12月10日 ワールドWaveモーニング
イギリス キャメロン首相は120人ものイギリス企業の経営者らを伴って中国を3年ぶりに訪問。
李克強首相との会談では中国側からイギリスのインフラへの大型投資を取りつけた。
経済においては一定の成果を出した形だが関係者を「おや?」と思わせたのは
これまで中国との対談では必ずと言っていいほど人権問題ををテーマの一つとして取り上げてきたキャメロン首相が
今回はそうした人権問題に触れようとはせず
イギリスのメディアからはイギリス人にとって恥ずかしいといった酷評や批判も浴びている。
ロンドン郊外に完成したヨーロッパでも最大の港 ゲートウェイ。
イギリスで25年ぶりに新設されたこの港に11月に初めて大型船が寄稿した。
広大な敷地には大手流通会社などが倉庫を建設する予定である。
ロンドン中心部まで40キロという立地の良さが最大の特徴で物流が劇的に変わると期待されている。
(商船三井 専務 池田潤一郎さん)
「最大消費地であるロンドンに近い。
近くに物流の倉庫が建設されるからお客さんにとっても使い勝手がいい。」
2500億円の建設資金を出したのはドバイの企業の系列会社。
つまりオイルマネーである。
(ロンドン ゲートウェイCEO サイモン・ムーアさん)
「我々は税金を使わずに新しい雇用を提供できる。
これはイギリス経済にとって良いことだ。」
海外からの投資はロンドンの象徴ともいえる企業や建物にも及んでいる。
1800年代から続くイギリスを代表する老舗デパート ハロッズ。
多くの観光客が訪れロンドンのランドマークともいえるこの場所はいま中東カタールの投資ファンドが所有している。
ロンドンの観光名物のひとつである黒いタクシー 通商ブラック・キャブは中国企業の傘下に入っている。
イギリスは1980年代のサッチャー改革以降市場改革を進めてきた。
しかし金融危機に続きユーロ圏の信用不安の影響でイギリスの財政はヨーロッパでも最悪のレベルにまで悪化。
GDPに占める財政赤字の割合は信用不安に苦しむイタリアよりも悪い状況で
これまで以上に海外から投資を呼び込む必要に迫られているのである。
(10月29日 世界イスラム経済フォーラム 英キャメロン首相)
「ロンドンは世界金融の中心であり開放的・革新的との評判をあげてきた。」
イギリスのキャメロン首相が演説したこの会議は
今年10月にロンドンで開かれたイスラム諸国の経済について話し合う国際会議である。
“イスラム圏のダボス会議”とも言われ各国の首脳や企業関係者が集まったこの場で
キャメロン首相はイギリスへの投資を呼びかけた。
さらにキャメロン首相は今月 中国を訪問。
李克強首相と会談し中国企業がイギリスのインフラ投資を進めることで合意するなど
いわばトップセールスを積極的に行っている。
(12月2日 キャメロン首相)
「中国の発展は世界の国々に機会を提供する。
我々は協力することで国際競争に勝つことができると信じている。」
インフラ投資は新興国だけではない。
日本企業も投資を加速している。
日立製作所は老朽化したイギリスの高速鉄道の車両を更新する事業で車両の製造や保守点検などを受注。
かつてない大型受注に対応するため日立はイングランド北東部に工場を建設することになり
11月 工場の着工式を行った。
ここにもイギリス政府から2人の閣僚が出席。
政府が先頭に立って投資を呼び込んでいることを印象づけた。
(イギリス マクロフリン運輸相)
「今回の工場建設は直接雇用だけではなく取引先での雇用も生み出すだろう。」
ヨーロッパでも最悪の状況にある経済を改善させるため
イギリス政府はとりわけ巨額の投資が必要になるインフラについて海外の資金の呼び込みを積極化している。
そのためには“使えるものは何でも使う”。
2012年のロンドンオリンピックでは
閣僚などがロンドンを訪れた各国の首脳や企業の関係者に対し投資の売り込みに励んだという。
その成果としてロンドンで「シティ」「カナリーワーフ」に次ぐ第3の金融街の建設資金を中国企業が拠出することになった。
インフラは国民の生活の基盤となるものでそれを海外の投資に委ねるのはリスクもある。
海外企業の場合は利益が出なければすぐに撤退してしまう可能性もある。
また外資頼みということは投資判断は自国の経済情勢ではなく他国の経済情勢に左右されることになる。
特に新興国の経済は先進国と比べて高い成長が期待できる一方で経済が失速するリスクも高いと言える。
その点で安定が最も求められるインフラ事業に新興国の資金を投入することについてはより慎重であるべきだという意見もある。
日立製作所は鉄道事業だけではなく原子力発電所の建設も手掛ける計画である。
この分野には中国企業の参画する予定で日中で原発建設をめぐり競争が激しくなっている。
また次世代エネルギーとして日本でも実証実験が始まる洋上風力発電について
三菱商事はイギリスの世界最大の発電事業を700億円で買収した。
20年間にわたって運営、送電も手掛ける予定である。
一方 巨額の財政赤字を抱える日本政府にとってもイギリス政府の取り組みは課題はあるものの参考になる点もあり
イギリス政府の投資呼び込み戦略は成功するのか。
