試験場でのコメの生産は3倍に増えたということである。
  人材育成にも力を入れており留学生の受け入れも行っている。
  そうした支援が実を結び
  再び緑豊かな国になるかどうか
  治安の回復にかかっている。


  
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美大統領選 討論会 大学生はどう見たか

2012-10-20 08:01:39 | 報道/ニュース


  10月20日 おはよう日本


  アメリカの大統領選は11月6日の投票まであと2週間余。
  今週 行われたロムニー氏とオバマ大統領による2回目のテレビ討論会では
  1回目で精彩を欠いたオバマ大統領が挽回できるかが注目された。
  アメリカ社会では討論で相手を説得する能力が重視される。
  会場となった大学では日頃から授業で討論に親しんでいる大勢の大学生が
  両候補の発言に耳を傾けた。

  16日に討論会が行われたニューヨーク州の大学。
  テレビ局の中継セットなどが設けられキャンパスはお祭りムードに包まれた。  
  (学生)
  「オバマ大統領は間違いなく前回より良かったよ。」
  話を聞いた学生のほとんどが討論会の勝者はオバマ大統領だと答えた。
  学生たちが評価したのは前回とは異なった攻めの姿勢だった。
  オバマ大統領は4年間の実績を強調し自信たっぷりにロムニー候補と向かい合った。
  (オバマ大統領)
  「私は4年間 中間層へ減税すると宣言しそして実行した。」
  またロムニー候補の追及に対しては笑顔でかわす余裕も見せた。
  (共和党 ロムニー候補)
  「あなたは自分の年金額をご存知ですか。」
  (オバマ大統領)
  「調べるまでもない。
   どうせあなたほど多くはもらえないんですから。
   話を移民の問題に戻しましょう。」
  オバマ大統領はこうして議論の主導権を握り学生の気持ちをつかんだ。
  (学生)
  「オバマ大統領の方が質問に的確に答えていたと思う。」
  さらにオバマ大統領はロムニー候補の主張の矛盾を細かく指摘し
  政策の面で自分の方が優れているとアピールした。
  (ロムニー候補)
  「貿易では中国に厳しくのぞむ!」
  (オバマ大統領)
  「ロムニー候補は中国に仕事を発注する会社に投資していたんですよ。」
  (ロムニー候補)
  「アメリカは移民の国。
   移民は大歓迎。
   移民のための法律を整えたい。」
  (オバマ大統領) 
  「ロムニー候補は選挙期間中に移民支援の法律に反対していたんですよ。」 
  (学生)
  「ロムニー候補の矛盾点を暴いたのがオバマ大統領の勝因よ。」
  オバマ大統領が前回の失点を取り返す形となった討論会。
  しかし討論の勝敗が直ちに投票に結び付くわけではない。
  若者の就職難が続く中
  どちらの候補がその状況を改善できるのか見極めようとしている。
  討論会で大学生の参加者が両候補に思いをぶつける場面があった。
  (学生)
  「20歳の学生です。  
   卒業しても就職できる可能性はあまりないと言われます。」
  (ロムニー候補)
  「中小企業を育てたい。
   長いビジネス経験でどうすれば仕事が生まれるか知っている。」
  (オバマ大統領)
  「戦争に費やしてきた金を学校や道路など公共投資に回そう。
   そうすれば君の未来だけでなくアメリカの未来も明るくなる。」
  (学生)
  「オバマ大統領は強かったけど政策は嫌い。
   ロムニー候補に投票するわ。」
  「次の討論を聞いて投票先を決めるわ。」
  どちらの候補に投票するかと聞くとロムニー氏と答えた学生が多くいた。
  自分の将来をゆだねられる指導者はどちらのなのか。
  若者たちは両候補を厳しく見つめている。

  2回目のテレビ討論が終わった後でも大接戦であるという状況に変わりはない。
  世論調査ではオバマ大統領の支持率が2ポイント上昇して48%。
  ロムニー候補が3ポイント下がって47%。
  しかしオバマ大統領が流れを大きく引き寄せたとまでは言えない状況である。
  オバマ大統領にとっての悩みの種は
  4年前に当選の原動力となった若者に盛り上がりが見られないことである。
  若者の間ではオバマ大統領を支持すると答える人の割合がかなり多いが
  実際に投票に行くと答える人は4年前より大きく低下している。
  長引く景気の低迷で卒業後の就職に不安を抱く学生の間では
  オバマ大統領への期待度が明らかに低下している。
  こうした若者の足をどうやって投票所に向けるのかが
  オバマ陣営にとって大きな課題となっている。

  最後の討論会のテーマは“外交”。
  当初は2つの戦争終結に道筋をつけたオバマ大統領が有利とみられていたが
  ここにきてそうとは言えなくなってきている。
  先月 北アフリカのリビアにあるアメリカ総領事館が襲撃され
  大使ら4人が死亡した事件を巡って
  ロムニー候補はオバマ政権による事件への対応は不手際だらけだと
  追及する姿勢をとっている。
  討論会では台頭著しい中国とどう向き合っていくべきか。
  さらに内戦状態のシリアや
  核開発を続けるイランなどの問題も争点となりそうである。
  有権者は議論の中身だけでなく
  世界最強の軍を率いる最高司令官としてどちらの候補がふさわしいか
  その立ち居振る舞いにも注目する。
  
  残り2週間余りに迫ったアメリカ大統領選は
  両者1歩も譲らない接戦が続く中
  最後の討論会が選挙の勝敗を左右する可能性が出てきた。

  
  
  


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