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月には似合わない強引強欲の仙女

2013-12-29 08:00:01 | 編集手帳
12月23日 編集手帳

中国の無人月探査機「嫦娥(じょうが)3号」が月面着陸に成功した。
その名は、
不老不死の薬を飲み、
月に舞い上がった伝説の仙女に由来しているという。
中国は、
十数年後には、
生身の人間を月に立たせる計画だ。

月面着陸は、
旧ソ連が行った1976年以来。
この年、
中国は現代史の転換点を迎えた。
周恩来や毛沢東が死去し、
文化大革命が終わった。
改革開放という新たな時代への助走が始まった。

それから37年、
極左政治による餓死や迫害、
暴動が続いていた中国は、
世界第2の経済大国となった。
月への到達は、
飛躍的な国力向上の象徴と言える。

だが、
この国の宇宙開発は、
軍事目的の影がとりわけ濃い。
国民が極貧状態にあった頃も、
原水爆の開発、
そして弾道ミサイル技術につながる人工衛星打ち上げは血眼になって進めた。
軍は今なお、
宇宙プロジェクトの主役だ。

心を重くする影は、
まだある。
中国紙は月探査の狙いについて、
「月の権益を守る」ことを挙げた。
海や空に、
「ここは我がもの」と勝手に線を引く狼藉ろうぜきを、
月にも持ち込もうというのか。
強引強欲の仙女など、
月には似合わない。
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