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ドイツ前首相が語る 労働市場改革のカギ

2013-12-16 08:00:00 | ビズ プラス
12月8日 BIZ+SUNDAY


アベノミクスの成長戦略の核となる労働市場改革は
行き過ぎた雇用の維持を改めスムーズな労働異動を支援する政策への転換を掲げている。
しかし議論は一進一退を続けている。
その改革を10年前に断行した国がある。
ドイツ。
(ドイツ メルケル首相)
「ドイツを信用不安が起こる前よりも強くした。
 我々は東西統一後 最高の政権といっても過言ではない。」
好調な輸出、低い失業率、堅実な経済成長。
ヨーロッパ信用不安の後 低迷が続くヨーロッパ各国にあって一人勝ちとも言われている。
かつて経済の低迷と大量の失業者に悩み「欧州の病人」とまで呼ばれたドイツ。
そのドイツを労働市場改革で変えたといわれるのがゲアハルト・シュレーダー前首相である。

Q.労働市場改革に踏み切ったのはなぜか?
(ドイツ シュレーダー前首相)
「目標ははっきりしていた。
 失業率がとても高かった。
 当時のドイツは10%を超えていた。
 失業率を下げるには労働市場の柔軟性を高めることがどうしても必要だった。」

1998年 労働組合を支持基盤に首相となったシュレーダー氏。
しかし高い失業率が改善せず
2003年 労働界の反発を覚悟の上で改革を打ち出した。
・厳しい解雇規制を緩和
 一度雇用したら解雇は難しいという仕組みを変えた。
・失業者への手厚い補償の見直し
 失業手当の受給期間を大幅に短縮してより積極的に仕事を探すよう促した。
・雇用局に成果主義を導入
 職業紹介を活性化させた。

(ドイツ シュレーダー前首相)
「我々は失業した人たちにこう言ったのです。
 『私たちはあなたたちを助け支援する。
  しかしあなたたちも新たな仕事を見つけるために努力してほしい。
  そうでなければ支援を受けられない。』
 それが改革の核だった。
 われわれはそれを“支援と要請”と呼んでいた。
 必要な場合は支援をするが自分でできることは自らするように人々に求めた。」

シュレーダー氏が推し進めた大胆な政策の転換。
しかしまず現われたのが改革による痛みだった。
失業を減らすべく改革を行ったにもかかわらず2005年には失業率が11,5%に上昇したのである。
失業率の上昇と景気の低迷で税収は減少。
増税を余儀なくされ大規模な抗議デモが相次いだ。
こんな歌も大ヒット。
税金の歌
犬税 タバコ税 自動車税 環境税
こんなもんじゃ終わらない
消費税 ビール税 全部上げたがそんなもんじゃ足りないんだ
さあ増税だ!
選挙で選ばれたオレは止められないぜ
民主主義バンザイ!!!

しかしシュレーダー氏は改革の手を緩めなかった。

Q.激しい反対にあったにもかかわらず改革を継続しようと思ったのはなぜか?
(ドイツ シュレーダー前首相)
「私自身が改革の必要性をだれよりも強く感じていたからだ。
 改革の必要性を感じ労働市場をより良いものにしたかったからこそ改革を継続したのだ。
 国民すべてを満足させることはできない。
 どんなに反対されても正しいことをする。
 それが政治の責務だ。」

2005年 シュレーダー氏は退陣に追い込まれた。
失業率は10%を超えたままだった。
しかしその後 人々は積極的に仕事を探すようになり
解雇規制の緩和を受けて企業の先の心配をせずかえって人を採用するようになった。
メルケル首相の時代になって失業率は5%台にまで下がった。
東西ドイツの統一後 最も低い水準である。
メルケル首相は今のドイツ経済があるのはシュレーダー氏の改革のおかげだと発言している。
ドイツ経済新聞 ハンデルスブラットより
私はシュレーダー前首相に対して彼が断固たる姿勢で改革を行った>ことに感謝の意を表したい


Q.政治生命をかけた価値はあったか?
(ドイツ シュレーダー前首相)
「もちろんだ。
 改革をしようとする政治家には常に問題がつきまとう。
 改革はすぐに着手しなければならないが成果が表れるのは3~5年先だ。
 収穫を得るのはリスクを冒して種まきをした人でも地道な基礎づくりをした人でもない。
 別の人なのだ。」
Q.雇用を生み出すために重要なことは何か?
「重要なのは産業の育成。
 特に中小企業に成長を促していくことだ。
 彼らは大企業よりも革新的で新しい製品をより速く製造する能力があるからだ。
 ドイツのグローバル企業といえば自動車や電機関連の大企業が有名だが経済の真のけん引役ではない。
 それは中小企業だ。」
Q.労働市場改革に取り組む安倍首相にとって何が重要か?
「大切なのはどんな改革が必要なのか見極めること。
 そして批判されたとしても最後までやる抜くことだ。
 たとえ選挙で敗北する可能性があっても国のためになると思ったらリスクを冒さなければならない。
 重要なのは個人や政党の利益ではなく国家の利益だ。」




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