12月17日 編集手帳
映画『男はつらいよ』シリーズがはじまった頃、
渥美清さんは言ったという。
「ボクサーはいいよなァ、
タオルを投げてくれる人がいるからね」。
役者は自分で投げなきゃならない、
と。
永六輔さんがエッセーに書き留めている。
俳優業に限らず、
出処進退ほどむずかしいものはない。
誰しも、
いまの地位に未練が残る。
医療グループ「徳洲会」から受け取った“5000万円疑惑”の渦中にいる猪瀬直樹東京都知事(67)の心境もそうなのだろう。
ボクシングならば打たれたとき、
「スタンド・アンド・ファイト」、
すなわち踏みとどまって闘う姿はときに美しい。
有効な反論のパンチを一つも繰り出せぬまま、
二転三転する説明で疑惑の傷口を広げている猪瀬氏の場合、
何のために踏みとどまっているのかがよく分からない。
都政の停滞や混乱を懸念するよりも先に、
その人の身体が心配である。
うつろな目と、
覇気の感じられない声と
乏しい表情が心配である。
リングを降りたボクサーに第二の人生がひらけるように、
健康でさえあれば人生の花はいかようにも咲こう。
誰か、
タオルを投げてやる友はいないか。
映画『男はつらいよ』シリーズがはじまった頃、
渥美清さんは言ったという。
「ボクサーはいいよなァ、
タオルを投げてくれる人がいるからね」。
役者は自分で投げなきゃならない、
と。
永六輔さんがエッセーに書き留めている。
俳優業に限らず、
出処進退ほどむずかしいものはない。
誰しも、
いまの地位に未練が残る。
医療グループ「徳洲会」から受け取った“5000万円疑惑”の渦中にいる猪瀬直樹東京都知事(67)の心境もそうなのだろう。
ボクシングならば打たれたとき、
「スタンド・アンド・ファイト」、
すなわち踏みとどまって闘う姿はときに美しい。
有効な反論のパンチを一つも繰り出せぬまま、
二転三転する説明で疑惑の傷口を広げている猪瀬氏の場合、
何のために踏みとどまっているのかがよく分からない。
都政の停滞や混乱を懸念するよりも先に、
その人の身体が心配である。
うつろな目と、
覇気の感じられない声と
乏しい表情が心配である。
リングを降りたボクサーに第二の人生がひらけるように、
健康でさえあれば人生の花はいかようにも咲こう。
誰か、
タオルを投げてやる友はいないか。