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実用化目前 日本発の小型無人ヘリ

2014-03-30 16:30:00 | ビズ プラス
3月16日 BIZ+SUNDAY


欧米を中心ににわかに盛り上がりを見せる無人ヘリビジネス。
実は最先端の研究は日本でも行われている。

千葉市稲毛区の運動場で小型無人ヘリの飛行実験が行われていた。
千葉大学 工学研究科 野波健蔵教授(65)は
人が捜査するのではなく
ヘリが自ら考えて飛行する自立制御の技術を16年前から世界に先駆けて研究してきた。
GPSからの信号で位置を確認しながらあらかじめプログラミングされた経路を飛んでいく。
風の強さや向きは一定ではなく刻々と変わる。
自立飛行ではヘリ自身が6つあるプロペラの回転数をそれぞれ制御することで水平を維持している。
これまで制作してきた無人ヘリは約50機にのぼる。
(千葉大学 工学研究科 野波健蔵教授)
「日本は震災とか台風とか自然災害が多い国ですから
 何かあった時に今回の雪害もそうですけど
 まず無人ヘリが飛んで困っている人がいないかどうか
 雪の中で立ち往生している車がいないかどうか
 飛ばせばすぐにわかること。
 まず防災とかそういう意味での減災
 安全安心のまちづくり都市づくりに役立てるのが今求められている。」
しかしこうした技術を防災やビジネスに生かそうという機運は日本にはあまりなかったという。
(千葉大学 工学研究科 野波健蔵教授)
「実際にマーケティングとかそこまで考えていない。
 技術レベルはすごく高いけれども
 その技術をしっかり世界に売りさばいてマーケットを作って
 ちゃんと成果まで持っていく人があまり日本にはいないと感じる。」
野波さんは無人ヘリの技術を事業化するため2年前にプロジェクトを立ち上げた。
呼びかけに応じたのは大手電機メーカーや商社、自治体など約80団体。
定期的に会合を開き意見交換を行っている。
「実際に運用する人のトレーニングをどうするか。」
「ユーザーへのサポートを誰がするのかという視点をもう少し入れて絵を描くといいのでは。」
このプロジェクトをきっかけに野波さんの開発した無人ヘリはまもなく実用化される。
ソーラーパネルが並ぶ太陽光発電所。
これまで作業員が手作業で行っていたパネルの検査に10月から無人ヘリを導入する計画である。
赤外線カメラを使い上空からパネルを撮影することで温度が高くなっている異常個所を素早く検知。
約6000枚のパネルを2時間余で検査することができる。
(中部電気保安協会 豊田雅史さん)
「今 メガソーラー発電所が増えているので
 さまざまな客から声をかけてもらっている。」

Q.大学発ベンチャーの研究が実際にビジネスにつながるには何が必要か?
「出口。
 研究の出口という意味は最終的に“見える化”をするということ。
 どういう具合に社会に貢献するか
 見えるところまで持っていく。
 そこまで責任を持って見届けることが今の研究者には求められている。」

3年前に事故を起こした東京電力福島第一原発。
今も放射線量が高く容易に人が近づけない状況が続いている。
野波さんはいま無人ヘリで原子炉建屋内を調査する準備を進めている。
真っ暗で内部の様子が詳しくわからない建屋内を飛行するために
これまでより一歩進んだ自立制御を開発した。
「これがレーザーレンジファインダーです。」
レーザーでまわりの障害物を検知し3次元の地図をその場で作成するシステム。
これによりヘリが自分で判断し未知の場所にも入って行ける。
「崩落していて通れるところと通れないところがある。
 3次元地図を作りながら隙間をたどっていく。」
さらに長時間飛行できるように自動的にバッテリーを交換する装置を世界で初めて開発した。
「福島県の原発被災地域には困っている人がいるので
 危険なところになかなか人はいけないが
 ヘリは放射線計測気をつけて飛べるのでそういう形で貢献できると思っている。
 いろんなところにこの技術を波及させて
 もう一度日本がものづくり大国として世界に羽ばたくきっかけになれば幸せ。」



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“ホロコースト”後世にどう伝える

2014-03-30 08:00:00 | 海外ネットワーク
3月16日 NHK海外ネットワーク

東京都内の公立図書館や書店で「アンネの日記」の本などが多数破られる被害が相次ぎ
日本でもホロコーストがあらためて関心を集めた。
ユダヤ人の絶滅を掲げたナチスドイツは
ユダヤ人だというだけで子どもや年寄りまで容赦なく捕えヨーロッパの各地から強制収容所に送り込んだ。
そしてガス室に閉じ込めるなどの残虐な手口で次々とその命を奪っていった。

