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世界のいじめ対策は

2012-10-06 07:14:17 | 海外ネットワーク


  9月29日 NHK海外ネットワーク


  いま世界各地で子どものいじめが深刻な問題になっている。
  アメリカではほとんどの州で“いじめ対策法”が制定され
  学校や教育委員会がいじめの撲滅に乗り出している。
  韓国でも子どもたちの声を救い上げようと先生が奮闘している。
  韓国でのいじめの実態をつづった本は
  去年12月に自殺した中学生が残した言葉を母親がまとめたものである。
  (人生でいちばん長かった日)
  ぼくをひざまずかせた。
  椅子に手を縛りむちゃくちゃに殴った。
  右足に火をつけようとした。

  実態を明らかにしたこの本は韓国で大きな反響を呼んだ。
  韓国では去年末から今年初めにかけて
  同じ町でいじめをきっかけに5人の中学生が相次いで自殺をした。  
  こうした子どもたちがいじめを受けているケースは世界各地で報告されている。

  アメリカ ニュージャージー州の中学生ジョナサン・セルツァーくん(12)は
  小学生の時からいじめをうけてきた。
  (ジョナサン・セルツァーくん)
  「よく『女の子』をよばれた。
   声がとても高かったから。
   それがいじめの始まりだった。」
  学年が上がるにつれいじめはひどくなった。
  インターネット上の交流サイトで
  “けがをさせる”と脅されることもあった。
  「よくストレスを感じた。
   おなかが痛くなったり髪を抜いたり爪をかんだり。
   助けが欲しかった。」
  何とかしていじめを止めようとしたジョナサンくんの両親が頼ったのは
  ニュージャージー州のいじめ対策法だった。
  ニュージャージー州では各学校にいじめ対策の担当者を置き
  ホームページに担当者の名前や連絡先を載せ
  誰でも通報できるようにしている。
  情報が寄せられたら担当者はただちに調査を開始し
  いじめの加害者とされる生徒や被害者などから聞き取り調査を行う。
  調査を始めてから10日以内にいじめがあったかどうか判断しなければならない。
  加害者の生徒はいじめの内容に応じて処分を受けることになっていて
  重い場合では停学や退学になることもある。
  いじめ対策法について詳しく調べたジョナサンくんの両親は
  10日以内に調査を終えることなどが定められていると知り
  いじめ対策の担当者を含め学校側と話し合い
  州の法律に基づいた調査を促した。
  (ジョナサンくんの両親)
  「インターネットからいじめ対策法を刷りだして
   学校が守っていないと感じたところに印をつけ学校に行った。」
  学校側は5件のいじめを認定。
  4件は執拗な悪口、
  1件はインターネット上での脅迫だった。
  “けがをさせる”とインターネット上で脅した生徒は5日間の停学。
  加害者は全員処分された。
  さらにいじめを2度としないようにカウンセリングも行われた。
  4か月後いじめはなくなりジョナサンくんに笑顔が戻った。
  「今は学校に行くのも怖くない。
   誰のこともいじめるべきじゃないんだ。」
  (ジョナサンくんの父親 バッチさん)
  「いじめ対策法の後ろ盾がなかったら
   いじめを減らせたか分からない。
   だからこの法律は素晴らしい役割を果たしていると思う。」

  韓国は今年に入って
  政府が教育現場に対していじめ対策の更なる強化を求めている。
  その中で期待されているのが
  先生が生徒から直接いじめの情報をすくい上げる取り組みである。
  中部チョナン市のプソン中学校の校内に
  携帯電話でいじめの相談や報告を呼びかる紙が貼られている。
  メールが届く相手はチョ・ヨンジョン校長。
  韓国では1人に1台以上の割合で携帯電話が普及している。
  チョ校長は生徒台が使い慣れた携帯電話を使うことで
  いじめの兆候を早くつかめるのではないかと今年2月から始めた。
  (プソン中学校 チョ・ヨンジョン校長)
  「生徒たちが相談できる窓口がない気がしたので
   何時でもメールや電話などで
   いじめに関連した相談と報告ができるようにした。」
  実際にいじめを報告した生徒は
  “匿名性が高い”と感じられたことから安心してメールを送れたと言う。
  (いじめを報告した生徒)
  「担任の先生に話すと自分が報告したとばれることがある。
   メールなら自分が報告したと気づかれないし
   校長先生に直接届くから自分の身を守れる。」
  チョ校長は24時間いつでも生徒たちからのメールに対応できるよう
  常に携帯電話を手放さない。
  (チョ校長の妻 キム・ジョンスクさん)
  「座っていても立っていても私と話しているときでも
   メールの着信音が鳴ると緊張した顔で携帯電話を見ている。」
  先月 思いつめた生徒から相談が来た。
  キモい
  そんなんだから友だちいないんだよ
  蹴っ飛ばしてやりたい

  ある女子生徒が転送してきたこのメールは
  小学校時代からの親友3人に突然いじめられるようになったと訴えてきた。
  (チョ・ヨンジョン校長)
  「内容が深刻だった。
   自殺もありうる危機的な状況だった。」
  事態を重く見てすぐに返信し事情を詳しく聞いた。
  昔のことを持ち出されて悪く言われる
  胸が苦しい・・

  女子生徒にいじめをなくすと約束したチョ校長は
  加害者たちと女子生徒のクラブ活動を別々にし
  互いに接触できないようにした。
  さらに加害者たちを個別に呼び
  “いじめを友だちを傷つける
   あってはならない”と諭した。
  取り組みを始めてから8か月で10件を超える報告や相談が寄せられたという。
  (チョ・ヨンジョン校長)
  「122件の相談のうち121軒が深刻ではなくても
   最後の1件が生きるか死ぬかの瀬戸際で考えているものなら
   相談の機会を与えられていることは生徒にとってとても重要だ。」

  韓国では内申書にいじめの事実の記載を支持している。
  カナダではいじめの情報をNPOに集め学校に通報するシステムができている。
  フランスでは問題の起きている中学・高校500校に
  いじめ防止のアシスタントを配置する。

  
    
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