今後の動向に注目が集まる。
イギリス キャメロン首相は120人ものイギリス企業の経営者らを伴って中国を3年ぶりに訪問。
李克強首相との会談では中国側からイギリスのインフラへの大型投資を取りつけた。
経済においては一定の成果を出した形だが関係者を「おや?」と思わせたのは
これまで中国との対談では必ずと言っていいほど人権問題ををテーマの一つとして取り上げてきたキャメロン首相が
今回はそうした人権問題に触れようとはせず
イギリスのメディアからはイギリス人にとって恥ずかしいといった酷評や批判も浴びている。
ロンドン郊外に完成したヨーロッパでも最大の港 ゲートウェイ。
イギリスで25年ぶりに新設されたこの港に11月に初めて大型船が寄稿した。
広大な敷地には大手流通会社などが倉庫を建設する予定である。
ロンドン中心部まで40キロという立地の良さが最大の特徴で物流が劇的に変わると期待されている。
(商船三井 専務 池田潤一郎さん)
「最大消費地であるロンドンに近い。
近くに物流の倉庫が建設されるからお客さんにとっても使い勝手がいい。」
2500億円の建設資金を出したのはドバイの企業の系列会社。
つまりオイルマネーである。
(ロンドン ゲートウェイCEO サイモン・ムーアさん)
「我々は税金を使わずに新しい雇用を提供できる。
これはイギリス経済にとって良いことだ。」
海外からの投資はロンドンの象徴ともいえる企業や建物にも及んでいる。
1800年代から続くイギリスを代表する老舗デパート ハロッズ。
多くの観光客が訪れロンドンのランドマークともいえるこの場所はいま中東カタールの投資ファンドが所有している。
ロンドンの観光名物のひとつである黒いタクシー 通商ブラック・キャブは中国企業の傘下に入っている。
イギリスは1980年代のサッチャー改革以降市場改革を進めてきた。
しかし金融危機に続きユーロ圏の信用不安の影響でイギリスの財政はヨーロッパでも最悪のレベルにまで悪化。
GDPに占める財政赤字の割合は信用不安に苦しむイタリアよりも悪い状況で
これまで以上に海外から投資を呼び込む必要に迫られているのである。
(10月29日 世界イスラム経済フォーラム 英キャメロン首相)
「ロンドンは世界金融の中心であり開放的・革新的との評判をあげてきた。」
イギリスのキャメロン首相が演説したこの会議は
今年10月にロンドンで開かれたイスラム諸国の経済について話し合う国際会議である。
“イスラム圏のダボス会議”とも言われ各国の首脳や企業関係者が集まったこの場で
キャメロン首相はイギリスへの投資を呼びかけた。
さらにキャメロン首相は今月 中国を訪問。
李克強首相と会談し中国企業がイギリスのインフラ投資を進めることで合意するなど
いわばトップセールスを積極的に行っている。
(12月2日 キャメロン首相)
「中国の発展は世界の国々に機会を提供する。
我々は協力することで国際競争に勝つことができると信じている。」
インフラ投資は新興国だけではない。
日本企業も投資を加速している。
日立製作所は老朽化したイギリスの高速鉄道の車両を更新する事業で車両の製造や保守点検などを受注。
かつてない大型受注に対応するため日立はイングランド北東部に工場を建設することになり
11月 工場の着工式を行った。
ここにもイギリス政府から2人の閣僚が出席。
政府が先頭に立って投資を呼び込んでいることを印象づけた。
(イギリス マクロフリン運輸相)
「今回の工場建設は直接雇用だけではなく取引先での雇用も生み出すだろう。」
ヨーロッパでも最悪の状況にある経済を改善させるため
イギリス政府はとりわけ巨額の投資が必要になるインフラについて海外の資金の呼び込みを積極化している。
そのためには“使えるものは何でも使う”。
2012年のロンドンオリンピックでは
閣僚などがロンドンを訪れた各国の首脳や企業の関係者に対し投資の売り込みに励んだという。
その成果としてロンドンで「シティ」「カナリーワーフ」に次ぐ第3の金融街の建設資金を中国企業が拠出することになった。
インフラは国民の生活の基盤となるものでそれを海外の投資に委ねるのはリスクもある。
海外企業の場合は利益が出なければすぐに撤退してしまう可能性もある。
また外資頼みということは投資判断は自国の経済情勢ではなく他国の経済情勢に左右されることになる。
特に新興国の経済は先進国と比べて高い成長が期待できる一方で経済が失速するリスクも高いと言える。
その点で安定が最も求められるインフラ事業に新興国の資金を投入することについてはより慎重であるべきだという意見もある。
日立製作所は鉄道事業だけではなく原子力発電所の建設も手掛ける計画である。
この分野には中国企業の参画する予定で日中で原発建設をめぐり競争が激しくなっている。
また次世代エネルギーとして日本でも実証実験が始まる洋上風力発電について
三菱商事はイギリスの世界最大の発電事業を700億円で買収した。
20年間にわたって運営、送電も手掛ける予定である。
一方 巨額の財政赤字を抱える日本政府にとってもイギリス政府の取り組みは課題はあるものの参考になる点もあり
イギリス政府の投資呼び込み戦略は成功するのか。
今後の動向に注目が集まる。