7月23日 おはよう日本
JR新大阪駅のホーム。
今年から在来線のベンチはすべて線路側を向かないように設置してある。
これはホームでの事故防止の取り組みのひとつである。
鉄道の安全問題を研究しているJR西日本安全研究所 辻野直良研究員。
ホームでの事故を減らそうと酔った乗客の行動を調査した。
事故が起きた時の防犯カメラの映像など136件を分析し
酔った乗客が事故に至るパターンを明らかにした。
ホームの端を線路と平行に歩いていて
足を踏み外して落ちるケースが一番多いと考えていたが
全体の1割に過ぎなかった。
一番多かったケースは
ベンチから立ち上がった人が線路の方向にまっすぐ歩き
そのまま転落するといったケースである。
ホームの端に気付かず足を踏み出すためとみられる。
全体の6割を占めていた。
(JR西日本安全研究所 辻野直良さん)
「正直 予想外。
お酒に酔われたお客様をなんとかしなきゃと思いを持っていても
自分を含めて何も知らなかったと改めて思い知った。」
この結果を受けて始めたのがベンチの向きの変更である。
新大阪駅のベンチも以前は線路側を向く形で置いてあった。
しかし今年1月からベンチの向きの変更に取り掛かった。
立ち上がった乗客がまっすぐ歩き出しそのまま転落するのを防ごうというのである。
JR西日本ではこの対策をこれまで31駅で導入。
効果があるか検証を続けている。
さらに今回の調査では
酔った乗客の事故のうち9割のケースで前兆行動が見られていた。
・千鳥足になる
・上半身を前後に揺らす
・柱や壁にもたれかかる
こうした前兆行動を平均5分ほど続けたあと事故が起きていた。
(JR西日本安全研究所 辻野直良さん)
「危ない行動をしていると思った時には次の瞬間にはもう落ちてしまっている。
もしくは人身事故になってしまっているということなので
危険度が高いお客様に重点的にアプローチしていかなければいけない。」
どうすれば前兆行動をいち早く発見できるのか。
試験的な対策が始まっている。
駅のホームなどに設置された46台のカメラ。
乗客の体の動きや移動の仕方をとらえる。
千鳥足など事故の前兆行動のパターンに当てはまるかをコンピューターで解析。
棄権と判断すると監視センターに自動的にデータを送る。
センターではアラームが鳴り駅員に連絡。
駅員は乗客のもとへと駆けつける。
このシステムは8月からの本格的な運用を目指している。
辻野さんは今回の調査結果を駅で働く人に知ってもらうための活動にも力を入れている。
「酔客は2歩3歩行って止まる。
ところが2歩3歩行って止まってる状態を1~2分繰り返すうち
3歩行かないと止まらないようになる。
最後止まり切れずに一気に転落まで行ってしまう。」
どういう乗客に特に注意すべきか。
それぞれがわかっていれば早めに対応がとることができると考えている。
「未然に防ぐ方法はたくさんあると改めて気づかせてもらった。」
「自分なりにどれだけ気づけるかが人命を救える部分になるのかなと。」
(JR西日本安全研究所 辻野直良さん)
「どういう声かけのしかたをすればより効果的か
スムーズに対応できるか。
そういった手法のようなものを知見として集めていきたい
深めていきたいと。」