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美しいまぶたの風景に惚れて通う 復興の道のり

2014-03-08 08:00:00 | 編集手帳
3月5日 編集手帳

民謡か、
小唄か、
題名を『アインスタイン相対性ぶし』という。
惚ほれて通へば千里が一里
ぬしを待つ間まのこの長さ
おやまあ相対的ですね…。
時間も空間も絶対ではない、
という相対性理論をもって恋心の機微をうたっている。

アインシュタインが来日したのは1922年(大正11年)の秋である。
異色の歌は歓迎の渦のなかから生まれた。
遠来の客を迎えての高揚ぶりがしのばれるが、
その人にとっても日本は忘れられない国になったらしい。

日本の印象などをしたためた直筆の草稿や手紙が、
慶応義塾図書館(東京都港区)で初めて報道陣に公開された。

このうちドイツ語で書かれた草稿には、
日本の家屋や田畑を見ての感想が述べられている。
〈まるで自然と人間が一つになったようだ。
 すべてが愛らしくおおらかで、
 自然が与えてくれたものと親密に結ばれている〉。

43日間の滞在中にアインシュタインは仙台市を訪問している。
「3・11」がめぐってくるせいか、
車窓に映った東北地方のスケッチのようにも読めよう。
“千里が一里”。
取り戻すべき美しい瞼(まぶた)の風景に惚れて通う、
復興の道のりである。
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