9月26日 おはよう日本
南米原産のアルゼンチンアリは
世界の侵略的外来種ワースト100にもなっている。
愛知県田原市のあるお宅では
ここ数年 アルゼンチンアリの大発生に悩まされている。
畳と柱の間に巣を作っていた。
アルゼンチンアリは体長2~3ミリと小型だが攻撃的な性格で
毒はないものの人にかみつくこともある。
南米原産のアルゼンチンアリが日本で初めて見つかったのは
19年前 広島県で
輸入貨物にまぎれて来たと思える。
その後 生息域を拡大し
最近では大阪、東京、京都など都市でも見つかり歯止めがかからない状態である。
中でもいま大きな問題となっているのが京都市で最も人口の多い伏見区。
風呂場の隙間に巣が見つかったお宅がある。
「風呂掃除してた時に隙間に水滴が入った瞬間に
この辺一帯が真っ黒になるくらいの数がどわーっと出てきた。」
アルゼンチンアリの特徴は土がない場所にも巣をつくることである。
わずかな隙間から室内に侵入し繁殖する。
車の中や台所用品の隙間に巣を作った例もあって
強烈な不快感から普通の暮らしを難しくしてしまう。
さらに厄介なのが駆除が難しいことである。
猫の餌に発生したアリを殺虫剤で駆除したお宅では
1週間後 また大発生しいたちごっこが続いている。
「嫌になります。
これだけ出てくるとどれだけ退治しても
ごみ置いたら出てくる。」
9月22日 伏見区ではアルゼンチンアリの対策を話し合った。
猛威を振るうアルゼンチンアリは
家庭レベルを超えて地域全体を悩ませる存在になっている。
国も対策に乗り出している。
去年から国立環境研究所が駆除の研究・調査を始めている。
(国立環境研 特別研究員 井上真紀さん)
「繁殖力が強いので
いったん数は減っても根絶は難しい。」
アルゼンチンアリは女王アリの数が多く
ひとつの巣に女王アリが数百匹いる場合もあり
1日に産む卵の数は50個以上といわれている。
殺虫剤でアルゼンチンアリの数は大きく減らすことができるが
周辺の女王アリを駆除し損ねると
すごい勢いでまた繁殖してしまう。
アルゼンチンアリを広い範囲で根絶する取り組みが始まっている。
7年前にアルゼンチンアリが見つかった愛知県田原市は
駆除に取り組んできたが生息範囲は広がり続けている。
そこで7月から新たな駆除方法に取り組むことにした。
開発したのは東京大学農学部 寺山守講師。
アリが行列する際に目印とする道しるべフェロモンを
人工合成してコードに染み込ませ「
行列するアリにコードを近づけると混乱しだんだん行列が崩れる。
アルゼンチンアリはコードを超えて遠くへ行くことができなくなる。
これまで田原市では広い範囲で一斉に駆除を行ってきたが
どうしても女王アリをとり逃していた。
今回の方法では狭い撲滅エリアを設定し
フェロモンを染み込ませたコードで囲む。
エリアに閉じ込めたアリを徹底的に駆除し
これを繰り返して
地域からの根絶を目指す。
(東京大学農学部 寺山守講師)
「根絶できる部分から根絶していく。
今までそれができなかった。
それが可能になってきた。」
手始めとして田原市では特にアリが多い地域を
長さ1800メートルのコードで囲んで
殺虫成分を含んだ餌をまいた。
この方法でどのくらいの効果が上がるのか。
結果が出るのは来月上旬である。
これ以上アルゼンチンアリを増やさない・広げないためにも
室内で大量に発生するなど
アルゼンチンアリと思われるアリを見つけたら
すぐに各環境事務所に連絡を。