10月9日 おはよう日本
ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥さんが開発したips細胞は
新たな薬や難病の治療法の開発に結び付く可能性があるとして
研究競争が世界的に激しくなっている。
日本の最前線で進む研究開発はどこまで進んでいるのか。
横浜市のバイオベンチャー企業は
平成21年に初めて
京都大学の特許管理会社とips相棒に関する特許を利用する契約を結んだ。
ips細胞の技術で世界で初めて心臓の細胞の商品化に成功。
製薬会社などに販売している。
会社によると
新しい薬の開発ではこれまでも人の細胞を使って
薬の副作用や効果の検証が行われてきたが
試したい部分の細胞をips細胞から作って使うことで
試験の精度が格段に高くなったということである。
この会社ではips細胞を使って
一昨年には神経細胞
今年5月には肝臓の細胞の製品化に成功。
心臓の細胞と合わせて国内外の製薬会社など延べ40社余で利用されている。
現在は注文に製造が追いつかずキャンセル待ちの状態だということである。
(リプロセル取締役 淺井康行さん)
「患者さんによい薬が
日本の細胞を使って日本の企業から生まれてくるのは
現実的な話だと思う。」
ips細胞から作った細胞そのものを治療に使う研究も進んでいる。
理化学研究所の研究グループは
ips細胞から作った網膜を移植する研究をしている。
(高橋政代医師)
「まったく同じ機能を持っているし
形態も同じ。」
視界がゆがんだり視力が低下したりする目の病気
“加齢黄班変性”の患者を対象にした臨床研究を
早ければ来年にも始める見通しである。
これまで研究が進まなかった難病の治療への成果も期待されている。
兵庫県明石市の中学3年生山本育海さん(15)は
200万人に1人という難病“進行性骨化性繊維異形成症”
遺伝子の異常で筋肉が次第に骨に変わっていく進行性の病気である。
治療薬の研究のため筋肉の細胞を取り出そうとすると
刺激で病気が進行する可能性があった。
そこで山本さんは山中さんに病気に影響が少ない皮膚の細胞を提供。
研究チームでは
山本さんから提供された細胞をips細胞に変化させて
病気の細胞を再現し
骨に変わってしまう細胞を作り
病気の進行を抑える物質を探す研究を進めている。
今後に期待が高まるips細胞研究。
会見で山中さんは次のように述べた。
「どんどん進行していく病気
時間との戦いということも強く感じる研究であります。
そのことを十分に私たちも理解して
私たちにとっての1日1か月と
難病で苦しんでおられる患者さんや
患者さんの家族の方にとっての1日1か月の意味の違いというものを
心して研究をしているので
ではあした薬が作れるのかといわれると
残念ながら私たちに力がまだ無いのですが
それに向けて本当にいろいろ工夫して
多くの研究者が毎日 日々挑戦をしているので
希望を持っていただきたい。
過去の業績に対する受賞をいうよりは
これからの発展に対する期待という意味も大きいと信じているので
それに報いるようにこれからも現役の研究者として
研究開発に取り組んでいきたいと思っています。」