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国民の安全を守る

2013-12-14 08:00:00 | 編集手帳
12月6日 編集手帳

無能で威張り屋の組長に愛想を尽かして、
若頭(わかがしら)が言う。
〈おやじさん、言うとってあげるが、
 あんたはわしらが担いどる御み 輿こしじゃないの。
 御輿が勝手に歩けるいうんなら、
 歩いてみないや、のう!〉。
映画『仁義なき戦い』である。

いささか場違いな連想ながら、
政治家と官僚の関係に思いをめぐらすとき、
いつもこの場面が浮かんでくる。
大臣に表向きは腰をかがめつつ、
腹の中で同じセリフをつぶやいている官僚も、
なかにはいるだろうな…と。

特定秘密保護法案が良法となるも悪法となるも詰まるところ、
その属性として一から十まで隠したがる官僚を政治家が制御できるか否かにかかっていよう。

政府・与党は「できる」と言い、
野党の一部は「できない」と言う。
最後までミゾが埋まらないまま、
法案はきのうの参院特別委員会で可決され、
いまの国会で成立する見通しになった。

“良識の府”を罵声と怒号に染め、
世間に消え残る不安を陣痛にして産み落とす法律である。
「国民の安全を守る」趣旨を実らせるためには死に物狂いで、
ハンドルとアクセルとブレーキを備えた御輿になってもらわねば困る。
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