ユダヤ人が建国した国イスラエルではホロコーストの悲劇を後世にどう伝えていくのか。
イスラエルの北部の町ネタニヤで展示されている古い貨物列車。
約70年前にユダヤ人を強制収容所に運ぶために使われた車両である。
当時ヨーロッパの20か所以上に強制収容所が作られていた。
ナチスドイツは占領した地域の鉄道網も活用してユダヤ人を次々に収容所などに送りこみ虐殺していったのである。
車両を展示しようと思いついたロ二・ドタンさん(68)。
9年前に父親の遺品整理をきっかけに祖母の姉妹がホロコーストで亡くなっていたことを初めて知った。
ベルリンで暮らしていた祖母の姉妹は現在のラトビアの首都リガまで列車で移送された後殺害された。
(ロ二・ドタンさん)
「1942年10月26日に強制収容所に送られたユダヤ人の名簿です。
 この中の1人が祖母の妹だった。」
ドタンさんはホロコーストに利用された列車を保存することで後世に悲劇を伝えていかなければと考えたのである。
そして去年 ベルギーでユダヤ人の移送に使われた車両のひとつを見つけ出すことができた。
列車を買い取りイスラエルに運び込んだ。
ドタンさんが進めている車両の展示をホロコーストから生き残った人たちも支援している。
フリードマンさん夫妻は約70年前ふたりは家族とともにそれぞれハンガリーとオランダで暮らしていたが
他のユダヤ人とともに強制連行される。
馬などの家畜を運ぶための狭い車両に無理やりおしこめられ
逃げられないように外から鍵をかけられた。
(ナオミ・フリードマンさん)
「トイレはあそこにバケツがあった。
 昼も夜もなく2日間も水も食事もなかった。」
(ヨセフ・フリードマンさん)
「彼らは列車から仲間を1人ずつ連れ出して射殺した。
 私たちに恐怖感を植え付けるためだけに。」
強制収容所で夫のヨセフさんはガス室まで連れて行かれた。
しかし殺害される直前に他のお収容所に移され一命を取り留めたのである。
(ヨセフ・フリードマンさん)
「ユダヤ人の中にさえこれ以上聞きたくないという声がありますが
 この車両を見て当時の状況を知ってほしい。」
ドタンさんは4月からこの車両を一般公開する。
訪れた人が実際に車両の中に入り触れることで被害者たちの悲劇の記憶を感じてほしいと考えている。
(ロ二・ドタンさん)
「私の世代ではなくこれからの世代にとってこの車両は重要です。
 みんなに特に子どもたちに来てもらいホロコーストの悲劇を知ってほしい。」

ホロコーストの歴史をどう伝えていくのか。
ドイツも同じ課題に直面している。
ナチスドイツやヒトラーを賛美する行為は国民の間でタブーとなり
法律の上でも刑罰を設けるなど厳しい規制が課されてきた。
ヒトラーの著作として知られる「わが闘争」も
ホロコーストにつながる根本となる思想がかかれているため出版が禁止されてきた。
しかし今過去の歴史をより深く理解し今後の教訓とするため
この本をあえてあらためて出版しようという動きも出てきている。
ナチスドイツの総統だったヒトラーの著書「わが闘争」はドイツ民族が優秀な民族だと主張する内容となっていて
ナチスが人々を扇動し独裁政治を広げていくために使われた。
ユダヤ人は寄生虫だ
アーリア民族の対極がユダヤ人

などと極端な反ユダヤ主義を主張。
ホロコーストの思想的根拠となった。
ドイツでは戦時中の反省に立って
ナチスの行為を礼賛することにつながる一切の行為を禁止。
カギ十字の表示やナチス式の敬礼などを公の場で行えば民衆扇動罪が適用される。
「わが闘争」の著作権を持つドイツ南部のバイエルン州政府も
ナチスの危険な思想が再び広がるきっかけとならないよう戦後一貫して出版を禁じてきた。
ところが州政府の持つ著作権が期限切れとなるヒトラーの死後70年の節目が来年末に迫っている。
これ以降は法的には第三者による出版が可能になる。
これを受けて「わが闘争」の出版の準備を始めた研究機関がある。
ミュンヘンにある公立の現代詩研究所である。
研究所では当時の詳しい社会的背景を説明した解説と合わせて出版することで
読者は歴史的な教訓を学ぶことができるとしている。
(現代史研究所 ブレヒトケン副所長)
「ナチズムを分析し国民に説明する。
 それによってナチズムのような思想が広がるのを防ぐのが我々の狙いです。」
しかしこうした出版の動きについてはネオナチなどの極右勢力の台頭につながるのではないかと懸念する声も少なくない。
「今まで関心が無かった若者が本を読み
 ナチスの思想を悪いと思わなくなるのが怖い。」
また本の著作権を持っているバイエルン州政府も出版によって混乱が起きるのではと懸念している。
ただ法的には出版を差し止めるわけにはいかないとしている。
(バイエルン州政府文化省 ギーセン広報官)
「最も重要なのは被害者の感情に配慮することだが
 歴史批判的な観点に基づいた版の公表では学問の自由があるので認めざるを得ない。」
これについてドイツのユダヤ人団体は激しく反発している。
ミュンヘンにあるユダヤ人団体クノーブロッホ代表は自らも強制収容所に送られそうになった経験がある。
ヒトラーの危険な思想が書かれた本を二度と人々の目にさらすべきではないと考えている。
(ミュンヘンのユダヤ人団体 クノーブロッホ代表)
「こんなものは深い深い海の底に沈めて
 国民の目に永遠に永遠に届かないようにするべきです。」

ドイツに大きな負の歴史を残したヒトラーの「わが闘争」。
現代の国民がこの本にどう向き合うべきか。
ドイツでは戦争の終結から70年が経とうとするいま議論となっている。


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