6月24日 キャッチ!
年間約1,600万人の外国人観光客が訪れるパリ。
数百年の歴史を持つ荘厳な建築物が人々を魅了している。
ひときわ大きな存在感を示すのが
石造りの古い教会の数々である。
これらの教会がいま深刻な問題に直面している。
壁の一部がはがれたり
石像の破片が落下するといったケースが相次いでいる。
17世紀に建てられた教会は
今年3月に教会の塔に立つ十字架の一部が落下。
幸いけが人はなかったが
落下物を防ぐため外壁の大部分が網で覆われている。
「前にも金属のかけらが私の店の前に落ちてきたことがあったわ。」
「隣が学校なので通学する子どもたちに当たったらと思うと心配だわ。」
事態を重く見たパリ市は
市内の傷みの激しい教会を対象に
5年間で8,000万ユーロ(110億円余)を充てることにした。
しかし市内には文化遺産として登録された教会は85か所もある。
財政緊縮が求められるなか
すべてを保全するのは限界があるとしている。
(パリ市 文化事業部長 コルバンさん)
「パリ市だけでは全てを対処できない。
民間企業の協力が必要です。」
パリ中心部にあるマドレーヌ寺院。
皇帝ナポレオンの命で19世紀に建設され
古代ギリシャの神殿を思わせる建築様式が特徴である。
訪れる信者や観光客の数は年間70万人にのぼる。
老朽化した天井を支えるのに補強が必要だとして金属製の骨組みを設置している。
痛みが激しくなった原因の1つとされるのが振動である。
教会の地下には3つの地下鉄の路線が走り
目の前の道路は交通量が多く
常に振動にさらされている。
教会自慢の大理石の祭壇も
階段の継ぎ目には以前は無かった隙間ができ
少しずつ広がっていると言う。
(神父)
「振動でどんどんひどくなっています。
修繕するためにはできるだけ寄付を募らなければなりません。」
教会では民間企業に協力を呼び掛けることにした。
市内の中小企業の幹部などを招いて現状を説明した。
ツアーに参加した宝石商のメレリオさん。
資金集めに向けて何ができるか意見を交換した。
メレリオさんは代々続く宝石商を営む。
時を経た建築や美術の価値に強い思いを抱いている。
教会を守るために自分だけでなく知り合いにも協力を呼び掛けることにしている。
(宝石商』メレリオさん)
「教会は私たちの財産です。
みんなで守らなければなりません。」