7月13日 キャッチ!
平成9年に神戸市で起きた児童連続殺傷事件。
加害者である元少年Aの手記が出版されいま論議を巻き起こしている。
被害者家族は無断で出版したとして
出版社に回収を求めているのに対し
出版社側は少年犯罪発生の背景を理解するのに役立つとして
出版継続の意向を示している。
犯罪手記の出版によって加害者が利益を得ていいのか
この議論についてアメリカのある法律が再び注目を集めている。
“サムの息子法”と呼ばれる法律である。
1976年7月 ニューヨーク州ブロンクスで18歳の少女が銃で撃たれ死亡する事件が発生。
その後も同様の殺人事件は続き
捜査当局をあざ笑うかのようにある犯行声明が発表された。
差出人の名は「サムの息子」。
声明の内容も支離滅裂で捜査を混乱させる原因となった。
最初の犯行から1年
犯人がようやく逮捕された。
郵便局員のバーコウィッツ容疑者(当時24歳)。
若い女性を中心に6人を殺害。
8人に重軽傷を負わせたとして懲役365年が言い渡された。
しかし事件の衝撃はこれだけでは終わらなかった。
ある出版社がバーコウィッツ容疑者に多額の報酬を提示し
犯罪手記の出版を持ちかけていた。
“被害者を再び傷つけ金儲けをするのか”
こうした批判が全米に広がった。
これを受けニューヨーク州は当時の犯罪被害者救済法を改正。
加害者が自らの犯行を題材として利益を得ることを禁じた。
これが世にいう“サムの息子法”(1977年制定)である。
全米42州に拡大した。
サムの息子法
犯罪者が書籍などから得た収益は
州の犯罪被害者補償委員会に収めることを求める