6月27日 経済フロントライン
多くの企業の株を持ちながらその経営に注文を付けることはほとんどなく
物言わぬ株主の典型とも言われてきた生命保険会社。
約1,200社の株式を持つ住友生命。
株主総会で企業が提案する議案に賛成するかどうか
これまでより厳しいガイドラインを定めた。
株主総会を前に企業から届いたすべての議案を精査している。
「1件1件 基本的には個別に精査 見ていくということをやって
そのうち私どもの議決行使ガイドラインに抵触するものは個別検討する。」
たとえば社外取締役。
取締役会にあまり出席していない人の再任には不賛同。
業績が不振にもかかわらず取締役の報酬を引き上げようとする場合も不賛同。
「厳格にやっているところですので個別検討する数も増えています。」
企業との対話も強化している。
ROEや配当が低い企業を中心に1年で約200社と話し合ってきた。
企業からの配当が増えれば生命保険会社の運用益が上がる。
主な運用先である国債の利回りが低いなか
より株式への投資が重要になっている。
業績が好調にもかかわらず株主への配当がなく
新たな投資もしないある企業の議案について検討がなされた。
「6期連続の黒字計上
4期連続の増収増益
利益面では最高益になっています。
資金が蓄積されていますので
配当をお願いしますということで株主還元の強化をお願いしたんですけれど
今年も要望に応えていただくことができない状況。」
配当の要望は結局聞き入れられなかった。
そのため企業が提案してきた利益の使い道には不賛同にした。
「応えていただける会社も多いんですけど
この会社のようにお応えいただけない会社もある。
そういった場合は最後 議決権行使で意思表示を行う。」
住友生命では去年の株主総会に比べより多くの議案に不賛同を決めた。
企業との関係がこれまで以上に緊張感のあるものに変わってきている。
(住友生命 株式運用部 小野宏部長)
「もの言わぬ株主の代表的な存在として生保があったと思いますけれど
我々としての投資家の目線を企業にも理解いただく。
我々の方も企業の経営方針。事業戦略をきちんと理解して
我々の投資に活用していく。
お互いの信頼関係を醸成していく大切な機会だと考えている。」