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変わる商社 伊藤忠商事 ①農産物をアジアに 商社のブランド戦略

2013-12-10 08:00:00 | ビズ プラス
12月1日 BIZ+SUNDAY


創業150年 総合商社の伊藤忠商事。
今年4月 約1,500億円でアメリカの大手食品会社ドールの事業を買収。
国産の農産物をドールブランドとして輸出する計画である。
決断したのは岡藤正弘社長。
3年前社長に就任後 攻めの経営を貫き会社を業界3位へと引き上げた。
いま目指すのは非資源部門で業界トップ。
資源ビジネスに依存してきた総合商社の構造を抜本的に変えようとしている。
さらに今年10月異例の決断をした。
夜8時以降の残業を原則禁止したのである。
猛烈商社の常識を覆す働き方の改革である。
伊藤忠商事の最終損益は岡藤社長の就任後 利益は1000億以上に増えた。
その要因はこれまで収益を支えてきた資源部門から経営の重心を非資源部門へ移したことである。
最近の商社は原油や液化天然ガスなど資源ビジネスで儲けてきた。
それを岡藤社長は食料や衣類といった非資源部門でも稼ぎを増やそうとしている。
(伊藤忠商事 岡藤社長)
「資源ブームがいつまでも続くわけではない。
 それが終わった時にわれわれの得意分野である生活消費関連で勝負したい。
 そういう布石を打った。」

岡藤社長が収益の柱として非資源部門の核に据えようとしているのが
買収したアメリカの食品大手ドールの事業を通じた農産物の輸出ビジネスである。
伊藤忠商事が傘下に収めたドールの事業。
世界70か国以上で果物や加工食品を販売し売り上げは2000億円を超える。
ドールは果物や野菜の取り扱いで世界有数の知名度を誇る。
(ドール・インターナショナル・HD 吉野芳夫会長)
「高品質のバナナを日本の皆さんに提供することをドールがやっている。」 
買収の狙いはそのブランド力。
ドールのバナナは日本の一般のバナナに比べ2倍の価格で売られている。
手に入れたブランド力を生かし品質の良い日本の農産物をアジアへ輸出しようというのである。
(ドール・インターナショナル・HD デビッド・デロレンゾ社長)
「日本の果物や野菜の品質は世界で最高だと思う。
 我々はドールのブランドを使い日本の農産物の輸出を拡大したい。」
ターゲットの一つが台湾。
約2300万人が暮らしている。
人口の多い中間層に日本の農産物を販売していこうと考えている。
入社6年目 農産課の鈴木俊介さんは青森のリンゴを輸出する事業を担当している。
市場に所狭しと並んでいるのは韓国産やチリ産のリンゴ。
値段は日本の3分の1。
(農産課 鈴木俊介さん)
「日本の方が味は濃い印象がある。
 でも韓国産も十分おいしい。
 激戦区ですね。」
値段の安い韓国産などにどう対抗するのか。
鈴木さんは現地の事務所にヒアリングした。
わかったのはいま台湾でも食品の偽装が相次ぎ消費者の間で食の安全・安心に関心が高まっているということだった。
鈴木さんは台湾では信頼性が勝敗を分けると考えた。
伊藤忠商事がリンゴを仕入れている青森の農園。
鈴木さんは台湾に持ち込むリンゴの品定めをしていた。
大きさや色など基準を満たしているか確かめる。
生産から販売まで厳密に管理している点を売りにしようと考えた。
鈴木さんたちが販売網として期待しているのがグループ企業のファミリーマート。
台湾で3000店近くをすでに展開している。
鈴木さんはドールブランドのリンゴの魅力をアピールしている。
(農産課 鈴木俊介さん)
「グループとして全員の目の届くところ管理できるところで商品が動く。
 品質・安全性がしっかり管理できる私たちのグループの強みと考えている。」
しかし台湾の担当者はコンビニに高価なリンゴを置くことは難しいと伝えた。
(台湾ファミリーマート担当者)
「台湾の消費者は青森産のリンゴをよく知っている。
 しかし価格が変動しやすく消費者が理解しにくい。」
結局店頭での販売は見送りまずは贈答用としてカタログでの販売を検討していくことになった。
(農産課 鈴木俊介さん)
「まずはギフトで置いてもらえれば大成功。
 ギフトが継続して出るようになればお客様たついたということなので実際に店舗に並べる。
 次のステップに行ける。」
ライバルの農産物がひしめくアジア市場でどう巻き返すのか。
伊藤忠商事のブランド戦略の真価が問われる。

(伊藤忠商事 岡藤社長)
「ブランドというのは商社にとって大事な役割がある。
 イニシアチブが取れる。
 抜かれないためにはどうするかというのを考えた時にブランドというのが強い。」
「食の安全・安心は世界の人が一番関心を持っている。
 日本の商品は非常に品質が良い。
 世界の人が日本の農産物を欲しがっている。
 あとは営業力 販売力。
 それを商社が果たしたい。」






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