11月19日 ワールドWaveモーニング
各国の利害がときに激しく対立する国連にあって最近ではシリア問題をめぐり化学兵器の廃棄を迫るなど
一国の命運をも左右する重大な決定を行ってきたのが安全保障理事会である。
安保理はアメリカ、中国、ロシア、イギリス、フランスの「P5」と呼ばれる5つの常任理事国と
任期2年で地域ごとに選出される10の非常任理事国で構成されている。
決議などの採択にはこうした15か国のうち9か国以上の賛成が必要だが
P5に限ってはいわゆる拒否権という絶大な権限もある。
こうした大国主導の安保理を改革しようという議論は今から20年前に始まった。
日本やドイツなどが常任理事国入りを目指してきたが各国の思惑が複雑に絡み合い大きな進展を見ないままだった。
その安保理で再び改革の機運を高めようとの兆しが出てきた。
今年9月 長い議論の末にシリアに対して化学兵器の廃棄を迫る決議を採択した安全保障理事会。
(パン・ギムン事務総長)
「シリアに希望が持てるニュースがやっと届いた。」
決議の採択に至るまでの経緯は
安保理での決定がすべて常任理事国の思惑に左右される実情を改めて浮き彫りにするものだった。
シリア情勢をめぐっては2年以上にわたって
常任理事国の欧米各国とロシア、中国とが真っ向から対立。
泥沼の内戦が放置されてきた。
ところが化学兵器が使われると危機感を抱いた常任理事国は一転して密室の協議を繰り返すようになり
事態が打開されたのである。
1国の命運が5大国の協議だけで決まってしまう現実。
他の加盟国の不満が思わぬ形で表面化した。
10月 来年の非常任理事国を改選する選挙が行われ
アラブの盟主を自認するサウジアラビアが初めて当選。
ところが翌日になってサウジアラビア外務省が
“現状の安保理は世界平和に貢献していない”としてその地位を辞退した。
選挙に当選した後あえてその座を投げ出すことで安保理を痛烈に批判する狙いがあったとされている。
(サウジアラビア モアリミ国連大使)
「我々の立場は外務省が発表したとおりだ。
安保理には戻らない。」
安保理の在り方への批判が高まるなか
今年9月 国連総会の新しい議長にカリブ海の小国アンティグア・バーブーダのジョン・アッシュ氏が就任。
大国主導の安保理を見直すために諮問委員会を設置した。
(国連 アッシュ総会議長)
「先人たちが取り組んできた改革を少しでも前進させたい。」
日本からも安保理改革に意欲的な国連大使が着任。
20年前 外務省の国連政策課長として日本の常任理事国入りを目指した吉川元偉大使である。
(吉川元偉大使)
「世界の現実と安保理の言っている現実、紙の上での現実があまりにも違う。
私の役人人生におけるライフワークのようなもの。」
11月7日 国連総会で安保理改革をめぐる協議が始まった。
90か国の代表が次々に演説。
日本の吉川大使も多くの加盟国が安保理の拡大を希望していると改めて訴えた。
(吉川元偉国連大使)
「常任理事国、非常任理事国ともに数の拡大が望まれている。」
しかし常任理事国は規制の枠組みを守ろうと改革に売り背きな発言を繰り返す。
(ロシア チュルキン国連大使)
「安保理を拡大すると議論のプロセスが逆に複雑になる。」
(中国 劉国連大使)
「改革の議論は道半ばで具体的な協議は意味がない。」
さらにその他の国からも日本など一部の国だけが恩恵を被ることは認められないという発言が相次いだ。
(パキスタン カーン国連大使)
「改革は一部ではなく全加盟国のためであるべきだ。」
堂々巡りを続けてきた改革の議論は前進するのかどうか。
20年の歳月を経て各国の熾烈な駆け引きが再び始まっている。
各国の利害がときに激しく対立する国連にあって最近ではシリア問題をめぐり化学兵器の廃棄を迫るなど
一国の命運をも左右する重大な決定を行ってきたのが安全保障理事会である。
安保理はアメリカ、中国、ロシア、イギリス、フランスの「P5」と呼ばれる5つの常任理事国と
任期2年で地域ごとに選出される10の非常任理事国で構成されている。
決議などの採択にはこうした15か国のうち9か国以上の賛成が必要だが
P5に限ってはいわゆる拒否権という絶大な権限もある。
こうした大国主導の安保理を改革しようという議論は今から20年前に始まった。
日本やドイツなどが常任理事国入りを目指してきたが各国の思惑が複雑に絡み合い大きな進展を見ないままだった。
その安保理で再び改革の機運を高めようとの兆しが出てきた。
今年9月 長い議論の末にシリアに対して化学兵器の廃棄を迫る決議を採択した安全保障理事会。
(パン・ギムン事務総長)
「シリアに希望が持てるニュースがやっと届いた。」
決議の採択に至るまでの経緯は
安保理での決定がすべて常任理事国の思惑に左右される実情を改めて浮き彫りにするものだった。
シリア情勢をめぐっては2年以上にわたって
常任理事国の欧米各国とロシア、中国とが真っ向から対立。
泥沼の内戦が放置されてきた。
ところが化学兵器が使われると危機感を抱いた常任理事国は一転して密室の協議を繰り返すようになり
事態が打開されたのである。
1国の命運が5大国の協議だけで決まってしまう現実。
他の加盟国の不満が思わぬ形で表面化した。
10月 来年の非常任理事国を改選する選挙が行われ
アラブの盟主を自認するサウジアラビアが初めて当選。
ところが翌日になってサウジアラビア外務省が
“現状の安保理は世界平和に貢献していない”としてその地位を辞退した。
選挙に当選した後あえてその座を投げ出すことで安保理を痛烈に批判する狙いがあったとされている。
(サウジアラビア モアリミ国連大使)
「我々の立場は外務省が発表したとおりだ。
安保理には戻らない。」
安保理の在り方への批判が高まるなか
今年9月 国連総会の新しい議長にカリブ海の小国アンティグア・バーブーダのジョン・アッシュ氏が就任。
大国主導の安保理を見直すために諮問委員会を設置した。
(国連 アッシュ総会議長)
「先人たちが取り組んできた改革を少しでも前進させたい。」
日本からも安保理改革に意欲的な国連大使が着任。
20年前 外務省の国連政策課長として日本の常任理事国入りを目指した吉川元偉大使である。
(吉川元偉大使)
「世界の現実と安保理の言っている現実、紙の上での現実があまりにも違う。
私の役人人生におけるライフワークのようなもの。」
11月7日 国連総会で安保理改革をめぐる協議が始まった。
90か国の代表が次々に演説。
日本の吉川大使も多くの加盟国が安保理の拡大を希望していると改めて訴えた。
(吉川元偉国連大使)
「常任理事国、非常任理事国ともに数の拡大が望まれている。」
しかし常任理事国は規制の枠組みを守ろうと改革に売り背きな発言を繰り返す。
(ロシア チュルキン国連大使)
「安保理を拡大すると議論のプロセスが逆に複雑になる。」
(中国 劉国連大使)
「改革の議論は道半ばで具体的な協議は意味がない。」
さらにその他の国からも日本など一部の国だけが恩恵を被ることは認められないという発言が相次いだ。
(パキスタン カーン国連大使)
「改革は一部ではなく全加盟国のためであるべきだ。」
堂々巡りを続けてきた改革の議論は前進するのかどうか。
20年の歳月を経て各国の熾烈な駆け引きが再び始まっている。